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初めてクエスト

 というわけで、私はまずスマホで検索してみる。

 できるだけ複雑な機能のない簡易的なものを選択するようにする。そもそも、


「私、ミシンなんて家庭科でしか使ったことがないんだよね。でも使い方はわかるから多分大丈夫……えっと、“亀の甲羅石”“憂鬱の水草”“土の魔法石”らしいけれど、クロウは持っている?」

「“亀の甲羅石”、“土の魔法石”の二つは有るが、“憂鬱の水草”は持っていないな」

「となると……リゼルに聞いてくる!」


 そうクロウに言って私はかけ出した。

 すぐ隣りにある武器屋に向かう。

 先ほどの新商品ぞくぞく入荷中の看板が掛けられた場所にリゼル達はいた。


 丁度そんなリゼルにしびれを切らしたシオンがリゼルに何かをしようとしていたけれど……それよりも私は、急いでいたので、


「リゼル、お願いがあるんだ!」

「は! 私は今まで何を……シオン……」


 そこでリゼルが半眼でシオンを見る。

 それにシオンは肩をすくめて、


「リゼルがずっと武器をうっとり見ているので、私も飽きてしまったので」

「……まあいい、それでイズミ、私に何のようだ?」

「実は欲しい材料があるんだ」


 材料と聞いて、リゼルが首を傾げる。


「また何かを作ろうとしているのか? 今度は何だ?」

「ここの子供達が、ここの隣で洋服屋を営んでいるここの奥さんのドレスを破っちゃったんだ。でも納品期間が差し迫っていて……」

「それでなにかいいものを作ろうとしていると。……こういう時は、クロウも神様の息子だから材料を出してもらえばいいんじゃないのか?」

「いや、クロウはさっき力を神様に封じられて……あれ、もしかしてクロウってどんな素材でも出せたりするの?」

「あー、いや、気のせいだったかも? 本当はやらないよう言われていたからこっそりだったし」

「そうなんだ」

「うん、クエストの関係上ね……こっそり“ずる”をしていたのだけれど、これからはその手が使えなくなるのかな……あ、クロウ」


 そこで気づけば私の後ろにクロウが立っていた。

 なのですぐさまお願いをしてみる。


「クロウ、素材を作り出せるって聞いたけれど」

「……リゼル、話したのか?」

「う、ごめん、つい……」

「こっちの手札はあまりあのジジイに知られたくなかったのもあるが、下手に俺が介入し過ぎるとクエストが無効になったりするからな」


 それでは本末転倒である。

 というわけで、私はリゼルにお願いした。


「“憂鬱の水草”があったら欲しいんだけれど」

「持っているよ。それでその対価は何を支払ってくれるの?」

「……もう私はチートで、リゼルがほしい物を作って上げません」

「……もう、仕方がないな。ほら」


 そう言って私に茶色い干からびた枝のようなものをリゼルはバックから取り出して私に投げた。

 それを受け取って私は、


「リゼル、ありがとう」

「別に……そういえば、何でクロウの服を着ているんだ? イズミは」

「それは、子供達に飲み物をかけられて、代わりにフリルが可愛すぎるワンピースを着る羽目になったのだけれどここで借りた服が大きすぎて、クロウの服になったんだ!」

「……ようはその子供達が原因か」


 そこでリゼルはちょっと考えこんでから次に私を見て、


「そのドレスを破ったのは子供達だろう? それで服を汚したのも。なのに何でイズミは手助けしようとしているんだ?」

「え? だって困っているようだったし、それにこれがクエストになっちゃって」

「それを早く言え! そうすればすぐに私は材料を渡したというのに……さあ、早くその解決する何かを作るんだ!」

「う、うん」


 私はリゼルに急かされて、材料を置いて、とりあえずはスマホの“go”ボタンを押す。

 光り輝く魔法陣の中に私が見知ったものが現れる。けれど、


「電源ケーブルがない? そもそもコンセントってこの世界にあるのかな?」


 先ほどの移動だって馬車だと言っていた。

 自動車なんて存在しないのだ。

 自分の身近にあるものがない状態でどうしようかと私が思っていると、そこでその“ミシン”をクロウが持ち上げて、


「これを持っていけばいいのか」

「う、うん、でも電気とかがないと……」

「大丈夫だ、魔力で動くから」


 まるで当然だというかのようにクロウが私に告げた。

 え? 魔法ってそんなに万能なの? と私は思ってしまうけれど、それならば先ほどの自動車は何で動いていたのだろうという話になる。

 ガソリンだって、原油を温度の差によって分留して得たものだ。


 そんな設備やそもそも原油のようなものがこの世界に存在するのか、更に付け加えるならばこのミシンを作っているプラスチックだって、石油製品だ。

 そんなふうに私が混乱しているとクロウが嘆息して、


「使えればそれでいいだろう? それよりもこれも制限時間があるんだろう?」

「う、うん……6時間みたい」

「だったら、早く渡したほうが材料の消費が少なくていい。行くぞ」


 そうクロウに促されて私は、リーサさんのもとに向かったのだった。






 そして私達は事情を説明しお手伝いをすると告げるとリーサさんは、


「だったら今日は家に泊まるといいわ。親戚が泊まりに来た時用の部屋があるし」

 

 とのことで、私達は宿を探さずにすむ。

 リゼルは武器を見放題だと喜んでいたのはいいとして。

 そんなわけで私はうろ覚えだけれどミシンの使い方をリーサさんに説明する。


 そしてミシンの使い方を、リーサさんはあっという間に学習した。

 ミシン用の糸もこのミシンにはセットされていて、糸は、


「紫の糸がいいわ」


 リーサさんが告げると、糸が紫色になる。

 これぞ本当にファンタジーだわと思いながら、リーサさんはこんな素敵な魔法の道具があるなんてと感動していた。

 ただ時間制限があると私は伝えておく。


 そして六時間後。

 追加の材料で同様のミシンを作る……その前に夕食を頂いた。

 それもご馳走してもらえた。


 ここの近くの川でとれる川魚は塩を降って食べるととても美味しかったり、買ってきたパンはまだ温かくて美味しい。

 そしてその後もミシンを作り、その間は、


「こら~、まて~」

「きゃー」

「きゃー」


 私は子供達を追いかけまわして遊んでいた。

 そんな私達を見てクロウが、


「精神年齢が同じなのか」

「? クロウ、何か言った?」

「いや、何でもない」


 私には良くは聞こえなかったけれど何となく悪口を言われた気がした。

 それは置いておくとして、そうしてミシンを走らせること数時間。


「で、出来た!」


 リーサさんが、納品しなければならないドレスを完成させ、同時にクエストクリアという声がどこからともなく聞こえたのだった。







 その日は眠り、リーサさんにお礼も兼ねて朝食をご馳走してもらい、それが終われば私は武器を選ばさせられる。

 クロウに再びトゲ付き鉄球の前に連れて来られて、


「さあ、選べ」

「う、っ、く、じゃあこのトゲ付き鉄球で。一番小さくて鎖も長いし」

「……そうだな、それで行こう。さあ、親父さんが待っているぞ」

「……今の間は?」

「気のせいだ。さあ買いに行くぞ」


 とのことで私はトゲ付き鉄球を購入してもらった。

 さて、これで戦闘ができるなという話になった所で、外に何やら豪華な作りの馬車が止まったのだった。

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