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巨大すぎる力は封じられる

 子供が私の汚してしまったので、現在私は、とある服を着せられていた。

 可愛いピンク色にフリルのついたワンピースである。

 あまりにも可愛すぎる品に、どうしてこうなったと私は涙目である。と、


「よく似合っているじゃないか」

「クロウ……だったら、クロウの服を借りたほうがまし。そしてこのワンピースをクロウが着ればいい!」

「残念だったな。俺の背丈では入らない。だが」

「だが?」

「そういえば俺の服を貸すという手があったのをすっかり忘れていた。まあ、似合っているから良いんじゃないのか?」

「……こんなフリルが付きすぎた服は私の趣味じゃないぃいい」


 私がクロウに言い返した。

 ここは武器屋の隣にある洋服屋だった。

 武器屋の方は親父さんがやって、洋服屋の方がおかみさんがやっているらしい。


 なので内側が繋がっており、そこには住居スペースがある。

 その内の一つ、客間に案内されていた私達。

 リゼルはまだ武器が見たいからと武器をみている。


 そんなわけで服を渡されて、こうやってお茶菓子付きでお茶を頂いているわけだけれど、そこで丁度おかみさんであるリーサさんがやってきて目を瞬かせて、


「あ、女の子だからフリルが沢山ついていたものの方が良いかと……すみません。すぐに他の服を持ってきますね」

「……いえ、クロウから借りるのでいいです」


 リーサさんに答えながらも私は絶望した。

女の子ならフリルが沢山で許されるとか……何という事だ。

世の中には普通の服が好きな人種だっているのに。


それに私、大人びたとか、可愛いより格好いいとか美人だって言われたいのに。

そう悩んでいると、リーサさんは男物を探してきますと言って、部屋の奥の方に行ってしまう。

 そこでクロウが、


「それで服を貸すのか?」

「うん、寄こせ~。こんなフリルが付きすぎた子供っぽい可愛い服なんて、きていられるか!」


 私がそう叫ぶと、奥から小さな足音が二つ聞こえて、


「あれ、脱いじゃうの? お姉ちゃん、似合っているのにね。ぷぷ、そうだろう、リリ」

「そうだよね。これなら子供っぽい可愛いお姉ちゃんでいいよね、トト、っぷぷ」


 二人の子供が笑う。

 ちなみにこの二人のせいで私はこんな服を着る羽目になっているのである。

 なのにこの二人の子供はそんな私をあざ笑うように私のことを……許さん。


「そうかそうか、そちらがそういうつもりならば私にも考えがある」


 全く反省のない子供達に、心の狭い私はぷつっと理性の糸を切った。

 代わりにスマホで、この世界にあったらいいなという魔道具を一つ探しだす。

 どうやらキーワードを入れてもそういった物が表示されるようだ。


 なので“光学迷彩布”を探しだす。

 しかもこの世界では幻の品であるらしく、名を“虹の布”といい、この世界の博物館の奥深くに眠っているらしい。

 そんな伝説の布が私のチートを使えば作れるのだ。


 しかも材料がさっきの自動車のあまりである“炎の魔法石”を使えば作れたので私は、それを作り出す。

 それを見ていたクロウが、


「おい、イズミ、何をしているんだ」

「……このいけない子供達に、お仕置きをして差し上げるのです!」

「怪我はしないようにしろよ」

「……そこは怪我をさせないようにしろ、なのでは?」

「いや、イズミはなんとなくトロそうだから」

「! く、クロウが私をどう思っているのかよくわかった。これから私の恐ろしい技を見せてやる。こうやって布を体に巻いて……どうだ、首だけ浮いているようにみえるはず!」


 クロウが微妙な顔になりながら私を見る。

 けれど子供達は、おおー、と驚いたように歓声を上げる。

 そんな子供達の方に向き直り私は、


「くくく、さっきはよくも私を馬鹿にしてくれたな。これからお前達二人を捕まえて、ワンピースを着せてやる」

「きゃー」

「きゃー」

「逃がさん、逃がさんぞ~」


 といったように私は楽しそうに悲鳴を上げている二人を追いかける。

 きっとはたから見ると首だけが宙に浮いているように見えて、結構怖く見えるはずなんだけれどなと思いつつ私は追いかける。

 だがこの子供達、意外に逃げ足が速い。


 だが絶対に捕まえていると追い掛け回しているとそこで、


「すみません、ちょうどいいサイズのよさそうな服が見つからず……」


 バサッと服を落とすリーサさん。

 私は慌てて、その魔法の布を消したのだった。





 



 魔法を使って脅かしていただけですと話すと、何だ遊んでもらっていたのねとリーサさんが笑う。

 とりあえずリーサさんの服を見ると……。


「お、大きすぎて着れない……」

「やっぱり俺の服のほうがいいんじゃないのか。これは俺でも大きいぞ?」

「……うん、そうする」


 ということで、クロウのシャツを着る私。

 ちょっとブカブカで肩のところが出てしまったり、手の先の辺りが袖から出る程度に大きいけれど先程のものよりもマシだ。

 そう思っていると、クロウがどこか複雑そうな顔をしている。

 何でだろうと私が思っているとそこで、


「それで、折角だしもう少し武器を見ようか」

「やっぱり弓とかいいよね!」

「……よし、まずはトゲ付き鉄球から見てこようか」

「い、いやだぁあああ」


 悲鳴を上げる私だがクロウに連れて来られて、トゲ付き鉄球の場所に連れてこられる。

 嫌だと思うのだ。

 凄く嫌なのだ。


 なのにこの丸い球体が、円錐形の刺が、私を誘うようにこっちだよ~こっちだよ~と言っている気がする。

 だがそれは全て私の気のせいなのだ。

 というか気のせいであって欲しい、そう私は願うのに私はその武器に抗いがたい魅力を感じてしまう。

 

 待つんだ私、ここでそんな誘惑に乗っては……ああ、でも……。

 そんな葛藤を抱えている私から離れた場所で、何かが倒れる音と破ける音と共に、悲鳴が聞こえたのだった。








 何事かと思って見に行くとそこには、トトとリリの二人の子どもとリーサさんが泣きそうになっていた。

 しかもリーサさんは怒ったように子供達に、


「どうするの、この服は明日までに作らないといけないドレスじゃない! ああ……」


 そこには淡い紫色の布で作られたドレスが無残にも破れている。

 どうやら作りかけのドレスを子供達が破ってしまったらしい。

 しかも納期が迫っているらしい。


 これから縫い直さないと、布はあるからと慌てるリーサさん。

 そこでなにか音がした。

 ぴろりろり~ろり、といったような音で、同時に丸められて、筒状になった紙がクロウの頭の上に落ちてくる。


「あのジジイ、どうして俺の頭の上に落としてくるんだ」

「? それは何なの?」

「これがクエストだ。これを一つづつクリアしていけばいいんだ」

「こういった形で現れるんだ……それでそこにはなんて書いてあるの?」


 私は背伸びをして覗くとそこには、


「課題:ドレスを作るお手伝いをして、納期を間に合わせよ……これだけ?」

「そうだ、こういった細々とした雑用のようなクエストをこなしていかないといけないんだ。さて、それでイズミは何か案はあるか?」

「クロウには何か案があるの?」

「俺が思いつくのはこの家以外の時間を止めるくらいだな」


 おもいっきり力技で解決しようとするクロウに私は、


「も、もう少しいい方法ないかな。何だかすごい魔法に聞こえる」

「それはそうだろう……痛い」


 そこで空からまた紙が降ってきてそこには、


「但し、クロウの魔法は禁止。知恵と勇気を振り絞るのじゃ! というわけで、折角なので力を十分の一になるように封じておいたyo!……あのジジイ」

「え、えっともしかして今のでクロウは力を封じられたの?」

「……油断した。だがこれなら範囲設定をすれば……」


 そうぶつぶつと呟きだすクロウに私は手を上げて、


「私に考えがあるよ。ようは、ドレスを作るのを効率化させればいいんだよね?」

「……そういった考えもありか」

「うん、だから私は……私のチートで、“ミシン”を創りだしてみるよ!」


 そこで私はそう提案してみたのだった。

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