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修学旅行

ご覧いただきありがとうございます!


ついにやってきた修学旅行!

華もいつもより元気そう!

…俺はある真実を知る事に。

修学旅行1日目。


早朝、学校に集合し、バスに乗って空港へ行く。


俺が集合場所へ行くと、すでに大勢の人でごった返していた。


「湊人、こっちこっち!」


咲也が呼んだ。


前原咲也まえはらさくや、俺たちの班長だ。


「はよ!みんな流石に来るのはえーな!」


「だな」


「おっはよー!女子は全員集まってるよー!」


佐々木美香ささきみかが来た。


その後ろに林希はやしのぞみ、華もいる。


「おっし!俺の班優秀!俺、先生に揃った事伝えてくるから、バスに荷物を乗せておいてくれ!」


「おっけー!行こーぜ!」


俺は咲也の荷物を受け取り、女子達とバスへ向かった。


咲也が来て俺たちはバスに乗り、空港へ向かった。


「ねぇねぇ、飛行機の座席、じゃんけんで決めようよ!」


希が言う。


「いいぜ!せーの、じゃんけんぽん!」


結果、2列席は窓側から華、希。


3列席は右から美香、俺、咲也となった。


「まじかよ〜、俺、荒井の隣狙ってたのに!」


咲也が大袈裟に言う。


華は困ったように笑っている。






飛行機が出発してすぐ。


俺は身動きが取れなくなっていた。


美香と咲也が寝てしまい、両肩に頭が乗っかっているのだ。


(まじかよ〜動けねー!飲み物飲みたいのに)


ふと華の方を見ると希と一緒にこちらを見て微笑んでいた。


俺も苦笑いで返した。


ベルト着用サインが消えると、華は立ち上がりこちらへやってきた。


「はい、湊人。」


華はジュースが入ったコップを俺の手に持たせてくれた。


「さ、さんきゅー。助かった」


飲み終わると華がコップをテーブルに戻してくれた。


「いいえー!その代わりこの画、写真撮っていい?」


「え、いいけど」


「ありがと!」


華はスマホで写真を撮ると満足そうに席へ戻り、希とスマホを見ている。


今日の華はなんだかいつもより元気そうだ。


(よかった、華が元気そうで)


俺は心の底からそう思った。




「着いたね〜!よく寝たし、元気いっぱい!」


美香が伸びをしている。


「俺は体が固まって辛いんだけど?」


俺は美香に嫌味を言う。


「あはは〜!ごめんごめん!さ、行こう!」


俺は美香に背中を押されて前に進んだ。


空港に着いたら後は自由行動だ。


大きい荷物はそのままホテルへ運ばれるらしい。


俺たちはシュノーケリングをする為、海へ向かった。


水着に着替えるとウェットスーツを着る。


係の人の説明を受け、海に入った。


「す、すげー!めちゃくちゃ綺麗だ」


隣にいる咲也に話しかけたが、マスクのせいでうまく伝わらないらしい。


俺は泳ぎながら夢中で海中を見ていた。


「いてっ!」


何か頭に当たった。


何に当たったのかと起きて見てみると、華が頭を押さえていた。


「ごめん、湊人。夢中で見てたら湊人に気が付かなくて…」


「いいよ、俺も悪いし。ってか俺たちちょっとみんなと離れ過ぎたな。みんなの所に戻ろうぜ」


俺たちが戻るとシュノーケリング終了時間だった。


「ふぅ〜!楽しかった!」


華がマスクを取り、ウェットスーツを上半身だけ脱いだ。


「!!」


華の濡れた髪と水着姿、美しい。


眩しいというべきか。


ビキニじゃないところが惜しい。


俺が見惚れていると、咲也がボソッと言った。


「荒井、Cカップかな?いや、D?」


「し、しらねーよ!」


俺たちが騒いでいると女子達は冷ややかな目でこちらを見て、更衣室へ入っていった。




それから俺たちは名所を観光し、ホテルへ戻った。


ホテルはまさにリゾート!という感じで、ホテルを一周するのに車が必要な程だった。


夕食を済まし、これからゲームだ!という時にスマホからサッカー部のグループメールの音がした。


『トレーニングの為A館の入口に集合してください』


「まじかよ〜、すっかり忘れてた。俺、行ってくるわ!」


俺は指定された集合場所に行くとまだあまり集まっていなかった。


「なんだよ、全然来てないじゃん!」


「みんな、彼女といるんじゃない?こんないい雰囲気のホテルなら誰でも彼女と一緒にお散歩したいよ!」


美奈が言った。


「…お互い、辛いな」


「独り身同士、トレーニング終わったら少し散歩して行こうよ」


「そうだな。散歩しないのもったいないくらいの景色だもんな」


それからしばらくしてやっと揃った。


トレーニングをするのに彼女を連れて来る奴もいた。


(くそ、リア充め)


俺は少し悔しかった。



トレーニングが終わり、俺と美奈は海が見える場所まで来た。


「きれい…」


美奈は真っ直ぐ海を見つめていた。


海は月の光に照らされてキラキラしていた。


「お前、好きな奴いないの?」


俺は美奈の隣に立ち、海を見ながら聞いた。


「…。ん〜、いるよ?」


「へぇ〜。じゃあ、俺と散歩してる場合じゃないじゃん。そいつ誘えばいいのに」


「いいの!湊人は気にしなくて。…もうちょっとだけここにいていい?」


「?いいけど」




「…さむっ」


美奈が一瞬体を強張らせた。


俺は手に持っていたパーカーを美奈に被せた。


「え、いいよ!大丈夫だから」


「マネージャーが風邪引いたら明日からのトレーニング困るからな」


「え、でもこれ臭いし…」


「あ?!なら返せ!貸して欲しいって言っても貸してやんないからな!」


「ぷっ!うそだよ!ありがとう。明日返すね」


美奈は顔を赤くして微笑んでいる。


俺はそんな美奈を直視できなかった。


「そろそろ帰ろうぜ」


「うん、また早朝トレーニングで!」




ーーーーー


2日目。


早朝トレーニングをこなし、サッカー部の奴らと朝食を取っていると華たちがやってきた。


「おはよ〜、早朝トレーニングお疲れ様」


「お、おう」


華は少しだが化粧をし、丈が短めのワンピースを着ていた。


初めてみる華に俺はドキドキした。




2日目はクラスごとにバスに乗り、ひめゆりの塔や資料館、公園に行った。


係の人の説明を聞いたり、資料を見たり。


バカな俺なりに色々な事を学んだ。


夜。


班のみんなでホテルの敷地内を散歩に行く事にした。


「いいよねぇ〜」


「うんうん」


「華、新くんと来たかったね」


「え、そんな事ないよ!みんなといれて楽しいよ!」


女子達は盛り上がっている。


「俺も彼女がいればなぁ」


俺が嘆いていると咲也がニヤッとした。


「昨日、誰かさんと歩いてなかった?隅に置けない奴だなぁ」


「え?だれだれ?!」


女子達が加わってきた。


「それ、美奈だろ?トレーニング帰りに散歩しただけだよ」


「へぇ〜?いい雰囲気に見えたけどなぁ」


咲也はまだニヤついている。


「あいつには好きな奴いるらしいから、変な噂広めんなよな。俺が怒られる」


「なんだ、付き合ってないのかよ。つまんないの。おーい!あっち行ってみようぜ!」


そういうと咲也は女子達と海の方へ行ってしまった。


「湊人、行かないの?」


「あぁ。華こそ、行かないのか?」


「うん。私はいいかな。そろそろ部屋に戻ろうと思って」


「そっか。送っていくよ」


俺たちは華の部屋に向かった。


「華、沖縄に来て元気出てよかったよ!」


「…え?」


「ここんとこずっと元気がないように見えたからさ!」


「…新と離れてるせいかな…」


「…は?」


華は何か決心した顔で俺を見つめた。


「湊人。見て欲しいものがあるの。見てくれる?それと、見た事を内緒にしてくれる?」


華の部屋に着くと華が俺にまっすぐな眼差しを向ける。


「分かった。見るよ。それと、誰にも言わない」


俺がそう言うと華はいきなり服を脱ぎ出した。


「え!は?ちょっと…!」


俺は思わず目を瞑る。


「湊人、目を開けて?早く!みんな帰ってきちゃう」


そう言われ、恐る恐る目を開けると服を脱ぎ、下着だけになった華がいた。


「おま!早く服着ろよ!何してんだよ!」


「違うの!よく見て…?」


言われるがままに見てみると華の体には無数のアザとキスマークがあった。


ほとんどのアザが治りかけてはいるが痛々しい。


「…これって…」


「湊人、助けて…」


華は涙ぐんでいる。


「…っ」


俺は気が付いたら華を抱きしめていた。





「華、とりあえず服着よう」


華に服を着せて、話を聞く事にした。


華に話を聞くと、新からの暴力を語り出した。


新は二重人格で、外では普通を装っているが、2人きりになった途端、手や足が飛んでくる事が日常茶飯事らしい。


今回の新の骨折も歩道で言い争っている時に、新に押されて華が車道にはみ出し、我に帰った新が華を庇って、との事だったそうだ。


「しらなかった…気付いてやれなくてごめんな」


華の話が終わり、俺は自分の無力さに腹が立った。


「ううん。湊人は私が元気ないって気付いてくれたから」


「でも、こんなに痛い思いして…っ!」


「私、どうすればいいのかな」


「別れられないのか?」


「…何度も別れ話したの。でも話し合いにならなくて。私も暴力が怖くて結局離れられなくて。こんな事、誰にも言えなくて…」


「…そっか。俺、二重人格について調べてみるよ。少しでも役に立ちたいし。」


「湊人、ありがとう。私も調べてみる。新には絶対に言わないで、これまで通りに接してあげて?」


「分かった。」


俺は部屋に戻り、ベッドに入ったが眠れなかった。



ーーーーー


最終日。


俺は結局一睡もできずにホテルを後にした。


今日はほぼお土産屋さんを渡り歩いて終わりだ。


欠伸をしていると華と目が合った。


華は微笑んでいる。


俺は昨日の事を思い出し顔を赤くした。


(そういえば、どさくさに紛れて華の下着姿見てしかも抱きしめたんだった。その後何にも手を出さないとかどんだけ健全なんだ俺)


昨日何もしなかった事が少しだけ悔やまれたが、もしあの時手を出していたら華に嫌われていただろう。


それだけはごめんだ。


「もう買うものない?」


希が華に聞いた。


「あ、えーと。新に買っていかなきゃ!」


「ラブラブですねぇ」


「そういうのじゃないって!」


「華、俺も新に買うから被らないようにしようぜ!」


「うん!分かった」





空港に到着し、座席を巡ってじゃんけんをした。


2列席は窓側から俺、華。


3列席は右から咲也、希、美香の順になった。


飛行機が離陸し、俺が窓の外を見ていると華が「楽しかったね」と言った。


「あぁ」


みんな旅の疲れが出て眠ってしまった。


華も眠っている。


(今なら誰も見てない…よな)


俺は華の頭が俺の肩に来るように華の頭を動かした。


(よし。…少しだけ幸せな時間を俺にくれ)


俺は華を感じながら眠りについた。


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