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10話

キャベツに続き、レタス、大根、ジャガイモ、ナス、トマトetc…色んな野菜の種や苗を、買ってきた数全て植え終えた。

植えた順番は手当り次第と言った所だ。けれど、場所はランダムではなく、分類ごとに分けてくれたので、どこに何があるのかが分かりやすい。

葉野菜は葉野菜で隣同士の畝になったり、地中で育つ野菜は根菜と茎野菜で分かれたり。果実野菜もキレイに並んているが、支柱が必要な物と要らない物で全く違うところに植えられていたり。


いつの間にかタブレットに2つ変化が訪れていた。

1つは、畑マップが追加されていた事だ。畝の位置もピッタリ。畝をタップすれば、何が植えられているのかすぐ分かる。畑の周りの手付かずな草混じりの牧草地帯(逆かもしれないが)は表示されていない。

それから、ステータス画面(勝手に呼ぶ事にした)。スキルと表示されている『みどりの手』の下に、新たなスキルが表示されていた


「自動農園…」


簡単に想像がついた。自動で種の採取、苗付け、種蒔きをしてくれるヤツ。なるほど、コレはスキルの1つだったのかと納得する。念の為タップしてみれば、オンオフ可能。一瞬オフにしたが即座にオンに戻した。

その下にはタスクバーが表示され、細かい設定が出来るようだ。


スキル画面を軽く見終えてから、マップ画面へ戻す。


「うーん…」


タブレットと実際の畑を交互に見ながら、少し広くしすぎたかと反省する。

田んぼに半コート分使い、種や苗を植えてそれでも田んぼの横の半コートは何も植えられず、検証の為に追加で作った所がまだ半分近く空いている。後者は、真横に植えられたのがカボチャだ。蔓が伸びても隣に植えた物と他の野菜と接触しないように、少し離れて植えてある。


大方の野菜は植えてある。地球…日本でごく普通に流通していた野菜に限るが。

他にも種や野菜は色々売っていた。地球の、外国に存在したもの、他の世界からやって来たもの、この世界独自のものと言った所か。しかしそれらがどういう野菜なのか分からない。恐らく育てる事はスキルによって可能なのだろうが、調理法が分からなければどうしようもない。


「となると、やっぱりアレ…かな」


畑で育てられるモノで、有名な野菜を、2つ思い浮かべる。

育てるのが他の野菜より大変というイメージから買ってこなかったが、うん、今はそれを後悔している。

まぁ、午後は稲の苗を見に行こうと思っていたから、別にいいのだが。

その2つはカボチャの横が良いだろう。残りは田んぼの横。こそは、穀物繋がりで、麦でも植えておこうか。


「さて、と。それじゃあ…」


今できる事はもう終えてしまった。

もう少しで10時になるところ。今から出るとなると、少し中途半端になってしまうだろうか。


「何か作ろうかな」


簡単に食べれるものを作って馬車に乗って食べても良いかもしれない。

きっと、帰ってきて苗を植え終えても、時間は余る。のんびりお茶にでもしようか。食べるのは一人だけど、妖精達がワイワイしてるから切なくはならないはずだ。

そう言えば、妖精達に果物を取ってきて貰っていたんだった。あれも使えないだろうか。


「とは言え、製菓用の道具は殆ど買ってないからなー。作れるとしたらクッキーぐらいかな」

「クッキー?」

「クッキーだって!」

「クッキーってなんだろう」


ココロの言葉に続くように、妖精達が騒ぎ出す。

昨夜からだが、ココロが料理をしているのを、彼らは楽しそうに眺めている。

食事はしない彼らだが、料理が出来上がっていくのを見るのは好きなようだ。


「じゃあ、一緒に作る?」

「つくるー!」

「それじゃあ、材料からね」


バターに砂糖、卵と小麦粉。シンプルだが今はこれしかないので仕方がない。

計りを使って必要な量を計っていく。

バターは湯煎にかけて柔らかくなるまで溶かし、砂糖を加えて混ぜる。

溶いた卵黄を少しずつ加えながら混ぜ、最後に小麦粉。

塊になった丸い棒状にしてラップに包んで冷蔵庫へ仕舞う。

ボウルを抑えたり、卵黄を加えてくれたりと、一人だとやりにくい所に手を貸してくれて、非常にやりやすかった。


「それから…」


戸棚から食パンを取り出して薄く切り、テーブルに積まれていた果物の中から、キウイと桃を持ってきて小さくカット。パンにバターを薄く塗り、少し前に出しておいた冷凍庫されたホイップクリームを絞り、キウイと桃を並べて乗せ、再びホイップクリーム。同じくバターを塗ったパンで挟む。

最後にラップに包んで再び冷蔵庫へ入れた。


それから紅茶ティーパックのを濃い目に入れて、氷を入れたフタ付きボトルに注ぐ。

馴染んだフルーツサンドを取り出し、半分に切って適当な大きさのタッパーへ入れて、ボトルと共にバッグへ仕舞う。


「よしっ!」


お茶とお昼の準備を終えると、11時を少し回ったところだった。丁度いいぐらいだろうか。

バッグを持って、ワラワラとついてくる妖精達を見守りながら、馬小屋へと向かう。


「連続になっちゃうけど、今日もお願い、ね…?」


馬小屋の中に入ると、中で待っていた馬がこちらをじっと見ていた。

純粋な黒い瞳に見つめられる。何か物言いたそうな目だ。


「ロズ?」

「ん?んー…おなまえほしいって!」

「名前?」


そう言えば、ハロルドも名前については何も言っていなかった。

伝え忘れたのか、名前が無いのか。恐らく後者だろう。それならば、名前を欲しがるのは当然だ。


「名前…」


馬にはどんな名前がいいのだろうか。犬猫なら、祖父母の家で飼っていたので想像がつくが、馬はよく分からない。

高校時代にコンビニでバイトをしていた時、競馬新聞を扱っていたが、読みたいと思うこともなかった。

…これは完全にフィーリングに頼るしかないだろう。

馬の体をしっかり見やる。遠目で見ると白い色をしているが、近くで見ると薄い黄色にも見える。クリーム色だろうか。


「クッ…キー?」


ポツリと言葉が漏れ出た。

クリーム色から、ポンポンと連想していき、最終的にクッキーにたどり着いたのだ。

それを聞いてどう思ったのか、パカパカと蹄を鳴らしている。


「?」

「クッキー!うれしいって!」

「そう?よかったぁ。じゃあ改めて、宜しくね、クッキー」

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