第2話 試合と規格外
うわぁ、この人強い……。…え?私はどうしたのかって?私は人間バージョンでも人外だから、私のことをカウントしちゃダメだよ。
っていうか公爵家当主なのか……何してんだよ、公爵家当主。仕事しろよ。
「いいでしょう。お願いします、ギルドマスター。」
「お前、気づいていたのか……!」
「えぇ。貴方の〝名前”も隠している〝称号"も‶ステータス"も全て知っています。その前に狩ってきた動物の毛皮とかを売れる場所ってどこか知ってます?」
あんまり詳しく答えたくないギルドマスターの質問をあえて中途半端に答える。でも、こういう風に答えたら、一応実力は持ってますよって感じにはなると思うからいいと思う。それより今のところ一番重要な質問をする。
「あ、あぁ、あそこのカウンターなら買い取ってもらえるぞ。」
そう聞いた私は、「ちょっと待っていてください。」と言いつつ、そのカウンターへ向かう。長くなりそうだから先にこっちを選ぶのは当然だよね。
「すみません、魔物の買い取り、お願いします。」
「えっ、魔物?」
「えぇ、魔物です。大丈夫でしょうか?」
「はい。大丈夫です。」
受付嬢さんは一瞬だけ驚いたような顔をしたけどすぐに「了解いたしました。」といって、笑顔を作った。まぁ、受付嬢さんの心は凄いことになってるのがわかるけど。(神の力)
「では、ここには入りきらないのでどこかほかの場所に移ることは可能ですか?」
本当はこんな予定じゃなかったけどここまで舐められるようなら少しだけ驚かせてみよう。みんなもう既に驚いているけど。
「え…えぇ。では、我がギルドの訓練場に向かいましょう。あそこならドラゴン1頭が入るくらいの大きさですから。」
なるほど。そこなら大丈夫そうだね。受付嬢さん、(聞いてみるとアンナさんというそうだ。)は私から変な気を受けたようだ。大きな場所を貸してくれた。…ちなみに私が今持っている魔物の死骸はこの町に来る途中に環境破壊しないように気を付けながら打ったレーザー光線で倒した魔物達だ。
「では、こちらにお願いします。」
そう聞いた私は空間魔法を使う。もちろん特別仕様の空間魔法だ。
ドサドサドサドサ、ズザザザザーーッッ。
……イヤ、多すぎだろ!手当たり次第に狩ってきたからなぁ…さすがに多すぎた。ドラゴン一頭分とまではいかないけど崩れてきてるし。ほら、ギルマスとかアンナさんとか見学してた人が顎が外れそうなぐらい驚いてる。
「お前、ものすごく凄いんだな……。そんな簡単に空間魔法使いやがって……。お前、空間魔法がどれくらい難しいかわかってんのか?まぁ、この後の戦闘が楽しみだからいいんだけどよ…。」
ああっ?!ギルマスの語彙力がヤバくなってる。そして苦労性で戦うのが好きって・・・この人、変な人だな。
「ええ、じゃあこのまま戦闘ってことでいいですか?一応、また収納しておきますね。」
空間魔法でまた魔物の死骸を収納すると、髪を縛り、少しだけストレッチをして手を銃の形にした。
「えー、おほん。…一介の受付嬢である、アンナ19歳が務めさせていただきます!そ、それではっ!始めっ!!」
緊張したようなアンナさんの声が響いたとたんに、パアァァンという音が聞こえたとたん、ギルマスが吹っ飛んでいた。まぁ、その原因は誰であろう私なのだが。
「ギルマス―!大丈夫ですか~!?死にはしませんけどちょっと治しますね。」
そう言いながらギルマスに駆け寄り(高速)、聖魔法を発動させる。(一瞬で骨折も治った。)
「とりあえず、私の勝ちですね。あれをもうちょっと出力を出したらギルマス瞬殺されてましたからね?」
「ああ、あんたの実力は分かったし、たぶん15歳くらいなのに魔物を狩ってる時点でものすごく強いってことは大体わかってたしな。それよりも!あの魔法って何なんだ?一瞬だけ膨大な量の魔力が動いたと思ったら小さい大きさの魔法だったから油断してたのに、一瞬で俺に近づいて!普通の魔法よりも威力高かったぞ!?」
さてはこの人、魔法好きだな?怖いくらい興奮してる。……ちょっとくらいなら引いてもいいよね?
「あの魔法は、私のオリジナルです。……即興の。まぁ、膨大な魔力を圧縮してバネのようにしたんです。…もうこれ以上はしゃべりません、秘密主義なので。言っておきますけど、これくらいの秘密はまだまだ甘いですよ?」
ま、この魔法は手を銃の本体の代わりにして、魔力を弾丸の代わりにしただけだけどね。ついでに言うと、さっきボソッとつぶやいた言葉は聞こえていないようだ。良かった……。
「とりあえず、合格だ。普通は最低ランクの”ストーン”から始めるから手続きとかが早く終わるんだが、お前の場合、俺を倒すぐらい強いから、もうちょっと時間がかかるぞ。たぶん、俺の今のランクを計ることになるな。その間にこの町でも探索してきたらどうだ?お前なら金の使い方とかギルドの約束とか諸々知ってんだろ?ついでに金も貸してやるよ。…あ、魔物は置いて行けよ?鑑定できないからな。」
そう言って大銅貨が100枚入った袋を貸してくれた。
「ありがとうございます、ギルマス。すぐに稼いで返しますね。」
「ああ、大丈夫だ。というか、お前、敬語無しでいいぞ。無理してやってんだろ。」
「わかった。じゃあ、これからよろしくね、ギルマス!」
許しが下りたので、『マナー』を解除する。
また後でー!と言いながらギルドの扉を開け、外に飛び出す。
いろいろ説明をしようと思う。
まず、お金の説明をしよう。
このアララクス大陸はすべての国で、共通金貨を使っている。
日本でいうところの「円」のような単位は「クール」となっている。
この世界のお金は、全て硬貨で、日本円に直すと、こんな感じだ。
小銅貨=1クール =1円
銅貨 =10クール =10円
大銅貨=100クール =100円
小銀貨=1000クール =1000円
銀貨 =10000クール =10000円
大銀貨=100000クール =100000円
小金貨=1000000クール =1000000円
金貨 =10000000クール =10000000円
大金貨=100000000クール=100000000円
神硬貨=測定不能・使用不可 =存在しない
という感じになっている。神硬貨は、神の涙と言われており、クリアを祭る塔に1個だけあるといわれている。(というかあるんだけどね。)
この世界のお金は、日本と大差ないから本当に楽だ。
続いて冒険者ギルド
まず、ギルドとは正式な剣士などがいる騎士団とは違い、いろいろ自己負担で自己責任の、誰でもなれる何でも屋だ。雑用からとても強い魔物の盗伐まである。
その依頼は、それに見合った依頼報酬と正当性、確実性があれば受理されてギルド職員がランク分けをする。そんなギルドのランクはこんな感じだ。
ストーン=6級冒険者
アイアン=5級冒険者
ブロンズ=4級冒険者
シルバー=3級冒険者
ゴールド=2級冒険者
プラチナ=1級冒険者
クリスタル=S級冒険者
だ。因みにギルマスが冒険者だったころにはゴールドまで上がったようだ。クリスタルは、歴史にある中では誰も到達したことのないランクだ。そして、この依頼を5回達成できなかったらギルドカード剥奪となる。あと、一か月間のうち一回も依頼をやりに来なければこれも剥奪となる。
いろいろ説明したところで屋台に行ってみようと思う。
「おばさん、ネギマ一本ください!」
「あいよ!ネギマ一本100クールだよ!」
お金を払って焼きたてのネギマを受け取る。
「まいどあり!よかったらまたウチに来てくれよ?ほとんど毎日やってるからね!」
うん!と、うなずきながらネギマを食べる。…うん、おいしい!あ、それと……。
「おばさん、ここらへんに教会ってあるの?」
「ああ、あるよ。あそこに白くて十字架がかかっている建物があるだろ?あそこが教会だよ。因みにお金は無しでもお祈りできるよ。」
「ありがとう!」
よし、じゃあ久しぶりにクリアに会いに行こう!
__ちょっと補足__
この世界の成人は15歳です。
ギルドカードのランクのプラチナよりもクリスタルの方がすごいのは、クリスタルがクリアのイメージストーン的なものだからです。




