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誓い。

ご覧いただきありがとうございます!


華のお父さんに食事とお礼がしたいと言われ、指定された場所へ行くと…?

「…俺たち、場違いなんじゃ…」


俺と俺の両親は華のお父さんに指定されたレストランへ到着した。


レストラン Flower


華のお父さんが経営しているレストランらしく、俺たちじゃとても入れない高級店だ。


「湊人、すごいお嬢様とお付き合いしているのね…」


母さんは緊張で顔が強張っている。


「俺も知らなかった…」


華がお嬢様だということを全く知らなかった。


服装や身に付けているものは普通だし、家も他の家とあまり変わらないし、見下すような発言もしてこない。


仕草や振舞いは品が良いと思っていたけど。


「さあ、約束の時間だ。入ろう。」


父さんがレストランへ入り、俺たちも続いた。


「いらっしゃいませ。赤井様でございますね。お待ちしておりました。こちらへご案内致します。」


案内された部屋は1番奥の個室だった。


ドキドキしながら椅子に座ると華のお父さんが来た。


「いやぁ、今日はお越しいただきありがとうございます。」


俺の父さんと母さんは立ち上がり深々と礼をしている。


「こちらこそ!ほら、湊人立ちなさい!お招きありがとうございます」


「あまり緊張なさらずにお願いします。私も緊張してしまいますので!飲み物を用意しましょう。あ、苦手な食材はありますか?」


華のお父さんはウエイターに飲み物と食べ物を注文した。


コース料理のようだ。


(メニュー表、ないよな…)


俺は周りを見渡す。


「湊人くん。今日はメニュー表は無いんだ。ごめんな。何か食べたい物があれば何でも作らせるから言ってくれ。ご両親も遠慮なく言ってください」


「あ、ありがとうございます」


「さて、本日は湊人くんとご両親にお礼がしたくてご招待しました。改めまして、華の父の荒井道隆あらいみちたかです。」


俺の両親は会釈をする。


「湊人の父と母です。この度はお招きありがとうございます。また、お嬢さんには湊人が大変お世話になっております」


父さんが話す。


料理が運ばれてきた。


「いやいや、反対ですよ。いつも華の事を守ってくれて本当に感謝しております。さぁ堅苦しい挨拶はその辺にして、食べましょう!」


「いただきます」


「…!!うまい!!」


こんなに美味しいものは生まれて初めて食べた。


華のお父さんは目を細めている。


「喜んでもらえてよかったよ。たくさん食べてくれ」


「はい!!」


終始和やかな雰囲気で緊張はほぐれていった。


俺はたくさん食べて満足だった。




最後のデザートを食べ終えた時。


「…食事の最後に申し訳ありませんが私から話と相談があります」


華のお父さんが真剣な表情になった。


華に起こった出来事。


俺の事。


一つ一つ丁寧に俺の父さんと母さんに話した。


「そんなことが…かわいそうに」


母さんは絶句している。


「本当に湊人くんは華の恩人です。ただ、私としてはこれ以上湊人くんに重荷を背負わせる訳にはいかないと考えています」


「…。」


俺は嫌な予感がした。


「…と言いますと?」


父さんが聞く。


「湊人くんはまだ高校生です。これ以上華の事で迷惑をかけたり、湊人くんに辛い思いをさせたくないんです。だから、湊人くんは華の事は忘れて高校生らしい事をたくさんしてほしいと思っています。華の男性恐怖症についてはまだ妻と相談していませんが、女子校に転校させる事も考えています」


「そんな…」


俺はもう華と別れなければいけないのか。


俺はただ俯いていた。


「湊人はそれでいいの?」


母さんがこちらを見る。


「俺は…」


顔を上げると3人の視線が俺に集中していた。


「俺は、華の事を諦めたくない。どんなに時間がかかってもいいからもう一度華の隣で笑いたい」


「湊人…」


母さんは頷いている。


「湊人、覚悟はあるのか?」


父さんが真剣な眼差しでこちらを見つめる。


「覚悟はできてる」


俺は華のお父さんを見つめた。


「俺は高校生でまだ何の責任も持てません。でも、俺は華の隣にいたいんです。華の男性恐怖症を治して、心の傷も癒してあげたいんです。何年かかっても俺、頑張りますから。お願いします!華と別れるなんて嫌です!」


俺は頭を下げた。


「湊人くん!頭を上げてくれ!本当にありがとう。華を…よろしくお願いします。」


華のお父さんは深々と頭を下げた。


「こちらこそよろしくお願いします!」


俺も頭を下げた。




店の外まで華のお父さんは送ってくれた。


「湊人くん、辛くなったらいつでも離れていいから。それだけは言っておく。君の未来は君のものだから、遠慮なく言うんだよ?」


「はい。ありがとうございます」


「私たちにもできることがあれば」


母さんが言う。


「本当にありがとうございます。華は幸せ者です。この御恩は一生忘れません」




俺たちは帰宅した。


俺は華にメールを送ってみた。


『具合どうだ?今日は華のお父さんにご馳走になった。俺にできることがあれば何でも言ってくれ。俺は何があっても華の味方だからな。湊人』


返信は来なかった。


俺は負けない。


華に嫌われない限り、俺は華のそばにいる。


そう胸に誓い、眠りについた。



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