相談事
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華は湊人に相談があると言い、2人はファミレスへやってきた。
華が相談したい事とは?
ファミレスに着くと俺達は向かい合わせに座った。
「…で?相談ってなんだ?」
「うん…。私、新に別れを切り出したの。直接会うのは怖かったから、メールで。」
「うん」
「そうしたら毎晩こんな写真が送られてきて…」
華は自分のスマホを俺に見せた。
「!!」
スマホには華と新が2人で写っている写真が切り刻まれている物や、手首とカッターが写っており、手首には血らしき物が付いている物、骨折した足を何度も殴っている動画、他にも見るとゾッとする写真や動画が華のスマホに送りつけられていた。
「これって…」
俺は言葉が出てこなかった。
「私、怖くて。手首とカッターの写真が送られてきた時は本当に死んじゃうんじゃないかって。」
「これは…怖いよな。」
「…うん。だから一回だけ新の様子を見に行ったの。そうしたら無理矢理襲われて…」
「…!」
「ごめん。湊人。やっぱり私、湊人と付き合えない。」
「…なんで華が謝るんだよ。悪いのは新だろ?」
俺は腹が立った。
新に。
そして自分にも。
どうして俺はいつも華を守ってやれないのか。
「俺はいつまでも待つよ。華が新を断ち切れるまで。」
「私、怖いの。いつか私のせいで新が本当に死んでしまうんじゃないかって。だからなかなか決心がつかなくて…」
「…。」
「分かってるの。新がかまって欲しくてあんな写真を送ってくるのは。でも、それでも、もし私のせいでって思ったら…」
華は泣き出してしまった。
「俺、正直どうしたらいいか分からない。でも、華の事を救ってやりたいんだ。だから俺にはなんでも話してくれ。2人なら何か解決策が見えてくるかもしれない。」
「…うん。ありがとう。」
俺たちはファミレスを後にした。
空はすっかり暗くなっていた。
「湊人、公園寄っていいかな」
「いいけど」
俺達は公園に着くと、ベンチに座った。
「湊人、ありがとうね。」
「俺は自分がやりたいようにやってるだけだ」
「湊人。わがまま、言っていい?」
「ん?」
「ぎゅーってしてほしい」
「…え?」
「だめ、かな」
華は上目遣いでこちらを見つめてくる。
俺は顔が熱くなった。
「…ちょっとだけだからなっ」
そう言うとゆっくり、優しく抱きしめた。
「…もうちょっと強く」
俺は少し力を入れた。
華は温かい。
良い匂いだ。
このまま時間が止まればいいのに。
このまま、俺だけの華にしてしまいたい。
俺の心がズキンと痛んだ。
「…湊人。苦しいっ」
いつの間にか力を入れすぎてしまったようだ。
「ご、ごめんっ」
俺は慌てて華から離れた。
「ううん、ありがとう。わがまま聞いてくれて。ぎゅーってしてくれたら安心したっ!」
華が笑った。
俺の大好きな眩しい笑顔だ。
俺も嬉しくなって笑った。
ーーーーー
休日。
俺は自分の部屋でネット検索していた。
『二重人格とは』
二重人格の人は自分とは違う人格者が現れている時の記憶は無いらしい。
新も暴力を振るっている時の記憶は無いのだろうか。
二重人格ではなく、感情のコントロールができなくて怒り出したら止まらない、とか?
直接見た事が無いと分からない。
(華に聞いてみよう)
『今日、時間ある?新の事で聞きたいことがあるんだけど』
本当はメールで聞いてもいいんだけど。
少しでも華の顔を見れたら、と少しの期待を込めて送信した。
ピコンッ
『今日、1日暇だよ〜!お昼ご飯、一緒に食べに行こ?そこで話そう!』
よしっ。
俺は心の中でガッツポーズをした。
休日に華と会えるなんて。
急いで支度をし、リビングへ行った。
「あら、出かけるの?」
「あぁ、友達と会ってくる!昼飯いらないから!」
「あらそう?お母さん、今日おばあちゃんの介護当番で夜は泊まってくるから。戸締りよろしくね。」
「おう」
俺のばあちゃんは寝たきりで介護が必要だ。
母さんと母さんの兄弟で交代で介護をしている。
父さんは単身赴任中で今はいない。
夜は俺1人だ。
夜飯買って帰らないと。
「行ってきまーす」
俺はファミレスへ向かった。