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柊木くんは”じゃんけん”でメイドを手に入れる

作者: 夕霧蒼

 俺、柊木誠(ひいらぎまこと)は高校生社長なのでお金持ちだ。

 だが、困っている事がある。

 それは、メイドとして雇っていたばあやが老化により円満退職する事になったのだ。

 

 俺は今まで、ばあやに身の回り(持ち物・炊事など)の世話をしてもらっていたので自分であまり出来ないのだ。


 ばあやが円満退職するまで2ヶ月あるがそれまでに引き継ぎを行わないといけない。

 そこで新しいメイドとして、一目惚れした城崎有紗(しろさきありさ)を候補にしようと考えている。

 

 城崎さんはクラスのカースト上位かつストレートロングの黒髪を靡かせて整ったスタイルを持つ完璧美人なのだ。

 そんな彼女に高校生活では目立たない様に生きていた俺に構うわけがない。


 だが、俺は城崎さんにメイドになって欲しいと思っている。だって…メイド似合いそうだし、絶対に可愛いと思うから。


 そこで、”じゃんけん”の一発勝負でメイド契約をしてもらおうと考えた。


 次に城崎さんを呼ぶ為の準備もした。

 まず、俺が懇意にしている探偵に城崎さんの身辺調査をお願いした。


 数日後に調査結果が届いた。そこには——


【報告書: 城崎有紗さん。彼氏なし。兄妹なし。誕生日・11月30日。実家は北海道にある為現在、一人暮らし。仕送りが少ない為、隣町でバイトしている】


 なるほど…一人暮らしなのも好都合だしお金もあまりないのか。住み込みとして雇っても問題ないな、あとはばあやにも見せて———


「ばあや、次の引き継ぎ候補なんだけど同級生のこの子にしようと思う」


「わかりました。誠様の選んだ方なら間違いないでしょう」


「そう言ってもらえると助かるよ。ただ簡単には了承を得られないと思うから、勝負して勝ったらメイドになってもらおうと思う」


「その勝負とは?」


「学生らしく”じゃんけん”の一発勝負で頼もうと思う」


「なるほど」


「まぁ、負けたら俺はその同級生のパシリになると思うけどね」


 ばあやに俺が負けた時の場合の事を伝えたら


「あら、ご冗談を。豪運持ちである誠様が負けるはずがありませんこと?」


「まぁ、そうだけど。彼女も運良さそうだし侮れないよ」


「そうですか」


 と言いながら「誠様なら大丈夫ですよ」と言ってきた。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 翌日、俺は話をする為に城崎さんの下駄箱に「話があります。放課後、屋上で待っております」といういかにもラブレターに見える手紙を置いた。


 これで告白だと思われても仕方がない。俺が頼もうとしているのはそれよりも上だしな。


 あとは、城崎さんが屋上にまじめに来てくれる事を祈るしかない———


 放課後になり、俺は城崎さんより先に屋上に向かった。


 数分後、ガチャ… キィー… バタン… と音がした。


「私にこの手紙を出したのは柊木君なの?」


「そうですね。正真正銘、俺が出しました」


「それで話って何?」


 改めてこの話を本人にするのは気が引ける。


「実は…じゃんけんで勝ったら俺の専属メイドになってほしい」


「…」


「えっ…ちょっと、待って?メイド?聞き間違いではなくて?」


「聞き間違いではなく、専属メイドになってほしい」


「いや、でも…」


「あっ、因みに住み込みの専属メイドになれば食費と光熱費は城崎さんにはかからないよ」


「柊木君にそれだけのお金があると言うの?」


 そー言えば、ど直球に専属メイドの話だけしかしてなかったから、俺のこと何も話してなかったな。


「実は俺、こーゆうものでして」


 俺は城崎さんに名刺を見せた。


「柊 株式会社 CEO…」


「えっ!?柊木くんって社長なの!?」


「びっくりした?」


「びっくりしたも何も…ごめんなさい。言葉が見つからないわ」


「とりあえず、じゃんけんでもし俺が勝ったらメイドになる事は了承してくれる」


「…まぁ、いいでしょう。負けなければいいだけの話だからね」


 いやいや、口ではそう言ってるけど負ける気満々オーラが出てる気がするよ…


「それじゃあ、今からだけど準備はいい?」


「えぇ、大丈夫わよ」

 

「「 じゃんけーん 」」


 1回目 あいこ

 

 2回目 あいこ


 あれ、なかなか決まらない…このまま続くと流石に怖くなってくるぞ。


 3回目 あいこ


 4回目 柊木勝ち


 危なかった…ここまであいこが続いたのは初めてだよ。

 そして、城崎さんは負けたのに半分、悔しそうで半分、喜んでる?ように見えた。

 

 これもしかしてさ、勝負しなくても押せばメイドになってくれた説あるよなぁ…勝てたからよかったけど。


「それじゃあ、今から家に来てくれるかな?」


「い、いまから!?でも、まだ両親にも話さないとだし…」


「それじゃあ、携帯貸してくれるかな?事情を話すから」


「わかった」


 城崎さんは実家に電話をかけ始めた———


「もしもし、ちょっと聞いてほしいことがあるんだけど」


「うん。それでね、柊木くんに電話変わるね」


「お電話変わりました、柊木と申します」


  —説明中—


「と、言う事なので有紗さんを専属メイドとして契約してもよろしいでしょうか?」


「ありがとうございます。はい、失礼します」


「両親はなんて言ってた?」


「どうぞ、専属メイドにしてやってくださいだって。いいご両親だね」


「まあ、変わり者の2人だからね」


「と、言う訳で今から来てくれるよね?」


「行きます」


 それから、俺と城崎さんは家に向かった。


 家に着くならばあやが出迎えてくれた。


「お帰りなさいませ。誠様」


「ただいま。こちらが専属メイドになる城崎有紗さんだ」


「初めまして、期間は短いですがメイドの事を教えさせていただきます。気軽にメイド長とお呼びください」


「は、初めまして。城崎有紗と申します。未熟者ですがよろしお願いします」


 ばあやと城崎さんの挨拶が終わり部屋へと入った。


 部屋に入るなり城崎さんは、ばあやに連れられていった。きっと、メイド服に着替えてるんだなと期待していた。


「誠様お待たせしました。準備ができましたので中に入れてもよろしいでしょうか?」


「大丈夫だよ」


「失礼致します」


 中に入ってくるなり、城崎さんのメイド服姿に見惚れてしまった。


「な、何か言ってよ!!恥ずかしいんだから」


「城崎さん、この家に入ったからには言葉遣いをちゃんとしてください」


「ばあや、城崎さんは同級生だからそこは大目に見てあげて」


「誠様がそう仰いますならばあやは何も言いません」


 ばあやは分かってくれたようだ。それにそろそろ感想言わないと城崎さんが恥ずかしくて倒れそうに見える。


「城崎さん、とても似合っていて可愛いよ!」


「あわよくば、猫耳とか付けて欲しいと思ったよ」


「か…可愛い!?しかも、猫耳!!??」


「ば、ばか…可愛いって言うなよ」


 照れ隠しが可愛いくてついつい「可愛い」と何度も連呼してしまった。


 まぁ、からかうのはここまでにしといてばあやに頼むか。


「じゃあ、メイドのスキルを教えといてくればあや」


「承りました」


 そう言い、城崎さんと共に別室に移動した。

 そのあと、上手くいってないのか城崎さんの悲鳴が度々、聞こえてきたが心の中で「頑張れ」としか言えなかった。


 数時間後———


 ばあやと城崎さんが戻ってきた。


「誠様、一通りの作法などは完璧になりました。炊事に関しては元々、料理上手な事もあり教える事がなく、日常生活の事はほぼ大丈夫でしょう」


「それはよかった。城崎さんこれからよろしくね」


「よろしくお願いします。ま…誠様…」


「城崎さんは特別に誠でいいよ」


「あ…ありがとう。ま…誠」


「最後に、学校では別に話しかけなくてもいいよ。ただ、一緒に登下校はする事になるからそこだけは頭に入れといて」


「わかりました。友達にも上手く誤魔化す事ができたら誤魔化すけど、バレそうになったら相談する」


「いいよ!じゃあ、話はこれで終わりだね。城崎さんは今日はゆっくりして。ばあや、大変かもしれないけど今日はお願い」


「わかりました」


 ばあやは夕食を持ってきて、俺は城崎さんと食事をしてからお風呂に入り1日が終わった。


「誠、朝になったよ。起きて」


 城崎さんの言葉と共に朝を起き———


 そして、今日も城崎有紗は俺のメイドをしてる。

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