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トンネルの外に出ると、1km先に建物らしき物が確認できた。一歩前進。
あとはそこに妹がいれば完璧だ。
腕時計は15:00を示していた。
私はバックパックに懐中電灯をしまい、深呼吸をした。身体に酸素が行き渡る感じがした。
ハイキングの目的で訪れるなら最高の場所であった。
そうであればどれだけ良かったものか。
一息つき、私は再び歩く事を始めた。
建物は山の斜面を沿うようにして作られており、様々な箇所にレールが敷かれていた。
廃炭鉱か?
だが2つ奇妙な点に気がついた。
廃墟にしては外見が綺麗に見える。
それに場所だ。
何故こんな山奥にあるのか?
当然、炭鉱ならば流通経路を確保しなくてはならない。
だが、私が歩いてきた道は、車やトラックが通るのは不可能だ。
私は建物に入ろうと試みた。しかしドアは閉まっていた。
私は中に入る事を諦めた。
仕方がなく来た道に戻ろうとした時、後頭部に衝撃が走り視界が真っ白になった。