結婚式
あれから2年。
ついに結婚式の日がやってきた。
結婚式は家族だけでハワイでやることにした。
いわゆるリゾート婚だ。
「湊人さん、奥様の準備ができましたよ」
俺は華のドレス選びに同伴させてもらえなかった為、ドレス姿は初めて見る。
「華〜」
更衣室を開けると華が立っていた。
「どう、かな?」
「…。」
「華…すごく綺麗だ!」
俺は思わず抱きしめた。
「ちょっ…!みんな見てるから!せっかくのお化粧とヘアセット崩れちゃう!」
プランナーさんやメイクさんは俺たちを見て微笑んだ。
「羨ましいです。私も結婚したくなっちゃいました!」
プランナーさんが言う。
「付き合ってもう7年なんですよね?それなのにこんなに仲良くて本当に尊敬します!」
「あはは…ありがとうございます」
俺はなんだか恥ずかしくなった。
ーーーーー
「それでは誓いのキスを」
この日の為に俺は華に全てを捧げてきた。
辛い時も苦しい時もあったが、今は世界で1番幸せな自信がある。
俺はこんなに幸せでいいのだろうか。
華は幸せだと感じてくれているだろうか。
結婚はゴールではなくスタートだと言う。
これから俺たちにどんな未来が待っているのだろう。
2人ならきっとどんな壁も乗り越えていける。
俺は華と向かい合い、ベールを上げた。
華の顔がほんのり赤くなっている。
「華…幸せになろうな」
俺は華にゆっくりキスをした。
ーーーーー
結婚式は滞りなく済み、俺と華は付き合った記念日に入籍した。
俺は県庁で、華はお父さんが経営しているレストランで働いている。
ある休日。
俺は華の勤め先のレストランへ昼食を食べに行った。
「いらっしゃいませ。あ、湊人さん。こんにちは!」
「こんにちは。1人だけどいいですか?」
「もちろんです!さあどうぞ!」
席に案内してもらい、注文を済ませた。
俺は席から華を探すが見当たらない。
(つまんないなぁ)
「お待たせしました。渡蟹のトマトスパゲティでございます」
「ありがとうございます。あの、華は?」
「あぁ、たぶんバックヤードにあると思います」
「そっか。分かりました」
「なんか少し体調悪そうで。風邪ですかね?」
「確かに昨日からちょっと体調悪そうだったかも」
「そうですか。早く良くなってほしいですね。元気なのが1番ですから!それではごゆっくりどうぞ」
俺はスパゲティを食べ、家に帰った。
今日は華は早番の日で本当ならこの後デートする予定だったが、体調が悪い華を連れ回す訳にはいかない。
仕事が忙しく疲れているのだろう。
今日は家でゆっくりしよう。
華にデート中止の連絡をし、溜まっていた家事をこなす。
家事は分担制にしたが、お互い仕事が忙しく休日にならないとはかどらない。
世の中の仕事と家事と育児をしている皆さんを本当に尊敬する。
家の掃除を済ませ、洗濯物を畳み、ご飯を炊く。
今日の夕飯はレストランで何かテイクアウトしてきてくれるらしい。
「あ、明日燃えるゴミの日か」
俺は家中のゴミを集め袋にまとめる。
「ただいま〜」
その時、華が帰ってきた。
「おかえり〜お疲れ様」
「…っ。なんかいつもより生ゴミ臭うね。夏だからかな」
「確かに臭いな。生ゴミはギリギリまでゴミ箱に密閉してた方が良かったか」
「色々してくれてありがとう。疲れたからちょっと横になるね」
「あぁ。分かった」
その後、だいたいの家事を終わらせた俺はテレビを見ていた。
「湊人…」
「お、起きたか?具合どうだ?」
「ダメっぽい。胃がムカムカするから胃薬買ってきてくれない?」
華がキッチンへ行った。
「あっご飯も炊いてくれてたんだ。ありがとうね。…っ!」
華は急に走ってリビングを飛び出した。
「な…っ?!」
俺は驚いて華を追いかけた。
華はトイレでうずくまっていた。
俺は華の背中をさすりながらスマホで華の今の状態を検索した。
胃腸炎
ストレス
妊娠
…妊娠?
「…華。妊娠したんじゃないか?」
「…え?でも私妊娠しにくいって言われた…」
「最近なんかの薬飲んでたじゃん。」
「あぁ、あれはとりあえず排卵するようにって処方された排卵誘発剤で…ってことは排卵したのかな?」
「「…。」」
「とりあえず、胃薬はやめよう。妊娠したかどうか確認してからにしよう。妊娠したかどうかって病院に行かないと分からないのか?」
「ドラッグストアに妊娠検査薬が売ってるからそれで分かると思うけど…」
「よしっ!俺買ってくるわ!」
俺は急いでドラッグストアに向かった。




