ヘビメタが聞こえる 前編
最近、音楽が聞こえるようになった。
隣の部屋から聞こえて来るのかと思いきや、外に出ても聞こえて来る・・・24時間ずっと・・・
ヘヴィーメタルが鳴り止まないのだ!
俺の耳か・・・頭の中か・・・頭だとしたら、俺はイカれちまったんだろう・・・・
精神科に行くのは気が進まないので、耳鼻科に行ってみる事にした。
診察室で待っていると、眼鏡を掛けた若い医者が入って来て
「今日はどうされました。」
と目の前に腰掛けた。
「頭の中で、音がするんです。」
「耳鳴りですね。最近多いんですよ耳鳴りで来られる方が、ストレスや加齢・・色々考えられますが、どんな音です?」
「音楽なんです・・ヘビメタの・・」
「ほぉーーっ!ヘビメタですか。いいですね。私も好きでよく聞くんですよ!ヘビメタ。」
「いや・・好きで聞いているんじゃなくて、聞こえて来るんですよ。ガンガンな奴が・・・もう、うるさくて・・」
「なるほど・・うらやましい・・・毎日ノリノリなワケですね・・・では、ちょっと見てみますか。」
医者は俺の耳を覗き込んだ・・・
「今も聞こえてますか?ヘビメタ。」
「はい・・聞こえます。」
「・・変ですねぇ・・バンドなんて居ませんよ。」
「・・・・・」
『この医者・・・冗談で言ってんのか、からかってんのかどっちなんだ・・・』
「まぁ・・・一応耳鳴りの薬を出しときましょう。でもヘビメタが聞こえるなら、毎日ノリノリで生きれて、最高じゃないですか。」
『・・医者に、俺の気持ちが分かるか!』
と思いつつ、処方箋を受け取り病院を出た・・・・頭の中で鳴り響くヘビメタ・・俺は気が狂いそうだったが、医者が言ってた様に聞こえる音にちょっと乗ってみた。
何だか楽しくなって来る・・・
『あの医者・・とんだヤブ医者かと思ったら、とんでもねぇ名医かもな・・・』
それから、俺はノリノリで生きる事にした。
革ジャンに革のパンツとブーツ、ヘッドバンキングしながら歩き出す・・・
俺が歩くと皆が道を譲る・・行列に並んでも直ぐに順番が回ってきた。
『ヘビメタが聞こえるって、最高だぜ!』
俺の気分は、ノリノリで盛り上がっていった・・・




