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風邪。

ご覧いただきありがとうございます!


寝たらだいぶ体調が良くなった湊人。

そんな時、華から連絡があり…?

俺はどのくらい寝ていたのだろうか。


気付けば空は暗くなっていた。


気分は思いの外良い。


スマホに手を伸ばし、確認する。


誰からも連絡は来ていなかった。


華に風邪を引いたと連絡しようと思ったが、不必要な心配をさせてはかわいそうだと文字を打つ手を止めた。


その時、スマホが鳴った。


華からだ。


自分が連絡しようかどうか迷っている時、偶然華から連絡が来る事がある。


そういう時、少しは通じ合えてるのかなと嬉しくなる。


「もしもし。どうした?」


「湊人、今家?」


「そうだけど?」


「今から行ってもいい?」


「…実は今俺熱があって、移すと悪いから今日はやめといた方がいいと思う」


「…行く。」


「え?」


「すぐ行くから待っててね!」


通話が切れた。


(急にどうしたんだよ…)


俺は不思議だった。



ーーーーー


「湊人〜!来たよ!まだつらい、よね?はい、ドリンク…」


華の視線の先には美奈が買っておいてくれたスポーツドリンクが置いてあった。


「あ、これ?橋本と美奈がここまで送り届けてくれた時に差し入れてくれたんだよ」


「そうなんだ…!たくさん買いすぎちゃったかな…」


「そんな事ないよ!さんきゅーな」


「ねぇ、湊人のお母さん帰ってくるまでここにいてもいい?」


「風邪移ったら困るからあんまり長居しない方がいいと思うけど」


「湊人から移るなら大歓迎だよ!体温計ある?熱測ろう?」


…37.3度


「お、だいぶ下がった」


「そっか!良かったね。今日はゆっくり休んで」


華はそう言うとキスをしようと顔を近づけてきた。


(…そういえば俺、美奈に…)


「ちょ、ちょっと待ってくれ…!」


俺は華の体を離した。


「え…?」


華は驚いた顔をしている。


「風邪!移っちゃうからさ!今日はそういうの、やめよう!」


「…。」


華は大きな目に涙を浮かべた。


「え、ごめん!ほんとにごめん!」


俺は焦って謝る事しかできなかった。


「美奈ちゃんと何かあった?」


「…え?」


何かあったと言えばあった。


正直に打ち明けるべきなのだろうか。


「ねぇ、答えて!」


華が怒っている。


こんな華、初めて見た。


「…寝そうになった時、キスされた」


「…。」


「ごめん。でも俺は美奈の事なんとも思ってないから!今回も俺は寝かけててキスされるなんて思ってなかったんだ」


…華に1つ嘘を付いてしまった。


本当は狸寝入りをしていたのだ。


「湊人。私なんかより美奈ちゃんと一緒にいた方がいいんじゃない?同じ学校だし、同じ部活だし。」


「…何言ってるんだ?」


「私、見たの。今日、美奈ちゃんが湊人の家から出て行くところ。美奈ちゃんは湊人の事何でも分かってる。けど、私は連絡するまで湊人が熱があるなんて知らなかった。」


華が泣いている。


「心配かけたくなかったんだ、ごめん。」


「私には心配かけたくないけど、美奈ちゃんならいいの?私、そんなに信用ない?」


「湊人の事考えると、辛いよ…。」


そう言うと華は出て行ってしまった。


「…。」


こういう時、どうしたらいいんだろうか。


俺は何もできずにその場にいた。



ーーーーー


それから数日経った。


華から連絡は来なかった。


俺からも連絡していない。


部活の為、部室で着替えていると部室の窓からマスク姿の美奈が歩いて行くのが見えた。


「お、美奈風邪かな?」


部員の1人が言うと、橋本がニヤつきながらやってきた。


「湊人、美奈となんかあったか?」


「なんかって?」


「湊人の風邪が美奈に移ったのかと思ってさ〜。移ると言ったらアレだろ?」


「アレ?」


「おいマジかよ!華ちゃんというものがありながら美奈にも手を出すとは良い度胸だな!」


「お前、サイテーだな」


他の奴らも加わってきた。


「あの日俺が先に帰った後、楽しかったんだな」


橋本がわざとらしく言った。


「しらねーよ!俺は何もしてないから!冗談も程々にしとけよ!それと変な噂流すなよな!」


俺は耐え切れなくなって急いで部室を出た。


「!!」


華だ。


「なんで、ここに…」


「久しぶりに見に来ちゃった!見学してもいいかな…?」


「いいに決まってるだろ!顧問に話しとくよ!」


「ありがとう。帰り、一緒に帰れる?」


「当たり前だろ!」


そう言うと俺は急いで顧問の所へ向かい、見学の許可をもらった。


部活が始まった。


華は顧問の隣に座っている。


「華ちゃん、やっぱり可愛いよな〜」


「湊人、羨ましいわ」


部員達は口々に華の事を話している。


「お前ら集中しろ!」


顧問に怒られた。


その隣では華が微笑んでいる。


(…頑張りますか!)


俺は気合を入れて練習に臨んだ。



ーーーーー


「お疲れー!お先ー!」


俺は急いで支度を整え華の元へ向かった。


「華!お待たせ!」


「お疲れ様。」


華が微笑んだ。


「これからどうする?どこか行くか?」


「湊人のおうちに行ってもいい?話したい事があって…」


「話…?」


(も、もしかして…)


いやな予感がした。


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