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人生ってままならない  作者: キジトラ猫
7/8

六話 男と手紙



パンナさん家族とお手製ワッフルを楽しみ

空が赤くなるまで色々な話をした


市場で残りの買い物すまし

家へと帰宅


夕飯を食べお風呂に入れば

ホムラは疲れていたのか

そのまますぐ寝てしまった



お茶を飲みながら一息つく


パンナさんやジルくんの話を

ホムラは目をキラキラさせながら

話を聞いてきた



自分もジルと同じように魔法を使いたい

学校に行ってみたい

そう言葉にだしていた


息子の願いを叶えるには

町へと移住し、市民権を得なければいけない



そのこと自体はそう難しくはない

知り合いにお願いすれば直ぐに対応してくれるだろう



でも…



頭の中で永遠と でもでも と考えてしまい

答えが出せずにいると






【でもでもといい加減にしたらどうだ】


低い声が耳元で響く


その声に驚き振り向けば

黒髪の男が不機嫌そうに立っていた



【その悩んでばかりで答えが出ないのはお前の悪い所だ。諦めて答えを出したらどうだ?】



そう男は言い放った



急に現れるなよ

私ビビりなんだぞと思いつつ

その男の言葉にため息を吐いた


「そうはいっても俺の決断のせいでホムラを危険な目に合わせたくないし…」


そう私はそばに立っている男、ディアンに言い放つ


長いうねった黒髪をなびかせ

見るからに高そうな服を着こなしたその姿は

知らない人がみればどこかの国の王族だと思うだろう


私には厨二病をこじらせたようにしか見えない


彼の頭には真っ黒な角が生えており

彼が人間ではないこと表していた


見た目もなかなかのイケメン

綺麗な顔ってこういう顔なんだな、と


はじめてあった時はビックリしすぎて

「綺麗すぎてキモイ」って思ってしまった


まぁ、口に出てたみたいで

ぶちギレられたのはいい思い出だ



このディアンは私の友であり、一番の理解者である

人前では姿を表さないが

こうやって2人きりになると出てくるのだ


ホムラがいると出てこないので

ホムラはディアンのことは知らない



【あのガキに全て話せばいいだろ。どうせ今後どこかで知ることにはなるんだ。他人から聞くよりお前の口から聞いた方がいいだろうが】


「…」


確かに…


【まぁ、あいつはまだクソガキだから、説明はその内でもいいと思うがな。どうせ今説明したって理解できんだろうよ】


「お前いい加減にしろよ…!さっきからホムラのことガキガキって…!」


ホムラは頭いいんだぞ!

優秀なんだぞ!

まだ4歳なのにもう魔石から魔法を引き出せるんだからな!

ほんとうちの子天才だな!


【俺はあのガキが嫌いだ】


つーん、と不貞腐れるディアン

見た目成人男性がそんな子供みたいに不貞腐れるなよ


顔が無駄に整ってるから

ちょっと可愛いとか思っちゃったじゃねぇか



おっと口が悪くなった、失敬失敬



【お前が悩んでるのはそれだけじゃねーだろ?】


「…」


そう言われて黙るしかない




というのも

私は外にでるのが怖い


ここに来たての頃は人のことが怖すぎて

人と話すことが出来なかったし

ディアンがいないと眠れない日が続いていた


町に出られるようになったのは

パンナさん達夫婦のおかげだ


優しい2人に少しずつ心許せるようになった


それに町の人達もすごく優しくしてくれるから

今、こうしていられるのだ



だから出来ればあまり知らない人のいるところには行きたくないし

できるだけ引きこもっていたい

畑仕事を続けていたい



でもホムラを一人で町の外に出すのも心配で


私の目の届かないところで


ホムラが嫌な目に合わないか

ケガとかしないか


心配で仕方がない

だから近くで見守りたいという気持ちもある



そんな俯き加減の私にディアンはため息を吐いた



突然、ディアンは私の顎をつかみ無理やり顔をあげさせた

仮面を被ってるので私の目はみえないはずなのに

目が合ってるような気がした



【あの時も言ったろうが、俺がいる】



「!」



【俺がいればなんも問題ねーんだよ。お前にとって不都合なものは俺が変えてやる。お前はだまって俺を使えばいいんだよ。シャキッとしろや】


その目は真剣だった



突然のディアンの行動に私は慌てる


「わ、わかったって」


ディアンの手を振りほどき

背を向けた


一応今は男なのだが

ドキッとしてしまった


このままだとよろしくない道にいきそうなので

一旦、ディアンには帰ってもらった



正直に言うと

ディアンの言葉に私は安心を覚えた

ディアンほど心強い味方はいない

ディアンがいればなんとかなる

そう思えるのだ



その後、空が明るくなるまで

私は悩みに悩んだ



翌朝、まだホムラが寝ていたこともあり

ディアンが目の前に現れる



【で?】



「いや、で?って」


ほんとこいつのこの態度腹立つな

イラッとしつつも

ディアンの目を見る


「ホムラを学校に行かせることにした。そんで俺も恐怖を克服して傍で見守ります。以上!これでいいか?」


私がふんっ!と鼻を鳴らすと



【ああ】


ディアンは静かに頷いた


そんな反応に拍子抜けしてしまった


「はぁ…お前ってほんとに…いや、もういいや」


私は懐から手紙を出す


「じゃあまずは転居するための手続きをしないとだな。ディアン、この手紙を届けてもらえるか?」


するとディアンがサッと手を振る


ポンッという音とともに

目の前にカラスが現れた


【こいつが届ける】


その言葉にカラスが一声鳴いた


そしてカラスは手紙を咥えると

そのまま飛び立っていった



ここから色々と忙しくなるぞー

そう思いつつも安心したのか眠気に襲われたので

私はベットへと行き、眠りについた



その2時間後にホムラに起こされたけどね




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