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結末の艦隊


「――――それで、敵艦隊の規模は?」


「破壊されたルミナス本星から脱出した者たちの話では、地上から見える全方位全てが敵軍で埋め尽くされていたらしい――――それをそのまま受け取れば、()()()()()()()


「くそっ! 本星を守護していたルミナスエンペラーも戦死された……っ! 戦えぬ者や、未熟な者を脱出させるために……!」


「ただ数を揃えただけの艦隊じゃ、ルミナスをこの短期間で攻略することは不可能だろうさ……艦隊の技術レベルも相当にヤバそうだねぇ……」


「ギャッギャッギャ! どうすんだぁ姐さん!? 俺たちオークも数じゃ負けねぇが、巨人三万を皆殺しにするなんてマージオーク全員集合しても無理だぜぇ!」


 淡い緑色の光に照らされた薄暗い空間。

 そこはラースタチカ後方に位置する第三戦闘ブリッジだ。


 今その場所には太陽系連合元帥ルシャナ。

 ミアス・リューン艦隊、第七騎士団長アーレンダル。

 ルミナス宇宙警備隊大隊長、ルミナスエイト。

 マージオークゲッシュB911艦隊、ゲッシュB911。

 そして多文明連合艦隊総旗艦、ラースタチカ艦長、ラエルノアの計五人。


 それぞれの勢力を率いる指揮官が、互いの船からホログラムのみで集結していた。

 そして、最後にもう一人――――


『チェルノボグが持つ創造主としての力――――パラメータ管理権限や、万物創造の力はすでに()()()()()()()()()()()()()()されている。つまり、第七世代を滅ぼしたその艦隊は、チェルノボグが遙か以前から秘密裏に準備を進めていた戦力だろう』


「なるほどね。彼がわざわざお祖母様やパパの前に現れて私たちを挑発してみせたのも、すでに私たちを迎え撃つ準備が完了していたからだったってわけだ」


 その薄暗いラースタチカの第三ブリッジの最奥。機械的なボディに赤いランプ状の眼光を明滅させる人影――――創造主が一人ストリボグ。


「おいおいおいおい! いっつも偉そうに余裕ぶってっけどよぉ!? オメェーも俺たちを作ったそーぞーしゅって奴の一人なんだろぉ? オメェーもなんかこう、パーっと一発で邪魔な奴らを吹っ飛ばしたりできねぇのかァ!?」


「お、おい! やめないかゲッシュよ! 彼は我々を生み出してくれた創造主なんだぞ!」


「ギャギャーーー! うっせーぜ青びょうたんの耳長! 役に立たねぇなら親だろうが関係ねぇーんだぜぇ! ギャッギャッギャ!」


「なんだとっ!?」


 ルミナスの本星と共に、三万人ものルミナス人を容易く虐殺して見せたというチェルノボグの艦隊。

 想定を遙かに上回るその力に、各陣営はにわかに焦りを見せる。しかし――――


「やめるんだ二人とも。確かにこれほどの規模の攻勢は想定外だったけど、チェルノボグの戦力を削ぐ方策はすでに()()()()()()()()()()()()が仕掛けている」


『我ら四人の持つ力は同等だ。権限を剥奪された以上、現在のチェルノボグの力は単純に比較すれば私やスヴァローグ。そしてヴェロボーグの子の持つ力を下回る』


 言い争いに発展するアーレンダルとゲッシュを制し、ラエルノアはストリボグに目配せする。

 それを受けたストリボグはその赤い眼光を明滅させ、全員の前に広大な銀河全域のマップを投影した。


『残念だが我らは万能ではない。局所的な奇跡は起こせても、万を超える大艦隊を指先一つで消滅させたり、無数の星々を同時に生成するには長い準備が必要だ。故に限られた時間ではあるが、私はスヴァローグと共に、始まりの地周辺の宙域の()()()()()()()()()()


「パラメータを固定?」


『チェルノボグの艦隊は、その攻撃力・防御力・機動力において、この宇宙で到達できる()()()()()()()()()()()()()()()()()はずだ。それに加えて、管理者権限を奪われた今でも、ヴェロボーグの子がしてみせた、()()()()()()()()()()()()()だろう』


「なんと卑怯な! それではいくら我らが団結しようと、太刀打ちできないではないかっ!」


『そうだ。しかし私とスヴァローグの展開した領域下では、すでに最高値に設定された艦隊のパラメータは変えられないが、チェルノボグのコマンドによる即時修復や、戦力の即時生産は()()()()()


「つまり、とにかく立ちはだかる敵艦隊を突破さえすればなんとかなる。そういうことだね?」


 ストリボグの説明に念押しするラエルノア。

 いかに彼女とて、無限にわき出す艦隊を相手にすることはできない。

 

 そこでストリボグとスヴァローグの二人は、自らの創造主としての力を使い、チェルノボグの自由をより高次元から封じたというのだ。


『それはチェルノボグも気付いていよう。だからこそ、我々が展開した禁止領域外の第七世代の本星を襲ったのだ。第七世代の力は、チェルノボグの艦隊と同様()()()()()に設定されているからな』


「とはいえ、敵さんの出方をずっと警戒してくれてたルミナスがやられちまったんだ。こっちも臨戦態勢にゃしてるが、もういつ攻撃されてもおかしくないってこったねぇ?」


『この艦隊の周辺領域も、始まりの地と同等のパラメータ封鎖を行っている。たとえチェルノボグが打って出てきたとしても――――』


 だが、その時である。


『緊急連絡! 艦隊進路方向に巨大質量多数――――! ルミナス本星からの避難民が退路を追跡された模様! と、とんでもない数だ――――っ!』


「さすがルシャナ。噂をすればなんとやら――――だね」


 突如、始まりの地を目指す数十億の大艦隊全艦に響く敵襲のアラート。

 ルミナス本星から逃げ延びてきた、傷ついたルミナス人たちの遙か後方。


 広大な銀河の星々の輝きを遮り、極彩色の宇宙を漆黒の影に染める大艦隊が一斉にワープアウトする。


『敵艦隊ワープアウト! そ、総数不明――――! 敵艦隊の反応は我々の前方、()()()()()()に及んでいます!』

 




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