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お見舞い。

ご覧いただきありがとうございます!


新のお見舞いに行く事になった湊人と華。

そこで新の意外な一面を見る事に…?

「華!新が骨折したって?!」


俺は教室に着くなり華の元へ走った。


「あ…うん。そうなの。車に轢かれそうになった私を庇って…」


華は元気がない。


辛そうに俯いたままで俺と目を合わせようともしない。


「そうだったのか。…新は華にそんな顔して欲しくないと思ってるはずだぞ?」


「でも。私のせいで…」


「好きな奴を守れて男としては本望だと思うけど?少なくても俺だったらそう思う」


「…。」


「新は入院してるのか?」


「うん。」


「だったら今日の放課後、一緒にお見舞いに行こうぜ!」


「…うん」


華は小さく頷いた。




放課後。


「なぁ、華。お見舞い、何を持ってったらいいと思う?」


「食べ物とかお花は衛生上の問題で持って行っちゃダメみたいだよ」


「そうなのか。だったらマンガかな!今日はちょうど発売日だし」


俺は新が好きなマンガの最新刊を買った。


「へぇ〜新、このマンガ好きなんだ」


「知らないのかよ!このマンガ超面白いんだぜ?!」


「…あんまりそういう話しないから」


華が苦笑いしている。


あれこれ話しているうちに病室に着いた。


コンコンコン


「はい」


新のお母さんが出てきた。


「あら、2人で来てくれたの?ありがとう!新も喜ぶわ!さぁ、入って」


「「おじゃましまーす」」


新の部屋は個室だった。


個室しか空いていなかったらしい。


「2人ともさんきゅーな。」


新はニッと笑った。


「怪我の具合、どうなんだよ?はい、これお見舞い」


マンガを渡し、俺はベッドの隣の椅子に座った。


「お、これ最新刊じゃん!さんきゅーな!」


新が目を輝かせている。


「華ちゃん、本当に怪我はなかった?どこも痛いところない?」


新のお母さんは心配そうだ。


「はい、大丈夫です。私のせいでこんな事になってしまって本当にすみません。」


「新が大丈夫って言ってるんだから大丈夫よ。私は売店で買い物してくるわね。飲み物ぐらいならご馳走するわ。ゆっくりしていってね」


新のお母さんは出掛けてしまった。


「新、お母さんに気を使わせちゃってごめんね?」


「ん?いいんだよ。華も来てくれてありがとな」


華は気まずそうだが、新は真っ直ぐ優しい目で華を見ていた。


「…うん。わ、私、新のお母さんの所に行ってくる!」


「…なんでだよ」


新は華の腕を掴んだ。


新の優しい目が一瞬冷たく鋭い目に変わった、気がした。


「いたっ…!」


新の掴む力が強かったのか、華は顔を歪ませている。


「…あ、ごめん。」


新は華の腕を離した。


「ううん、私こそごめんね。新のお母さんの荷物を持つの手伝った方がいいかなって思ったんだけど、ここにいた方がいいよね」


「確かに、この人数の飲み物持ってくるの大変かもな。華、行ってやってくれ。」


新に言われ、華はホッとした表情で病室を出て行った。


「新、お前握力が強いんだな」


「あぁ、そうらしい。女の子の扱い、難しいよな。普通に掴んだつもりだったんだけど」


新は苦笑いした。


「この感じだと修学旅行は無理そうだな」


「そうなんだよ!楽しみにしてたのに。それだけが唯一の心残りかな。」


そうは言っても新の顔は晴れ晴れとしている。


後悔はしていないのだろう。


「お前、かっこいいな」


「なんだよ、急に」


俺たちは笑い合った。


「「お待たせ〜」」


華と新のお母さんが帰ってきた。


俺たちは時間が許す限り話をしていた。


ーーーーー



修学旅行前日。


俺と華は新の病室にいた。


「いよいよ、明日か。気をつけてな」


新は少し寂しそうだ。


「おう、お土産楽しみにしててくれ!な、華!」


「うん!欲しいものがあったら連絡して?」


「分かった!楽しみにしてる」


新は微笑んだ。


「それにしても、華と同じ班になるなんてな!」


一瞬、華が凍り付いた、気がした。


「へぇ〜、そうなのか!湊人、華のことよろしくな!」


俺は新が作り笑いをしているのが分かった。


(もしかして新、やきもちか?)


そうだとしたらなんだか申し訳ない。


新もやきもちを妬くことがあるのも驚きだ。


…好きな奴がいれば当然か。


「俺、そろそろ帰るわ!明日の準備あるし!」


「おう。華も一緒に帰れよ!だいぶ暗くなってきたし1人じゃ危ないだろ?」


「え…うん。分かった。新、また来るね」


「華、ちょっとこっち来て…」


新はぐいっと華を引き寄せ、首元に口付けた。


新は一瞬だが確かに冷たく鋭い目をしていた。


そしてすぐに優しい目に戻り、華の頭をポンポンと撫でた。


「華、浮気すんなよ!」


新はニッと笑った。


「…そんな事する訳ないじゃない!」


華は首元を抑え、顔を赤くして言った。


「あの〜俺がいる事忘れてない?俺の目の前でキスマーク付けるのやめてもらっていいっすかね」


「ん?虫除けだよ!虫除け!華はかわいいからな。」


新は得意げな顔をしている。


「へいへい。じゃあ帰るわ!華、行くぞ!」


「あ、うん。新、またね」


俺たちは帰宅した。

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