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遠慮なく

ご覧いただきありがとうございます!


華の話とは一体なんなのでしょうか…?

「…で、話って?」


俺の部屋で俺と華は向かい合わせに座っていた。


「この前はごめんなさい…!」


華はいきなり頭を下げた。


「いやっ、華は悪くないから!どちらかと言うと俺が悪いし!そのっ、ごめん!」


俺も頭を下げた。


「…ふふっ」


「ははは…!」


俺たちは笑い合った。


「湊人、私たちお互いに遠慮しすぎじゃない?もっと言いたい事、伝えたい事を遠慮しないで言わない?」


「そうだな。俺、華に嫌われたくないとか迷惑かけたくないとか思って躊躇ってたんだ。」


「私も。」


「…華。」


俺は華を抱きしめた。


「大好きだ。」


「私もだーいすき。」


華は俺の背中に腕を回した。


「華、していい?」


「うん。しよ?」




ーーーーー


俺たちは俺のベッドの中にいた。


この前より気持ちが穏やかだ。


華が離れないという安心感がある。


「そろそろ着替えないと…」


華が制服に着替えようとしたその時。


「ただいまー!」


玄関で母さんの声がした。


「!!」


「急いで着替えないと!」


華は着替えのスピードを上げ、髪をとかした。


俺もその辺にあったジャージに着替えた。


そして、俺たちはリビングに向かった。


「湊人のお母さん、おかえりなさい」


「あら、華ちゃんいらっしゃい!夕飯食べていくでしょ?」


「いいんですか?!ありがとうございます!」


華は母さんの誘いにのった。


「湊人、コンビニ行かない?」


「おー、そうだな」


俺たちはコンビニに向かった。


「ふぅ。なんとかなったな。」


「そうだね、急に帰ってくるから焦っちゃった!」


そう言いながら華は俺の腕にしがみつく。


そのまま歩いていると前から見覚えのある顔が歩いてきた。


「中村先生!」


華が駆け寄った。


「華さん、こんばんは。まだ帰らないの?」


「はい!今日は彼氏の家で夕飯をご馳走になるんです!」


「…そうですか。あまり遅くならないようにね。あ、華さん。何かあればいつでも相談に乗るからね。相談したくなったらいつでも連絡出来るように連絡先交換してもいいかな?」


「?はい!いいですよ!」


連絡先を交換している2人を俺は少し離れたところで見ていた。


「それじゃ、僕は行くね。またね。」


中村先生は華に手を振り、俺の横を通り過ぎた。


俺の事を鼻で笑いながら。


「…。」


俺はイラッとした。


「湊人〜?行くよ!」


華が戻ってきて俺の顔を覗き込んでいる。


「俺ってそんなにバカにされるような顔してるかな」


「え?急にどうしたの?」


「いや、あの中村って人。俺の事をバカにしてるような気がしてならないんだよな。」


「そんな事ないよ〜!中村先生、良い人だよ?学校でも人気だったし。未だに先生の事思ってる生徒も少なくないんだよ?」


「あれ、学校にはもういないんだっけ?」


「うん。教育実習の期間終わったから」


「そうか」


中村先生は今はもう先生ではない。


それなら華にちょっかいをかけやすくなる。


(くそっ)


「湊人?もしかして嫉妬してる?」


華は俺をじっと見ている。


「あぁ。してる。」


俺は目を逸らしてそう言った。


「嬉しいなぁ〜、湊人が嫉妬してくれる日が来るなんて」


華は再び俺の腕にしがみつき、今度は頭を俺の肩にくっつけた。


「私は湊人だけだよっ」


華が言う。


「中村先生に何かされたり言われたりしたらすぐ言ってくれ」


「うん、分かった。」


俺たちはコンビニに入った。


「ねぇ、湊人のお母さんは何が好き?」


華はデザートを買いにきたらしく、スイーツコーナーで何を買おうか悩んでいる。


「母さんはぜんざいが好きなんだ。」


「そうなんだ〜!じゃあお母さんのはこれ!」


華は白玉ぜんざいを1つカゴに入れた。


「お父さんは?帰ってくるよね?」


「あー、父さんは甘い物よりおつまみの方が嬉しいかも」


「なるほどね!」


俺たちは買い物を済まし、家に戻った。


「おかえりなさい!ご飯できたわよ!」


「母さん、これデザート。華と俺から。冷蔵庫入れとくから。」 


「あら、ありがとう!食後にみんなでいただきましょう。」


「「いただきまーす。」」


「お母さん、美味しいです!」


華は本当に美味しそうに食べている。


母さんも褒められて嬉しそうだ。


デザートを食べている時、母さんが進路について聞いてきた。


「そういえば、あなた達。進路どうするの?」


「私は事件のこともあるし、両親から一人暮らしは反対されているのでそのまま持ちあがりで大学進学になると思います。」


華の今通っている高校は大学附属なのだ。


「そうなのね。湊人は?」


「俺は県内の大学狙ってるよ。今のところテストでもいい感じだしさ。」


「そうなの。やりたい事ができる大学にしなさいね」


「分かってるって!」


母さんとはもう何度も進学について話をしてきた。


ただ、俺はまだやりたい事が見つからない。


「湊人、大学生になったら一人暮らししなさいね」


「え、なんで?」


「一人暮らしの経験は大事よ。ずっと実家暮らしだと気付かない事がたくさんあるの。」


「…へぇ」


まさか一人暮らししろと言われるとは思わなかった。


「まぁ、まず大学に受からないとね。とりあえずは受験勉強ね。華ちゃん、教えてあげてね?」


「私でよければ!」


ーーーーー


「ご馳走様でした!おやすみなさい!」


華は俺の家を出た。


俺は華を送って行く。


「受験勉強か〜。やだな。」


「湊人なら大丈夫だよ!成績優秀じゃん!」


俺は意外にもテストでは学年トップ10に毎回入るのだ。


「勉強するのは嫌いじゃないんだけどさ、華といる時間が無くなるじゃん。」


「私も隣で勉強するよ!」


「そういう意味じゃなくて…」


俺は華の腰に手を回した。


「こうやって好きな時にくっつけなくなるって事」


華は驚いていた。


「み、湊人!どうしたの?」


「自分に素直になろうと思って。…ダメか?」


「ダメ、じゃないよ!ビックリしただけ!」


俺たちはくっつきながら帰った。


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