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4話

「えっ、売ってないんですか?」

「はい、申し訳ございません」

「あ、いえ。ありがとうございました」


買えるものだけ買って、一度エントランスフロアへ戻ってきた。

中央のデスクにようしのある人の列に並び、数分後。

ようやく順番が回ってきたので、種や苗について訪ねた所だ。


回答はこうだった。

ここ、中央の国で農業を営む人はいないので、売っていない。過去に一度売りに出した事はあるが、一切売れなかったのだそうだ。

ちなみに、他で売ってる店がないか念の為確認はしてみたが、答えは同じだった。


そんな話を聞いても、ちょっとだけ驚いただけで悲観する事は無い。存在しない訳ではないのだ。

そしておそらくだが、南の国では手に入れられる可能性は大きいだろう。

とにかく、今ここで購入予定だった物は全て買えたので、帰路につく。


来た時の道を迷うことなく戻り、南の国へ続いているドアを通る。

馬小屋のある裏口へ足を向けると、後ろから声をかけられた。


「ココロ」

「え?あ、ハロルド」


扉の閉まる音でも聞こえたのだろうか。ハロルドと、彼の弟がやってきた。

いつもと様子の変わらないハロルドと、少し申し訳無さそうにしている弟の様子に、どうしたのだろうと思う。


「ココロが来てたって聞いて、待ってたんだ。不思議な話も聞いたし」

「不思議な話?」

「そう、弟のリックから」


どうやら弟の名前はリックと言うらしい。朝は急いで(と言うより急かされて)中へ入ったから、聞いていなかった。

ハロルドに何かを言われて、馬小屋に入っていくリック。それを見ながら、不思議な話とはなんの事だろうと考える。

すぐに預けた馬を連れたリックが出てきた。


「朝の話を、ココロにも話して」


ハロルドに促され、リックが見たままに話す。

それを聞いたココロは、驚いて目を見開いた。


「は、え!?馬車が、鞍の形に!?一体なんで、どうやって!」

「んー、それはこっちが聞きたいぐらいなんだけど」


少し混乱するココロに、ハロルドは困った顔を向ける。リックは二人に挟まれる形で、オドオドとしていた。


「所で、馬車の使い方はまだ教えてないけど、どうやって接続したの?」

「え、どうやってって」


タブレットがが反応してウインドウが表示され、そこに表示されていた選択肢に応えたら妖精が馬車へ近づき、気が付いたら完成していた。

簡潔にそう答えると、ハロルドは苦笑いを浮かべ、リックは「妖精!?」と驚きの声をあげていた。

一方で、ココロはそれがこの世界の普通なのかと思っていたものだから、2人(主にハロルド)の反応を見て、尻込みする。


「え、もしかして…」

「どうやら、ココロは妖精の力を借りれる以外に、とんでもスキルを持っているみたいだね」

「うわぁ…」


昨日一昨日と見た妖精の能力の時点でチートを感じていたが、どうやらそれだけではなかったようだ。

「そんなの望んでない!」と心の中で叫びながら、がっくりと肩を落とした。





気を取り直したところで、馬車の形にどう戻せば良いのかと馬に近づいた所でウインドウが現れ、『形状を変更しますか?』という問にYESを選択すれば鞍が自動的に馬車へ変形する。

「ロボットか!」と突っ込みたくなったのは、やはり兄と見ていたアレの影響だろうか。

一緒に見ていたハロルドやリックも、目を耀かせてみている辺り、男の子だなぁ、なんて思う。


「あ、そうだ」


さて帰ろうと思った所で、まだ大事な用事が残っていた事を思い出した。


「ねえハロルド、野菜の種や苗買えるところって、どこかに無い?」

「種や苗?あぁ、そう言えば昨日そんな事言ってたっけ」

「うん。今日も昨日行ったショッピングモール行ったんだけど、そこには売ってなくて…」


売っていない理由は、特に並べなかった。ハロルドがそれを知らない訳が無いという思いからだ。そしてそれは、間違っていない。

そして、ココロの最初の問には、ハロルドではなくリックが答えた。


「あ、それなら、この国のどの街でも売ってますよ」

「本当!?」


この国で買えるだろうと言う考えも、どうやら間違いではなかったようだ。それもどうやら、この街でも買えるらしい。

遠い街だったらどうしようかと思っていた所だから、それは有り難い。


ハロルドもリックも、これから用事があるという事で、場所だけ聞いてから馬車へ乗り込む。

朝と同じようにウインドウが現れて、家の他に『農業センター』と表示されているので、そちらを選ぶ。

馬が動き出したのを確認してから2人におれを言おうと振り返ると、何やら微妙な顔をしているのが見えた。


「き、今日はありがとう!また何かあればお願いします!」


また自分は、何かやらかしたんだなーと思いながら、手を振る二人に、苦笑いを浮かべながら振り返した。

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