表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/39

一生に一度。

「見て〜これがね、教会で撮ってもらった写真で!あ、これうちのパパ。それでこれがね〜」


菜月が華に結婚式の時の写真を見せに家に来ていた。


「いいなぁ〜綺麗、そして幸せそう」


華は写真を見てうっとりしている。


俺と橋本は隣の部屋でコーヒーを飲んでいた。


橋本は名付け本を読んでいる。


「熱心だな」


「お前も子供ができたら分かるって。色々ありすぎて悩むわ。」


俺は何も言わずにコーヒーを啜った。


「…お前、どうすんの?」


「就職先?決まった。」


「おう、おめでと。…じゃなくて、華ちゃんの事」


「俺は結婚したいと思ってる」


「へぇ、じゃあプロポーズするのか」


「あぁ、今度する。華には言うなよ。あと菜月にも。」


「分かってるって。プロポーズしたら結果教えろよ」


「おう」


「華ちゃ〜ん!湊人、就職先決まったって〜!」


「え?!本当なの?!湊人おめでとう!」


華がこちらへ駆け寄ってきた。


「あぁ。それでさ、俺の行きつけのカフェのマスターがお祝いしてくれるって言うんだけど、一緒に行かないか?」


「え、私もいいの?」


「当たり前だろ!マスターも華に会いたがってたし」


「え、俺もいいの?」


「お前はダメだ」


「え、そんじゃ私は?」


「菜月もダメだ」


「「ケチー」」




「あっ、そろそろ行かなきゃ!貴明、行こう」


「もう帰っちゃうの?」


「うん、今日は今から妊婦検診なんだ〜」


「そっか!楽しみだね」


「うん!エコーでも我が子は可愛いよ。それじゃ!」


橋本と菜月は行ってしまった。


「ふぅ。台風みたいな奴らだな」


「ほんと。でもあの2人が来てくれると楽しいよね」


「そうだな」


橋本と菜月との絡みは結構好きだ。


この関係がずっと続けばいいのにと思う。


「華。今度の誕生日、俺の就職祝いと兼ねてカフェでお祝いでもいいか?」


「うん!楽しみにしてるね」


ーーーーー


「こんばんは〜」


「いらっしゃい!あなたが華ちゃんだね?湊人くんからよく聞いてるよ」


「はじめまして」


「いや〜美人さんでびっくりしたよ!湊人くん、やるなぁ」


「でしょ?」


俺は戯けた。


何故か俺よりマスターが緊張しているようだ。


「マスター、予約席あそこ?」


「あ、ごめんごめん。案内するよ」



「「かんぱーい」」


俺はスパークリングワイン、華はカクテルを注文した。


食事はマスターにお任せで注文した。


「おいしーい!湊人おいしいよ!」


「本当だな!昼しか来た事なかったけど、夜も最高だ」


「そんなに褒めてくれると嬉しいよ」


マスターはニコニコしている。



時が流れるのは早く、もうデザートが運ばれてくる。


「わぁ…!」


マスターお手製のケーキはとても可愛らしかった。


華はケーキの蝋燭の火を消した。


「華、誕生日おめでとう」


「湊人、ありがとう!」


周りからも拍手が沸き起こった。




「…。」


だんだん緊張してきた。


美味しいケーキが喉を通らない。


「…湊人?どうしたの?体調悪い?」


「いや、違うんだ。ちょっとトイレ行ってくる」


「あ、うん…」


トイレに向かって歩いていくとマスターがやってきた。


「大丈夫か?」


「はい…ちょっと緊張しちゃって。」


「俺が気合入れてやる」


そう言ってマスターは俺の両頬をつねった。


「いててててっ」


「あははははっ!一生に一度のプロポーズ、頑張ってな!」


「はい!」


俺は深呼吸をし、何食わぬ顔で席に戻った。


「ごめん、華」


「私は大丈夫。湊人、大丈夫?」


「あぁ。大丈夫だ」


「ならよかった。美味しくて食べ過ぎちゃったねっ」


「華。」


「なに?」


「…。」


「…?」


「俺と結婚してください」


俺はケースを開け、婚約指輪を出した。


「え…」


華は固まった。


俺は不安な気持ちを押し隠して返事を待った。


華の顔がぐしゃりと歪んだ。


涙が頬を伝う。


「…はい、お願い…します…」


その瞬間、わーっと拍手が沸いた。


知らないお客さんから「おめでとう」「お幸せに」と聞こえてきた。


「ありがとうございます」


俺は周りの人に会釈で返した。


「湊人くん、華ちゃんおめでとう。これは俺からの気持ち。」


マスターが花束を持ってきてくれた。


「ありがとうございます!」


今日は俺にとって最高の1日となった。


ーーーーー


華は鼻歌を歌いながら洗濯物を畳んでいた。


『次のテーマです。最近結婚する前に自分の体を調べるブライダルチェックが定番化しているみたいです』


華は思わずテレビを見た。


「へぇ〜そんなのあるんだ。私も一応行ってみようかな」


華は近くの産婦人科を調べて行ってみることにした。


数日後、検査結果を聞きに再び産婦人科を訪れた。


「次の方どうぞ〜」


「荒井華さんですね。あなたの結果は…」


「…え?」


華は耳を疑った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ