表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
縁-えにし-  作者: 狸塚ぼたん
三章
31/104

友膳班


刑事部捜査第一課長期未解決事件捜査係。

その中でも表沙汰にはされていない、特異事件を専門としている班が存在する。

それが友膳暁斗警部が率いる友膳班であった。

普段は一般の一課刑事と変わらない仕事をしているのだが、怪異が原因とされる未決事件がこうして動き出すと出動する。

所属している人間は視えることが前提。

友膳班所属になったばかりの巧と真壁は、今回初めてバディを組んでこの事件を担当することとなった。


「視えない佐々木刑事は異例中の異例です。うちは万年人材不足なので、真壁刑事の補助としてバディを組んでもらったのですが」


真壁は捜査どころか神社周辺に近づくことすらできなかった。

一度無理矢理足を踏み入れたところ、原因不明の発熱に苦しめられ一週間入院した程である。

そのため影響のない巧が、榊葵の捜査協力を得て行動していた。

その負い目もあってか、真壁は終始申し訳なさそうに俯いている。


「い、一応、退院してからこの神社について改めて調べていたりはしました。……ただ結論から言って、何もわからなかったんですけど。町史を調べてみましたが、この神社についての存在が書かれてあるだけで、それがいつからあるのかまではわかりませんでした。ただ確実に百年以上前からはあります。編纂関係者たちに聞き取りもしましたが、あの神社については知らないと言うばかりで……」


本当に知らないのか、或いは何かを隠しているのか。


「柳原のおじさんはなんだって?」


と、巧が聞き慣れない人物の名前を出す。


「さっき電話して聞いてみたら、住所言っただけで嫌そうな声出されたんだよね。明日にでも説明するよう言っておいた」


「柳原さんとは?」


「ただの変態です」


友膳の質問に間髪入れず回答したと思えば、息をするように人の悪口を吐く。

もう慣れたもので、幼馴染の巧はすかさず訂正を入れた。


「榊家と親しい民俗学者です」


「言っとくけど、変態って褒め言葉だから。あの人、この筋の話で知らないことないってくらいなんでも知ってんの。ほんと気持ち悪いよね」


どこからどう聞いても悪口だ。


「それは心強いですね。ぜひ、分かり次第私たちにも聞かせてください」


「どうぞ、報告は巧から聞いてください。ーーそれで、そっちの情報は以上ですか? 組織についての大まか過ぎる情報と、神社について何もわからなかったという情報二点だけ? これではあまりにこちらに頼りすぎではありませんかねえ?」


友膳を煽る葵に対し、巧が鋭い目つきで牽制する。

彼は暗に能力持ちという事実を鼻にかけて、警察官を無能扱いしているのだ。

本当にいい性格をしている。


「申し訳ありません。確かに仰る通りなのですが、我々だけでの解決は難しいのです。市民の方々の安全を守る警察官として、お恥ずかしい限りです」


友膳の大人な対応を見て、ふと疑問が浮かぶ。

解決困難なのであれば、なぜいきなり担当刑事を真人間の巧と頼り甲斐のなさそうな真壁の同期バディで指名したのか。

いくら人材不足とはいえ、難しい事件であるならばもっと熟練の人たちを指名するはず。


友膳と目が合った瞬間、穏やかに微笑まれた。


……この人は、この事件の解決についてそこまで重要視していないのでは。

まるで新人教育の一環、とでもいうような余裕さえ感じる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ