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主導  作者: K
5/8

5

私は死んだつもりだった。

まだ死を経験していないから、どんな感覚かわからなかったからだ。


だが私は死んでいなかった。

目蓋を開ける事により、それを確信した。


目を開いた時、異形頭の男達は全員倒れていた。


だがその中に一人、男が立っていた。

トンネルの前で会ったあの男だ。


彼は私に手を差し伸ばしてきた。

私は彼の手を取り立ち上がった。


『何故ここにいる?あんたも奴らの仲間なのか?』


*「質問は一つにしてくれ。俺は奴等の仲間ではない。」


『悪かった。正直何がなんだか分からないんだ。君が奴等の仲間じゃない事は安心したよ。』


*「移動しよう。ここは危険だ。」


私は彼の後を追うようにして、外へ出た。


私が捕われていたのはコンテナ状の簡易建物だった。手入れがされていないのは中と同じだった。


私と彼は先にある森林に身を隠した。


*「警告はした筈だ。何故ここへ来た?」


『私は妹を探しているんだ。あの警告だけでは引き下がる理由にならない。君こそ何故ここにいる?』


*「俺は、ある調査で此処に来た。」


『調査...君は刑事なのか?』


*「期待させて悪いが、刑事ではない事は確かだ。」


『奴等は一体なんなんだ?』


*「奴等はある実験の被検体だ。そして此処はその実験の為に用意された収容施設だ。内容に関しては聞かない方が身の為だぞ。」


『私は妹を探しているんだ。頼むから教えてくれ。』


*「いいか?妹の安否を心配する事は分かる。だが、ここにいる時点で自身も危険に晒されている事を自覚しろ。身の丈にあった行動を取れ。」


私は返す言葉がなかった。

そして暫く沈黙が続いた。


*「とにかく...君の目的は一刻も早くここから脱出する事だ。念の為これを渡しておく。使う機会がない事を祈るが。」


そう言い、彼は私に何かを手渡した。

それは拳銃だった。

映画で見た事はあるが、実際に持つのは初めてだ。何故彼がこんな物を持っているのか。


*「使い方は簡単だ。引き金を引くと弾が出る。弾を当てたければ狙え。」


私の頭は再びパニックに陥っていて、思考停止の寸前だった。


*「妹の事は俺に任せろ。生きているかは分からないが...ここに来たのならば何かしらの情報は掴める筈だ。」

*「ここを真っ直ぐ進め、朝には何処かしらの道に辿り着くだろう。」


そう言い残して、彼は暗闇に消えていった。


私は妹の捜索を諦めきれていなかった。

彼を信用する根拠がないからだ。

だが、私を助けた理由も分からない。


月光が差し込む中、ただ拳銃を見つめていた。


彼はいったい何者なのか...

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