ヘビメタが聞こえる 後編
俺は、長髪にサングラス聞こえて来るヘビメタに合わせ、ノリノリで渋谷の町を歩いていた・・・
そんな俺に立ちはだかる一人の男・・・
鋲を打ち込んだ革ジャンにジーンズ・・・
『コイツにも、ヘビメタが聞こえてるな!』
俺は、その男の目の前でエアギターを弾き、ヘッドバンギングしまくった!
男は恐れを感じたのか、後ずさりして道を譲る・・
『・・・勝った!俺は勝ったぞぉ~!みんな俺に道を譲るんだ!俺はヘビメタ王だぁー!』
俺は、更にノリノリになった!
渋谷は若者の町。ヘビメタが聞こえそうな奴らが、わんさか居やがる。
俺は聞こえて来るヘビメタに合わせ、エアギターとエアドラムで片っ端から挑発しまくった!
俺の周りから人がハケて行き、スクランブルでは人波が分かれ、目の前に道が通る・・・俺はその道をエアギターとヘッドバンギングで渡って行く。
『王様のお通りだ!』
誰も俺の道を遮るものはいない!
『ヘビメタ最高だぜぃ!』
鳴り響くヘビメタにノリノリの俺・・生きてるって感じた・・
突き進む俺に、一人の男が目に入る!
そいつは、革ジャンにブーツ、シルバーのアクセサリーをジャラジャラ身に着け、肩にはギターを担いでいた。
俺の低音が激しく響き出す!男の周りをヘッドバンギングとエアギターで回り出した!
俺の動きをじっと見つめる男・・・
ガンガンでノリノリの音が身体中を駆け巡り、俺は更に激しくヘッドバンギング!
奴は、俺の強いデストネーションに、ミュートを効かせたリフを感じたのか、ギターを取り出し、激しく掻き鳴らした!
俺は奴の音に負けじと、強いアタック音のベースに、高速でツインペダルを踏み続けドラムを叩き、ヘッドバンギング!
二人のヘビメタが激しくぶつかり、二人は激しく、ヘッドバンギング!
やがて、二人の音が交じり合い1つに・・シャウトにユニゾン・・・時間を忘れ、激しくヘッドバンギングし続けた・・・
至福の時間が流れていった・・・互いの音を認め合い、別れ際にハイタッチを交わしメロイック・サインを突き上げた俺だったが、バイトに遅刻しクビになった・・・
『しかし、俺はヘコたれない!俺にはヘビメタがある!俺の身体中に鳴り響くヘビメタが!
モーツァルトやベートーベン、かつての天才音楽家達には、常に音楽が聞こえていたに違いない!・・そして俺にはヘビメタ・・・そう、俺は天才なんだ!』
俺は、ガンガンに鳴り響く音に身をまかせノリノリで家に帰って行く・・・
『母ちゃん!ただいまっ!』
帰って来た俺は、いつものように薬と水を一杯。
すると、今まで聞こえていた音が消えた・・・ガンガンに鳴り響いていたヘビメタがピタリと・・・
どうやら、耳鳴りの薬が効いたらしい・・・
俺は、そっと長髪のカツラを取り、革ジャンに革のパンツを脱ぐと・・・
「とりあえず、バイト探さねぇとなっ・・・」
(終わり)




