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12話

農園をすると決めたはいいものの、先立つものが無い事に気付いた。


「あーこういう時こそハロルドにいて欲しかったなー」


ココロが妖精以外で面識があるのは、ハロルドとライラ女王陛下だ。導き手のおじいさんもいるが、会話は無く顔すらハッキリ見ていない。

ライラ女王にはハロルドを頼れと言われたが、連絡先などは知らないからどうしようもない。


「むー、しょうがない」


悩んでいても仕方がない。

情報だけでも集めに行こうと支度をする。


「でかけるのー?」

「うん。この世界の事、まだ何も知らないから、少しでも知っておこうと思って」

「分かったー」

「お留守番ー」


妖精達は、ここから出られないらしい。

理由は彼らも知らない。

なにかお土産でも買ってきたいところだが、なにが良いかわからない。それ以前にお金が無いので買えないのだが…。

昨日作った道を妖精達が飛びながら着いてくる。


「じゃあ、行ってくるね」

『行ってらっしゃーい!』


外に出る一歩手前で振り返り、声をかけて手を降ると、声を揃えて見送ってくれる。

微笑ましく思いつつも、外へ一歩踏み出した。



一歩出ると、ガラリと変わる景色。

整備された林道に、遠くに見えるビル群。

すべての情報は中央国家から発信されているので、すべて揃えるならあそこだろう。

しかし足は自分の足しか無いので行くのは時間がかかり過ぎる。片道でも数日かかるだろうか。だとしても行こうとは思えない。


となれば、行き先は南の国になる。

昨日馬車で揺られながら外を見ていたが、近くに街が合ったはずだ。そこそこ距離はあったが、夜までには帰ってこれるはずだ。

そう思いながら林道を歩き始める。

と、どこからか蹄の音が聞こえてきた。それに続く車輪の音。それらは徐々に近づいてきており、すぐに馬車が姿を表した。


(あれ、この馬車…)


この先には、他の人から見ると何もない所だ。そこへ用事があるとは考えにくい。

そんな事を考えながら見送ろうとするが、その馬車には見覚えがあった。いや、見覚えどころか、昨日乗ったばかりだから忘れようがない。

ココロの考えに応えるかのように、馬車はココロの横で停まった。

そして馬車から降りてきたのは…


「ハロルド!?」

「やっぱりココロだった」



ハロルドに誘われて再び馬車へ乗り込む。

馬車の向きが変わり、今しがた走ってきた道を戻っていく。


「ここで会えて良かった、入れ違いにならなくて」

「でも、どうしてここに?」

「ライラ女王と相談したんだ。あの辺りは他の街から離れ過ぎてて、物資調達が不便だろうか、一度様子を見に行ったほうが良いだろうって」

「そうだったんだ」


なんとタイミングの良いことか。今正しく物資調達に悩んでいた事を話す。

そして、現在手持ち無しな事も打ち明ける。


「ん?あぁ、そっか」

「え?」

「ごめんごめん、話してなかったね。お金なら問題ないよ」

「え、でも…」

「住民カード出せる?」

「??」


ここへ来て初めての言葉に首をかしげる。

もしかして住民費のようなものだろうか。たがまだ住民登録はしてないのでそもそも持っていない。


「あ、これこれ」


なんの事かわかっていないココロに対し、ハロルドは右の人差し指と中指を使って空に丸を書く。

ポトリとハロルドの手に落ちてきたのは、ココロが持っているものと同じ、タブレットだった


「え、それ住民カードって言うの?」

「そう。この世界に住む住民は全員持ってる。自分自身の情報が載ってるから身分証にもなるし、お金はここに入ってるし全部これが管理してくれる」


へー、と思いながら、自身のタブレット…もとい住民カードを取り出す。

つまりは身分証(免許証や保険証の変わり)や、サイフにもなるという事だろうか。

いやしかし、昨日の夜ライラ女王からメール(で良いのだろうか)が届いていた。やはりタブレット端末と同じ扱いで構わないだろう。


「あ、でもお金はまだ持ってないよ」


そう、一番の問題はそこだ。まだこちらへ来て働いていないのだから、給料なども無いのだ。


「無一文で放り出すほど、女神や世界は薄情じゃないよ。右上の、三本の横棒に触ってみて」


役立つ能力を授けてくれてるのだから、無一文でも薄情ではない気がするが…

そう思いつつ、ハロルドに言われるままメニューバーのような部分に触れる。数種類の項目が表示された。

ステータスにスキル、持ち物等がある。その中に、『金銭管理』の項目を見つけた。


「あ、これ?って、えぇ!?」


それに触れてみると、預金通帳のページのような画面に切り替わった。

既に2行分の記載があり、預金額を見て驚いた。

8桁ある。内下6桁は最近見覚えのある数字だった。


「私の、貯金?」


下6桁、いや、一行目の預け金は、ココロが自身で稼ぎ貯めていた物だ。家賃と光熱費以外の使い道があまり無かったので、貯まる一方だった。

しかし2行目の預け金は見覚えがない。7桁だった数字が8桁になるほどの預け金は、一体どこから現れたのか。


「残りは女神と世界から。新しい世界で、望んだ暮らしが出来るように、らしい」

「らしいなんだ」


こちらはどうやら、転生者全員もらえるらしい。違いを上げるなら、金額はいつもバラバラだそうだ。ココロより多い人も居れば少ない人もいる。使うか使わないか、使うならどう使うかは、当人次第だそうだ


「そうなんだね」


一先ず自分の貯金もあるから、使うとしたらそちらからだ。足りなくなる…と言う事は避けるようにしたい。

お金の心配が無くなったから、次は何を買いたいかの相談に移った。


「家具は大分揃えられたから、必要なのは…」

「あ、それならこれ使うと良いよ」


教えられたのは、メニューバーにあるスケジュールと書かれた項目。メモとしても使えて、さらに最初に目標等を書いておけば、達成した項目は消えていくというものだ。

確かに買い物もリスト化しておけば、買い忘れや重複む防げる。


「へぇー便利だね。前は買い忘れとか良くしてたから有り難い!」


では早速。最初に『買う物』と書く。

順番はかなり適当だ。思いついたものから書き留めていく。キッチン周りの家電は必須だ。調理道具に食器も一通り、衣類も持っているのが少なすぎる。農園に蒔く種もいるし、当分の間の食料も必要だろう。日用品もいるし、家電製品もいくつか書き足した。

これぐらいかなと思い手を止めてから、本日何度目かになる、重大なことに気がついた。


「あ、でも、一度にこんなたくさん買っても持ち帰れないよね」


帰りも馬車に乗せてもらうとしても、こんなにたくさんは乗せられない。それに馬車を降りてから運ぶのも大変そうだ。

家電製品なんて持ち上げるのも無理だ。それに設置する必要もある

どうしようとココロが悩んでいると、ハロルドがクツクツと笑い始めた


「な、何笑ってるの!?」

「あーごめんごめん。真剣に悩んでたから。買ったものは、自動的にこの持ち物に収納されるから、重い物持ち運ぶのにも困らないよ。取り出したい時には選択して取り出しっていう項目選べばいいから」

「そ、そうなんだ」


便利なメニューが揃っているようだ。

いっその事、全部先に聞いてしまおうかと悩むココロだった。

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