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第十二章 天秤の刃 ― 11 正義(Justice)
塔を降りた先に、石造りの裁きの間があった。中央に座していたのは、真紅の法衣を纏う女性。名をユリスという。
右手に剣、左手に天秤を持ち、その眼差しは曇りなく、まっすぐだった。
「レオ・フール。お前の選択に、重さを知る時が来た」
ユリスの前に、これまでの旅でレオが行った選択が“形”となって現れる。
「公平とは、すべてを均すことではない。何に重みを置くか、それを知ることだ」
レオはその天秤に、自らの心を乗せた。揺れた天秤が、やがて静かに均衡を保つ。
ユリスは剣を下ろし、ゆっくり頷いた。
「進むがよい。その足で、真実に向かって」