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筋トレをやろう

 どうしてこうなってしまったのか。


「にゃ~」


 そう、可愛らしくなく白い子猫がとても可愛い。

 この家の子猫だが、名前はキャットというそうだ。

 青い瞳が硝子のように美しい。


「おい、イズミ、早くしろ」

「うう……どうしてこんな事に。そもそもこんなフリルがいっぱいついた子供っぽいのは私に似合うはず無いのに」

「? とても良く似合っているじゃないか。その紫色のドレス。やはり私のほうが大人っぽいから似合わないな!」


 自信を持って宣言したリゼルに私は、


「否! リゼルの方が似合っている、それは間違いない!」

「それは鏡を見てから言うのだな」


 紫色のドレスを纏ったリゼルが私に不敵に笑う。

 だが私はそこだけは譲れなかったのでじっとリゼルを睨みつける。

 リゼルも許せないのか、私を睨み返す。


「むむむむむ」

「むむむむむむ」


 しばしお互い睨み合っていると、クリームリートがやってきて、


「あら、想った通りかわいいわ。うちの娘達よりも可愛いかも。そうそう、お揃いの髪飾りをつけてね」


 クリームリートがそう言って私達の頭にリボンと真珠のあしらわれた飾りをつける。

 だが今の発言に私はとても傷ついていた。

 娘より可愛い=さっき聞いたが私達よりも年下の子よりも可愛い。


 私だってじゅぶん大人っぽくなったのにと心の中で思っているとそこでリゼルが、


「筋トレをやろう」

「うん。そうだね。そしてお肉を食べて、筋肉を増やして」

「……そうすれば背も伸びるかな。シオンよりも小さいのは、すぐに捕まるからもう嫌だし」

「うん、私も周りが皆、背が高かったからな……」

「いや、やっぱりイズミはそれくらいの高さでいいな。その方が子供っぽいし」

「な、リゼルの裏切り者!」


 などと私達が話していると、部屋にクロウとシオンが入ってきた。

 クロウは私の目の前に。

 シオンはリゼルの目の前にやってきて、そのままリゼルを抱き上げる。


 お姫様抱っこというものだ。

 リゼルも美少女だしシオンもイケメンに見えるので、絵か何かを見ているような錯覚を私は覚えたが、そこでシオンが、


「……ふむ。可愛いですね。花嫁のようです」

「? それは、シオンが私のお婿さんになるということか?」

「やはり、一人で頑張ってもらいましょうか。リゼルには」

「ま、待って、今のは冗談です!」


 慌てたようなリゼルの様子を見つつ、私は目の前でじっとクロウが私を見ているのに気づく。

 何だかこう、こうやってマジマジと見られるとそわそわするというか……そう思っていると目の前で、クロウが頷いた。


「有りだな」

「何が?」

「いや、可愛いドレスをきた女の子がトゲ付き鉄球というのもなかなか」

「ちょ、え!」

「それに、貧乳の女の子でもフリルがつくと胸があるように見えるなと思って」

 

 クロウに言われた私はうっとおし黙る。


「く、そこは確かにうれしいけれど私はもうこんな年齢は卒業したし……一体いつまで私はこんな格好をしていなきゃいけないんだ」

「あら、もうすぐに終わりよ? もうあちらの準備はできているから。ちなみに先に審査をしてもらっているわ」


 クリームリートさんがそう言って楽しそうに言ったのだった。









 案内された別室は広い部屋でそこには男女六人が並んで座っている。

 年齢はバラバラだが、審査員らしい。

 どことなく漂う面倒くさそうな雰囲気を感じる中私達が進んでいくとそこには、水色のドレスを着た母親と二人の娘らしき人物が。


 ちなみに娘さんの方もどことなく面倒くさそうな雰囲気が漂っている。

 二人共金髪碧眼の可愛らしい少女で、私達が勝てるのかと思っているとそこで、彼女の母親らしい人がつかつかとクリームリートの方に近づき、


「あら、ご自身の自慢の娘はどうなさいましたの?」

「今は体調が悪いのですわ、ヒルデ様」

「怖くなって逃げ出したのかと思いましたわ」

「そんな訳ありませんわ。私が勝利するのは確実でしたもの」


 などと、ヒルデという人とそんな会話を始めるクリームリート。

 女の戦いというか怖い、そう私が思っているとそこでヒルデの娘らしい二人が私達の方に来て、


「ミーナとレナはふたりとも寝込んでいるの?」

「? 誰の話でしょうか」

「クリームリートさんの娘で、私達の友達なのよ」

「そうなのですか、実はカクカクシカジカで……」


 それを聞いた彼女は、さらに面倒くさそうな顔になる。


「相変わらず食い意地が張っているのね。……そういえば紹介がまだだったわね。私はエリーゼ。こちらの髪の短いのが妹のミリアよ」

「私はイズミと言います。こちらは……」

「ああ知っているわ、リゼルでしょう? 優勝景品の“黄金の鞭”目当てに美少女コンテストに出たという……自身のかわいらしさを前面に押し出し、かっこいい美人よりも可愛いの勝利という伝説を作った人物よね」


 私が無言でリゼルを見ると、さっと私から顔を背けた。

 そんなリゼルに私は、


「どうやら私のほうが、かっこいい美人と決まってしまったようだね」

「! そんなことはない、私のほうがかっこいい美人だ!」

「可愛いといった意味で美少女コンテストに優勝したのだろう? ふふん」

「いや、あれは数年前の話だから私だって成長しているはずだ! そうだよな、シオン!」


 リゼルはシオンに援護を求めた。

 だがシオンは微笑むだけでそれ以上は何も言わない。

 リゼルが絶望したような顔になった。そこで、


「ふ、ここで言葉で言い合いをしていてもしかたがないわ。どちらが総合的に美的センスが優れているのかを、今ここで証明しましょう!」

「そうね、さあ、リゼル、イズミ、いらっしゃい!」


 そう私は自信満々なクリームリートに呼ばれてしまったのだった。


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