続々新商品入荷中
そんなこんなで、あっという間に……ではなかったけれど、どうにかいい感じに進んで行けているようだった。
自動車が走れる程度の山道だったのは良かった気がする。
お昼に近づけば近づくほど道には馬車などが時折走っていた。
個人所有の馬車で、荷物を主に運搬する大きな商店が所有しているものらしい。
時々人が乗っているのを見かけたが、交通用の馬車がストライキ中なので今が稼ぎどきなのだそうだ。
そういった話を聞きながら私は自動車を走らせる。
土の剥き出しの道を私たちは進んでいく。
通りすぎる人達は、物珍しいのかじっとこちらを見ており何だか恥ずかしい。
そんなふうに進んでいくと山道に差し掛かる。
道がそこそこ広いのは良かったのだけれど、ガードレールがない。
しかも見下ろすと切り立った崖だ。
なんという恐ろしい場所と私は思いながらそこを運転していき、やがて街のそばについた。
街の中を自動車で移動するのもあれなので、その街の手前で私たちは降りる。
スマホを見ると、後3時間近く残っていたが、もう必要なかったので、
「元にもどれ―、でいいのかな?」
そう思っていると自動車が光りに包まれて、後には以前使った材料が残される。
ただ量が見るからに減っていて、それは以前の半分になっていた。
どうやら使っていくと減るらしい。
その余った素材を、
「ありがとうクロウ、はい」
「それはイズミにやるよ。また自動車が作りたくなったらそれで作るといい」
「本当! ……制限時間はこの後どうなるのかな?」
「さあ、そのうちやってみればいいんじゃないのか?」
確かにそうだなと私は思ってそれらを回収して……何処に入れようと迷っていると、
「そういえば袋がなかったな。これをやろう」
「肩掛けの小さなバッグ! 茶色de、葉っぱの詩集がされていて可愛い……ありがとう」
「それに入れておけ。ああ、そのスマホだけは、盗られにくようにポケットに隠しておけ。鞄のひったくりもそこそこあるからな」
「う、うん……」
私は頷いて、その通りにする。
この世界の事情については詳しくないので色々教えてもらえると助かる。
それに街と言っても安全な場所と安全じゃない場所もあるから、それも含めてこの世界に詳しい人が必要だ。
なのでこのクロウ達と一緒に入られるのは良かったと私が思っているとそこでリゼルが、
「それでイズミは武器を買うのだろう? 早く行こう!」
「リゼル……凄く嬉しそうだね」
「き、気のせいだ。ここには有名な武器屋が沢山あるから案内してやる!」
「随分と詳しいんだね。もしかしてよく来ているのかな?」
「それはもちろん! ではなくて……そうやって私に生意気な口をきくと案内してやらないんだからな!」
「はーい」
そう私は気楽に答えながら、どこかウキウキとしたリゼルに引っ張って連れて行かれたのだった。
ただ、武器というものはお金がかかるもので、そのためにこういった大きな街の場合武器屋をいくつも回るのが常識だった。
お店では、得意な武器が安かったり色々するからだ。
なので、お店の特徴を見ながら私は武器を選ぶことになっている。
とりあえずは武器の店に行きどういったものがいいのかチェックしようという話になったのだが、
「こ、この武器は名工、ヒルデの作った“サムライソード”そしてこっちは、奇工と呼ばれるマサが作った“カクレソード”そしてこっちは……」
続々新商品入荷中と赤い文字で派手に書かれた紙が吊り下げられた場所にある剣を見てリゼルがそこから動かなくなった。
引っ張っても押しても軽く叩いても動かないので、仕方がないのでリゼルを放置して、シオンに後はお任せして私は武器を探す。
やはりまず私が手にとったのは、
「やっぱり“剣”だよね。ファンタジー世界ではこれを格好良く使いこなしてこそ……むーむー」
重すぎて、上手く動かせない。
なんということでしょうと私が思っているとそこでクロウが呆れたように、
「魔力を使って身体を強化しながら持ちあげるんだ。それも聞いていないというか、そういう風な設定もこの体には成されていないのか」
「設定って……」
「仕方がないから、そういった身体能力を補助しやすいように魔法が発動するようにしてやるから、こっちに来い」
呼ばれて私はクロウの側に向かう。
そうするとクロウの顔が近づいてくる。
そしてキスするくらい綺麗な顔が近づいてきて私が真っ赤になっていると、額がコツンと当たる。
それだけだった。
離れていったクロウの顔が意地悪く笑う。
「何だ顔を真っ赤にして」
「い、いきなりそんな事をされたらびっくりするに決まっているじゃないか!」
「ははは、それで剣を持ってみろ」
「う、うう……あれ、軽い?」
まるで歯ブラシを持っているような感じである。
軽すぎて、本当に剣を持っているんだろうかという感じだ。
ただ見ていると、
「普通の剣だね。もう少しこう、ファンタジーっぽいのがいい!」
「ファンタジーって……確かにイズミにはそう見えるかもしれないが、まあいい。とりあえずイズミに最適な武器を見てやろう」
「本当! 初めからそうしてくれればいいのに……何で私の頭をクロウは掴むのかな?」
「あー、しばらくそのままにしていろよ」
そう言って無むむむと何かクロウは呻いている。
段々力が強くなっているような気がするけれど、大丈夫だろうかと私が思っているとそこでクロウは私に向かって微笑んだ。
「イズミに最適な武器がわかったぞ」
「! どんなもの!」
弓とか槍とか剣とか銃とか一体なんだろうと私がワクワクしながら思っていると、
「トゲ付き鉄球だ」
「……え? 」
「球に棘がついたもので、その一箇所に鎖がついていて振り回すという……」
「いや、知っているけれど……私に最適な武器ってそれなの?」
「そうだぞ。次に相性が良いのは、メリケンサックだそうだ」
「……何でそんな何処かで悪役が使っていそうな武器なのかな?」
「小さくて可愛い子が凶悪な武器を扱うのが中二的に正義なんだろう。ああ、ちなみにその次に相性が良いのは大鎌だからな」
そんなもので決められてたまるかとか、何が小さくて可愛いだ、私は大人だと私は思った。
けれど一応相性が良いと言われているトゲ付き鉄球を見に行く。
鉄球と言っても付加された魔力などで複数種類置かれているのだが、
「な、なんだろう。この拒めないような魅力」
「それが相性というものだ。良かったな、いい武器が見つかって」
「く、で、でも私はもっとこう、温厚な感じの武器がいいんだぁあああ」
「武器に温厚も何もないだろうが。夢を見るな夢を」
「く、正論なのが悔しい。でもやっぱりもっとこう、格好いい武器がいい!」
そう私が叫んだところで子供達が近くを走って行く。
こんな武器屋に子どもと私が思っていると、そこでその内の一人が飲み物を持っていて……ぶつかった。
「わぁあああああ」
悲鳴を上げる私に、この武器屋の奥から女の人がやってきて、
「すみません、ああ、お召し物が……洗濯しますのでこちらに来ていただけますか?」
そう私は言われてしまったのだった。
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