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バカップルリア充の拗れた戦いについて

 小さい四角い形をしたガラスが壁に埋め込まれていてそこから光が溢れている、そんな廊下を私達は歩いていた。


「城の内部だから暗いかなと思ったけれど、全然そんなことはなかったね」


 私がリゼルに聞くと頷く。

 けれどそれからすぐに黙ってしまったリゼルを不審に思い私は、


「どうしたの? リゼル、さっきから静かだけれど」

「いや、次に当たるのは誰かなと思って。ここにいるのは、さっきのメノウとラティ姉さんと、クロウ、シオンだけだとしたら、シオンだろうし」

「……やっぱり好きな相手だから不安?」

「……いや、もういなくなって欲しくないから無理矢理にでも奪いとって、シオンを“婿”にするんだ」


そこで、丁度次の部屋に続く扉が見えてくる。

 しかもその扉が開かれて、シオンが顔を出した。


「リゼル、全部聞こえていますよ」

「! シオン! あの、私……」


 そこで深々とシオンはため息を付いて微笑み、


「リゼルは相変わらず何も分かっていなそうですね。悪者に倒されて捕まった虜囚がどのような辱めを受けるのか、リゼルにはたっぷりと教えてあげましょうね」


 シオンがにこやかにそう告げて、リゼルが青くなる。

 だがすぐにリゼルはきっとシオンを睨みつけて、


「わ、私がシオンを倒して一生私のものにするんだ」

「ほう、リゼル様にしては珍しいですね、力技で解決ですか。いいでしょう、受けて立ちます」


 といったようなシオンとリゼルのにらみ合いというか、やり取りを私は空気のように存在感を消しながら見ていた。

 というか今の会話でお互いがほしいです欲しいですというほぼ“愛の告白”と言っても過言ではないような台詞を言い合っていた気がしたけれど、この二人は気づいているのだろうか?

 そもそも、相手を倒したので好き放題出来るというか、そんな力技でどうにかなるのだろうか?


「……両想いなのにこじれているだけ、という状況」

「? イズミ、何か言ったか?」

「いえ、何でも無いです」


 私はそう適当にはぐらかし、そう答えたのだった。







 さて、バカップルリア充の拗れた戦いについて実況しても仕方がないような気がしたのだが、さくっと状況説明をしようと思う。

 シオンは魔王側についた影響で結構大きな力を手に入れたらしい。

 そして私から離れた場所で数十メートルほど離れて、二人は向かい合うように立つ。

 と、シオンがリゼルを侮るかのようにわらい、


「今の私の力は以前よりも強くなっています。ですから、降参するのは今のうちですよ」

「! で、でも元から私の方が魔力が強いし!」

「私の方が魔力が弱いことになっていましたからね」


 その時のリゼルの顔は、色々とご愁傷様です、という感じだった。

 けれどすぐに炎やら氷やら大地から土の棘のようなものが出るなどといったリアル魔法バトルを私は目撃した。

 それらを全て防ぎつつ更に、リゼルが攻撃を仕掛ける。


 彼の手にあるのは私が以前作ってあげた、“魔導式バズーカ”だ。

 それを撃ちこむと、シオンは即座に防御結界であるらしい透明なガラスの膜のようなものが現れる。

 魔法自体を無力化するものであるらしいけれど(どうして分かったかというとシオンの攻撃魔法がかき消されていたからだ)、“魔導式バズーカ”の珠は消し去れない。


 以前この世界のものでも強化されると聞いた気がするけれど、大丈夫だろうか?

 そう思っているとその攻撃が消失すると同時に、シオンは膝をついた。


「なるほど、そんな道具がありましたね。もっと早めに取り上げておくべきでした」

「取り上げられなくて良かったよ。これでシオンに私は勝てたし」

「そうですね、これで魔力は私もありませんし後は、どうしましょうか?」


 シオンは何か策があるようだった。

 けれどそんなシオンにリゼルは近づいていき、そのままリゼルも膝をつきシオンに抱きついて、


「どこかに行ったら嫌だ」


 そう一言告げた。

 シオンが驚いたようにリゼルを見て、次に優しい笑顔になりそっとリゼルを抱きしめる。

 今の言葉が最後の止めになったらしい。

 

 そして現在二人は幸せそうにイチャイチャしている。

 確かに抱きしめられた時もう離れないとかリゼルが凄く、口説いていたけれど……これってもしや、ハニートラップではないだろうか? という気がした。

 でも、特に怪我もなく終わったのは良かった気もする。


 ただ一つだけ問題があって。

 それはこの私一人がこう、その輪に入れないし声もかけられないことで。

 でも割って入れる雰囲気でもないので私は二人に、


「とりあえず、私は先にいきます。リゼル、シオンに色々教えておいてね」

「うん、分かった。……シオン、大好き」


 そう答えながらシオンに更にぎゅうぎゅう抱きつくリゼルを見て私は、キチンと話しておいてもらえるのかな? いいや、駄目だったら後で私が話そうと思ったのだった。


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