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人生ってままならない  作者: キジトラ猫
6/8

五話 魔石と魔法


裏庭への扉を開けると

しっかりと手入れがされた

花壇が目に映る


綺麗な水色のカーネーション

パンナさんの好きな花だ


花壇を眺めつつ

わいわいと楽しそうな声のする方に歩けば

楽しそうに遊んでいる子供たち


「とうさん!」

こちらに気づいたホムラが

走ってきたかと思えば私に抱きついてくる


「ねー!ねー!すごいんだよ!ロンが魔石にさわったら魔石がピカーってね!そしたらビシャビシャってね!でもジル兄がやったら、もっとピカピカで、バシャってね!」


息子よ…擬音ばっかりだね


「ノヴァさん、こんにちは」


「ノヴァおじさん!」



歩いてきたのはパンナさんとこの兄弟

長男のジルくんと次男のロンくん

2人ともパンナさんとよく似た紫の髪をしている

ロンくんの方が濃い色をしているものの

顔つきは2人ともそっくりだ


「ロンくん、前から言っていますが。私はおじさんではなく、おにいさんなんですよ」


私はロンくんに言い聞かせるように言う


「?、でもおじさんはホムラのパパなんでしょ?」


ホムラの父=おじさん、ってこと?

え、私一応10代なんだけど

この歳の子からすると私っておじさんなの?

ちょっとっていうか大分傷つくんですけど

いや、現代だったらまだギリ高校生なわけで

ロンのお父さんとも結構年の差あるし

ってか10代だし?

まだお兄さんの部類じゃない?

そりゃ見た目隠してるけどさ

私そんなおじさんに見えるのか…?

しょ、ショックだ…


私がしょげてるのがわかったのか

ジルくんが申し訳なさそうに笑う


「ごめんなさいノヴァさん、あとで俺からしっかり言っておくから」


「いや、べつに気にして…なくはないというか…あ、うん、大丈夫です」


子供に気を使われてしまった…くすん


「ねー!ねー!魔石がね!ピカってバシャって!」


「はいはい、わかりましたよ」


足元でばたばたするホムラの頭を撫でる

そしてジルくんの方を私は向いた


「魔法の練習をしていたんですか?」


私がそう聞くと

ジルくんは照れくさそうに笑った


「はい、練習ついでにロンにも教えてたんです」


「いいと思いますよ。他人に教えることで自分の理解も深まりますからね」


うんうんと頷く私に

ジルくんはもじもじとしながら口を開いた


「実は俺…オラクル魔法学院に受かったんです」


「!本当ですか!それはおめでとうございます!」


「はい!」


ジルくんはそれはそれは嬉しそうに笑った


オラクル魔法学院というのは

国が営む魔法士などを育てる学校である


貴族の子息・息女が入学することが多いが

ある程度の魔法の適正と知識そして実力があれば

一般家庭からも入学することができる




この世界の学校は現代のような普通の学校と魔法専門の魔法学校その2つがある

普通の学校は入学金が払えれば入ることが可能で

魔法学校は実力も必要なのだ


それでも魔法学校に入学を希望するものは多い


理由としては魔法士や魔法騎士など役職につけるから


現代でいう国家公務員のようなもので

なれれば将来安泰である

(特に貴族の次男、三男など家を継がないものたちの人気が高い…というか何がなんでも入りたいものが多い)



この国の子供は10歳になるころに進路を決める


何故かというと

この世界の子供は10歳になると自身の中にある魔力が急激に増え始める


魔力量の多さによっては本人だけでは扱いきれないため

学校で使い方を学ぶ必要があるのだ


魔力量の多さは教会で調べることができる

大体の人は毎年1回は教会にて検査をし

魔力量の変化を確認して家族で進路について相談しあう


オラクル魔法学院は魔法学校の中でも難しい部類にはいるだろう

貴族であれば比較的入りやすいが一般家庭から入るには

相当な努力が必要となる


ジルくんの魔力量についてはパンナさんから聞いてたし

また、勉強を頑張っていたのも知っていた

だから合格したというのはとても嬉しいことだ


パンナさんなら

まっさきに教えてくれそうなのに


「俺の口からノヴァさんに言いたくて…だから母さん達には黙ってて貰ったんです」


私の考えていることがわかったのか

ジルくんが説明をしてくれた


「なるほど…いや、でも本当におめでとう。ジルくんすごい頑張ってましたもんね。私もすごく嬉しいですよ」


「ノヴァさんが魔石に魔力を通す方法や引き出すやり方を教えてくれたからですよ。そのお陰で魔法の発動にもそんなに時間かからないし、それに最近は魔法を操るのもそんなに苦じゃなくなりました!」


そう言いながらジルくんは手に持っている魔石を使って

目の前に大きな水の塊を作り出した


そしてそれを空に打ち上げるとシャワーの如く私たちに降り注ぐ


キラキラと輝きながら降り注ぐ雨はとても美しかった

そして空には虹がかかる


「うわー!ジル兄すごい!」

「にいちゃんすごいすごい!」


ちびっ子達はその光景にキャッキャっとはしゃぎ出す


「うんうん、発動もスムーズですね。ジルくん頑張って偉いですよ」


偉い偉いとジルくんの頭をわしゃわしゃとなでた

気持ちよさそうに撫でられてるジルくん







「でもこのままだと私たち風邪を引いてしまうかもしれません」


「あ、」


くしゅん


足元にいるロンくんがくしゃみをした


「あぁあ!ごめんなさい!俺そこまで気がまわらなくて!」


みんな全身びしょ濡れである


「大丈夫ですよ」

わたわたするジルくんに笑いながら


ポンッ

ポンッ

ポンッ


私はゆっくりと三人の頭を撫でた


するとジルくんが驚いた顔をする


「え、うわ!服が…ってか髪も乾いてる!なんで!?」


3人とももう濡れていない


「おじさんすごいね!」


「おれのとうさんすごいでしょ!」


え!?え!?と戸惑っているジルくんをよそに

ちびっ子達はキラキラした目でみてくる


「ふふっ」


もっと尊敬の眼差しを向けてくれて構わんのだよ


私はきっとドヤ顔だったろう


「これも魔法ですよ。ただやり方については秘密です」


私が人差し指で秘密ポーズをとる


その後、ちびっ子達からのなんで攻撃をかわし

戸惑うジルくんを連れて

パンナさんお手製のワッフルを食べに

家へと戻るのだった



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