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いとしのシンデレラ   作者: 四月猫
3/5

出陣!お城の大パーティへ

『王子に目もくれずに適当な男をねらえ』とは…シンデレラの母は現実主義。

母の心子知らず、ミモザは女の子の服にしか関心がない様子。

パーティが盛り上がってきたところにシンデレラ登場。

物語はクライマックスへー

当日は朝から大忙し。

湯浴みして髪を結い、化粧に着付けと、支度にてんやわんやだった。

シンデレラはステラ(なんとかダイエットは成功)の手伝いに翻弄されていた。

「もっと力を入れて、もつとだってば!」

いつもよりコルセットをきつく締めているらしい。

「痛い!人の髪だからって~もっとていねいにやってよ」

「ああ、そのパニエじゃないって!もうー」


シンデレラは私に「お手伝いします」と言ってきたが、

「自分でできるわ」と冷たく断った。

緑のドレスに、母のおすすめのネックレスはやめて、

赤い小さなバラの黒いチョーカーをつける。

髪は黒と緑のリボンでギリシャ風にまとめる。

銀のしずくのイヤリングに銀のショールをはおる。

まあまあだと思う。


支度ができて出かける前に、母は使用人たちに金貨を渡した。

「みんなも息抜きをしておいで、明日の昼までひまをやるよ。

留守番ならシンデレラがいるから心配ないよ」


家を出たのは4時半、5時前にはお城に着いた。

正門は開かれていて馬車で前庭に入る。

階段にもホールにも直立不動の兵隊が並んでいる。


招待状を見せて城内に入る。

女官に案内されて長い廊下を行く。

いくつか並んだ扉の横にはそれぞれ違う花が飾られている。

カトレアの花の扉の前で女官は立ち止まった。

「このカトレアの間が控えの間になります」


中はうちの居間よりも広く、大きな丸テーブルに少し小さめのテーブルも二つ、

壁際にはゆったりしたソファや寝椅子も並んでいる。

暖炉の近くの茶器の置かれたサイドテーブルのそばにはメイドが2人控えている。

「左の扉が洗面所です。しばらくここでお待ちください」

そう言って女官は部屋を出ていく。


奥の窓際のソファに母親とその娘らしい二人が座っている。

母も気づいて「一番乗りじゃなかったのね」

と小声でつぶやく。

丸テーブルには大きな花びんにカトレアの花が飾られ、

フルーツやマドレーヌなどのお菓子を盛った皿がいくつか並んでいる。

ステラははさつそくテーブルに陣取り、お菓子に手を伸ばす。

メイドの1人がスッと近づいてきて、

「お飲み物をおもちしますか?」と聞く。

「ええお願い」と母が答える。


奥をチラチラと見ていたステラが声をひそめて、

「ね、ね、私あの子には勝ってるよね」

確かに悪くないドレスだがイマイチにあっていない。

『赤毛っぽいのにピンクはないわ…』

母親の方も宝石をゴテゴテつけて悪趣味だ。


その2人が私たちのテーブルに近づいてくる。

「初めまして、おたくもお城は初めて?」


その夫人は隣の港町の貿易商人の妻だという。

「私もそこの出身ですのよ」と母。

「まあ、これを機会に是非お近づきに…」

先ほどの女官がもう少し若い女官を連れてやってくる。

若い方の女官が、

「どうぞ城内をご案内します」


大広間ではシャンデリアに火をつけているところだった。

大勢のスタッフが最終チェックに余念がない。

二つある食堂の一つと、小ホール、中庭は解放されている。

真っ赤なじゅうたんの謁見の間に執務室。

中庭には木々の間にランタンやランプが張り巡らされている。

夜になって火を入れたらどんなにきれいだろう。

二階は少ししか見せてもらえなかった。

肖像画の並んだ部屋に、天井までびっしり本だらけの部屋、音楽室。


カトレアの間に戻ると新たに3人の娘と2人の母親がくつろいでいた。


6時にみんな大広間に集まった。

200人近い若い娘とそれ以上の大人たち。

若い男性は少ない。

おそらく男性は普段城に出入りしている貴族と、娘の付添いだけなのだろう。

「ほら、もっと前に出るのよ」と母。

玉座の近くにいるのは上級貴族のようだ。

見慣れたピンクのドレスが見える。


左右の中二階の楽団がファンファーレを鳴らし、

王様たちが入ってくる。拍手が起こる。

バルコニーで祝賀の挨拶をする王様たちを遠目に見たことはあるが、

こんなに近くで見るのは初めてだ。

王妃は豪華なレースをふんだんに使ったダークオレンジのドレスを着ている。

華やかで派手すぎず、いい趣味だ。


「今宵は無礼講だ。夜の宴を存分に楽しんでくれたまえ」


楽団が優雅なダンス曲を演奏しだす。

どう見てもしぶしぶ、王子は上級貴族の群れに近づき

1人の女性の手を取って、中央へ出て踊りだす。

「××公爵令嬢よ」

「やつばりね」と声がする。

××公爵令嬢は王子の花嫁候補の、最有力候補と言われている。


次々と男女が手を取りあって踊りに参加する。

若いカップル、壮年の男性と若い娘、中年のカップルもいる。

王子は義務で何人かと踊った後は、

椅子に戻りつまらなさそうな顔をしている


ピンクのドレスの侯爵令嬢も白い軍服の青年将校と踊っている。

初めて見る侯爵令嬢はすらりとしていて金髪で

少しシンデレラに雰囲気が似ている。

『うん、この中では一番決まっている』


「よかったら踊りませんか?」

若い男性にもうしこまれたが、

「ダンスは苦手なんです。

私より妹を誘ってやってくれませんか」と逃げた。


2人目は30代の遊び人といった感じのおしゃれな男性。

胸元のレースや袖口から見えているレースはとてもきれいだ。

「ダンスは苦手なんです」というとすかさず、

「小ホールでは手品や軽業をやっているそうですよ」ときた。

「手品も軽業も興味ありません」

「じゃあ何に興味がありますか?」

「……中庭の照明がどんな風か気になるわね」


2人で中庭へ行く。

昼間とはまるで違って幻想的で、思った通りすてきだった。

噴水は光を反射してきらめいている。

あちこちに置かれたベンチには人影が見える。


中庭を散策した後、2人で食堂へ行く。

メニューを渡され適当に注文する。

「今ごろ大食堂では王様たちが豪華な晩餐の最中だよ」

「あなたも貴族でしょう?」

「堅苦しいのは嫌いなんだ」

「そうでしょうね」

「それにチャラチャラしたがっついた女性も苦手なんだ」

「でしょうね」

「君は実に僕の好みなんだ。是非お付き合いしたいんだ。

あ、母上の許可を取ってからの方がいいのかな」

「………ごめんなさい。

私ちょー面食いなの」


それでも彼は大広間まで送ってくれた。


3人目はかなり年配の男性だった。

やはり妹に押しつ…ゆずった。

「今のは××伯爵よ。10年以上前に奥様を亡くされて、

そろそろ再婚する気になられたみたいね。

名門の資産家で、再婚でも申し分のない相手なのに…」

「…ごめんなさい。

ステラでなく、お母様にゆずればよかったわね」


席を外していた王様たちが戻り、不満げな王子以外は盛り上がっていた。

曲が終わり、みんなが次のパートナーを選んでいるときだつた。

広間に青いドレスのシンデレラが入ってきた。


ぼーっと周囲からため息がもれる。

シンデレラは美しかった。ここにいる誰よりも!


ドレスは本当にぴったりで、体のラインの美しさを引き立てている。

ティアラはデザインのセンスがよく、ものすごく丁寧な仕事なので

とても安物の石しか使ってないとは思えない。

いや、シンデレラがつけたら、ガラス玉でもダイヤに見える。

彼女自身が宝石の輝きを持っているのだから。


シンデレラは奥(玉座)に向かって軽く身をかがめてお辞儀をした。

いつの間にか王子は椅子から降りて、シンデレラに歩みより手を差し出した。

「どうか私と踊ってください」


スカートの裾には白や銀や水色のビーズが波模様に散りばめられている。

曲に合わせて揺れてきらめいて…

踊るのも忘れて見入っている人たちもいた。

王子も見場はいい方なので、完璧な一枚の絵だった。


誰よりも美しい私のシンデレラ!


ん?あと2回で終わるのか?

この後はラフしかできていないので少しかかるかもしれません。

どうか最後までお付き合いください。

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