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どうして

「ただいま〜…って誰もいないんだっけ」


華がいる事に慣れてしまっていた俺は少し寂しくなった。


華は何時頃帰ってくるのだろうか。


とりあえずテレビを付けてみたが、面白そうな番組はやっていない。


洗濯をしておこうか。


(夜だから近所迷惑になるか…)


たまには明日の朝食の準備を代わりにしてみようか。


俺は台所に立ってお米を研いだ。


(いつも何合炊いてるんだろう)


何から何まで華に任せっきりなのを痛感した。


とりあえずご飯はセットした。


(次は…何しようか)


冷蔵庫を覗き、明日の朝食のメニューを考えていると、


「ただいま〜」


華が帰ってきた。


「お、おかえり!」


「湊人、どうしたの?お腹減った?」


「いや、明日の朝食の仕込みしとこうと思って」


「えっ、急にどうしたの?!」


華が驚き近づいてきた。


「熱でもあるんじゃない?」


「たまには俺も華に何かやってやりたくてさ」


華がギューっと俺を抱きしめた。


「…湊人。いつもの匂いと違う」


「…え?」


「どこか行ってきた?」


「あぁ、銭湯に寄ってきた。シャンプーとか銭湯にあるもの使ったからいつもと違うのかも」


「そういうことねっ」


華は俺から離れると


「お風呂入ってくるね」


とさっさと行ってしまった。



ーーーーー


俺は寝る支度を整え、リビングでテレビを見ながら華を待ったがなかなか出てこない。


興味本位でお風呂場を覗いてみる事にした。


「は〜な〜」


ゆっくりお風呂場のドアを開けると、華がこちらを見た。


「どうしたの?」


「覗きにきた」


「もぉ〜!もうちょっとで出るからリビングで待ってて!」


華は苦笑いをしていた。


それから30分後。


華はやっと出てきた。


「いつもこんなに長いのか?」


「え、今日は短めだよ?」


華の頭にはハテナが浮かんでいる。


「そうなのか。知らなかった。」


2人でいる時はいつも一緒にお風呂に入っていたからそんなに長く浸かっていなかった。


華は長風呂派らしい。


今日は俺の知らない華をたくさん知った気がする。


ベッドに入ると華が隣に寝転がる。


俺は華にキスをした。


そして覆い被さろうとした時、


「湊人、今日はやめよ…?」


華から思ってもみない言葉が出てきた。


初めて拒否された。


「え…なんで?」


「ん…なんとなく。湊人はたまにはゆっくりたくさん寝た方がいいよ!ね?」


「…分かった。」


俺は華を抱きしめた。


華はもう寝息を立てている。


華の頭を撫でながら俺も眠りについた。




湊人が眠ったのを確認すると、華は湊人をギュッと抱きしめた。


今日のあの高校生は何なのだろう。


なぜ一緒にいたのだろう。


なぜあんなに親しげに湊人に接していたのだろう。


何時まで一緒にいたのだろう。


ただの塾講師と生徒の関係ならいいのだけど。


華は久々の嫉妬で胸が苦しくなった。


ーーーーー


数日後。


俺は塾の事務室で作業をしていた。


事務室はひっきりなしに生徒が訪れている。


俺はふとスマホを見た。


「へぇ〜。待受、彼女の写真なんだ」


「坂下?!」


驚いて振り返ると坂下がニヤついていた。


「人のスマホ覗くなよな」


「通りかかったらたまたま見えただけです〜」


「あっそうですか。」


俺は作業に戻ろうとした。


「ねぇ、先生。私、教えて欲しい事があるの!」


「なんだ?」


「ここじゃちょっと…」


「…はぁ?」


ーーーーー


ある日、華は隣の市まで買い物に来ていた。


今日は食料品や衣料品のセールがあるのだ。


(湊人の洋服も買っちゃおうかな〜。喜んでくれるといいけど)


そう思いながら歩いていると、湊人のバイト先の塾が近くなってきた。


セール会場は塾のすぐ先だ。


(偶然湊人に会っちゃったりして)


少しワクワクしていた華だったが、時間が早くまだ塾は開いていないようだった。


(そうだよね、まだこんな時間だもんね。)


「…湊人?」


セール会場に着いた華はカフェにいる湊人を見つけた。


隣にはこの間の高校生がいた。


テーブルには問題集を広げているようだが、全く問題集には触れず、ただ楽しく話をしているように見える。


心なしか湊人の表情がキラキラしている。


高校生は湊人の話を楽しそうに聞いている。


(湊人が女の子にあんな表情するなんて…)


華はショックだった。


湊人は腕時計を見ると高校生を促し、席を立った。


華はとっさに隠れた。


湊人と高校生は相変わらず楽しそうに話をしながら塾の方へと去っていった。


「どうしよう…」


華は呆然と立ち尽くしていた。

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