地元の山で同級生に救われたとか漫画かよ
心霊番組。心霊現象。
悪霊。悪魔。死神。
アニメや漫画や、はたまた何かで誰しもが聞いたことあるだろう。日本の夏の定番と言ってもいいそれは、確かに実在し、確かに何かに影響を与えている。
紛れもない事実。
「真夜中にこんな場所来るかよ」
この日、友人二人に連れられ、夜桜見物と洒落込む為と軽の車に押し込められた竜崎 隼人は、真っ暗闇で灯りのひとつもない地元では有名な山に来ていた。
この山は山頂に、社があり、昼間は登山者がいる普通の山だが、夜にその姿も、山に纏わる噂話も変わる。
なんでもこの山は心霊スポットらしい。のだ。
仕方なく。友人と山道を歩けば、突然両脇に桜が咲いた道に出た。
月明かりもないのに、ハッキリと分かる怪しさ。
他の友人が桜に見とれる中、彼は身震いした。
普通の桜ではない。と。
しばらくして、友人の一人が消えたのだと叫ぶ声に彼が焦った時だ。
消えた友人が走って戻ってきた背後、明らかに人ではない何かが、そこにいた。
「走れ!走れ!走れ!」
走るしかなかった。
しかし、追う影は早い。
あと少しで彼らに手が迫ったとき、黒い何かが空を切った瞬間、広がる叫び、何かが消えた音。
そして、新たに増えた影。
「おとなしく狩られてろよ化けもの」
「…酒倉?」
居たのは刀を腰に差した同級生 酒倉だった。