スーベニア
●どの曲からも受け取れる、「スピッツ」というバンドの存在感。
【収録曲】
1.春の歌
2.ありふれた人生
3.甘ったれクリーチャー
4.優しくなりたいな
5.ナンプラー日和
6.正夢
7.ほのほ
8.ワタリ
9.恋のはじまり
10.自転車
11.テイタム・オニール
12.会いに行くよ
13.みそか
スピッツが2005年にリリースしたアルバム。リリース当時、今作で初めて彼らのアルバムを聴くまでは、何となく「爽やかなポップスバンド」といった印象があったのですが、実際のところは、激しいロックサウンドを聴かせる『甘ったれクリーチャー』や『みそか』、シンプルなピアノバラードの『優しくなりたいな』、沖縄民謡の要素を導入した『ナンプラー日和』、レゲエ調の『自転車』等と、様々な音楽性を取り入れており、前述のような単純なイメージでは測れないことに気付かされました(もちろん、『春の歌』や『正夢』のような、ある種の「パブリックイメージ」に近い楽曲も少なくないのですが)。
とはいえ、どの曲にも透明感のあるボーカルと柔らかくしなやかなメロディが流れていることもあって、「スピッツ」というバンドの「存在感」をしっかりと受け取ることができます。全く異なる雰囲気の曲が並んでいる箇所も見られるのですが、そういった「存在感」のおかげか、違和感無く聴き進めることができました。
「スピッツってこんな曲もあるんだ」と思わせながらも、「でもどの曲もやっぱりスピッツだよね」という印象も抱かせる一作。彼らの「芯の強さ」というものを充分に実感できるアルバムと言えるでしょう。
評価:★★★★★