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ここにはたどり着けない、はず?

 さて、息子のことをよろしくと言ってクロウの父は去っていった。

 そしてその勇者の魔道具を樹の下から掘り出して、幽霊のミリアに起動させてからリゼルに持っていてもらうことに。


「ミリアは成仏しそうですか?」

『えっと……薄い本の続きが気になって……』


 てへっと笑ったミリアの顔を見ながら私は、きっとこの人まだ暫く成仏しないだろうなと悟った。

 次に、以前の宝物庫の屋根裏部屋に指輪があったのでそれを取りに行く。

 ホコリまみれになりながら探すと、以前の宝箱が埃をかぶらずにすむくらい出入り口の直ぐ側にあった。


「これはひょっとして、メノウさんが汚れたくないからここに?」

「調度良かったじゃないか。早くそれを手にいれて力を開放し、欲しいものを力ずくで奪い取るのだぁあああ」

「……リゼル、それじゃあ悪役だよ?」

「……私がもっと早くに、シオンを好きって素直に言っておけば、親の反対なんて無視して手に入れてしまえば私の前からいなくなったりしなかったんだ」


 それを聞いて私は、今更ながらシオンとリゼルが兄弟みたいだな~、などと思っていたのはもしかして間違いというか……私がボケていただけなのだろうかと気づいた。

 どうしよう、と、とりあえず初めから気づいていたようなふりをして、


「そ、そうだね。恋人同士だものね」

「……イズミ、実は今まで全く気づいていなかっただろう」

「! そんな事はないヨ」

「声が上ずっているぞ、そしてまっすぐ私を見ろ」

「うう……仲の良い兄妹みたいだな~と思っていました」

「ふん、やはりイズミは間抜けだな」

「! 酷い! く、ちょっとだけ可哀想だと思ったのに、リゼルなんてもう知らない!」

「ふん、同情なんていらない。そんなもの役に立たないからな。ああ……でも武器はほしいな。とびきり強くて強力な奴。あと逃げ出せないような強力な拘束道具かな……けけけけけ」


 不気味な笑い声を上げたリゼルに私は慌てて、


「リ、リゼル、焦りすぎ。正気に戻ろうよ!」

「……私はないたり悲しんだりする暇があったらシオンを奪いに行く、そうさっき決めたんだ。私を置いて行くなんてシオンのくせに生意気な」


 何だか追いつめられてぷつんとリゼルは切れてしまったようだ。

 そうだ、幽霊のミリアにもなだめるのを手伝ってもらおうと私が思って周りを見回すけれど、すでに彼女の姿はない。

 もしや逃げられた!? と私がいまさらながら気づいていると、そこで私は手首を掴まれた。


「逃げるなよ? イズミ。これからお前のチートを使って、泣いても叫んでも逃さないくらいこき使ってやるからなぁ」

「ひぃいいいいいい」

「さて、まずは何を作って……」


 そこでリゼルが、私の手首をまじまじと見た。

 何かあったっけと私が見ると、そこには腕輪があって、これは……。


「あ、クロウの居場所がこれでわかる」

「どうしてすぐに思いつかなかった」

「だ、だって色々思い出したりクロウがいなくなったりで、私、頭がいっぱいだったんだ!」

「まあいい、さあ使え。そして居場所を特定するのだ!」

「いや、クロウだってつけているかわからないし、それに使い方が分からない」


 私にはただの金色の腕輪なのでこれをどうしろというのか。

 それをリゼルに告げるとリゼルは私の輪に触れて何事かを囁く。

 同時に白い光に腕輪が包まれたかと思うと、小さな音を立てて光が何処かに飛んで行く。

 

 それから少ししてその光が戻ってきて、その腕輪に吸い込まれたかと思うと薄く青い画面が浮かび上がる。

 そこには赤い点と青い店表示されて、直線距離253kmの文字が。

 また、ところどころにこの世界の地域谷山等の名前が記されている。


 するとリゼルが光の飛んでいった方角の窓を開けてから遠くを見て、次に私の手を引っ張る。


「ここが現地でこの形でこの方角だとすると……遠距離を見る魔法道具はないか? というか作れ」

「分かった」


 私はすぐにスマホを検索して、材料をリゼルに聞くと持っていたり、後は台所から幾つか拝借してそれを作る。

 筒状の物が二つついた双眼鏡……それも異様に遠くにあっても見えるそれをリゼルに渡すとすぐにリゼルはその光の飛んでいった方向を見る。

 私が緊張しながら待っていると、リゼルが笑った。


「見つけた。でも……周りに道はなさそうだな」

「それは、空を飛んでいこうってこと?」


 人里離れた山奥というと、高級な別荘があって、小型の飛行機やヘリコプターでしか行けないような場所だったりするとお金持ち? みたいな何処かにありそうな設定画頭を過ぎったのだけれど……。

 そこでリゼルが大きく目を見開いて、


「それだ。空を飛ぶなんて思いつきもしなかった」

「え? そうなんだ」

「そうだ。だって空をとぶ乗り物なんてこの世界にはまだない……イズミの世界にはあるのか?」

「うん、あるよ。でもそれには専門の能力が必要だからもう少し幻想的なものになると思うけれど……私のチートは想像上のものも具現化できるから、材料さえあれば出来ると思う」


 そう答えた私は急かすリゼルに、待ってようぅと答えながら急いで材料を調べてそして、出来たのは丸い二人ほどが立って乗れそうな楕円形に、自転車のようなハンドルが前後に倒せるようにつけられている。

 だがもっと特徴的なのは薄水色の透明な虫の羽のようなものだ。


 軸がつけられたそれらはその楕円形の部分お側面に差し込まれて上下に運動するようだった。

 それを見ながら私は口の端をひくつかせながら、


「何だか昔の人が考えた未来の空飛ぶ乗り物の絵みたいな、透明な羽が回りにいっぱいついている道具が出来た。揚力を利用して飛ぶ飛行機とは明らかに形が違うけれどこれで飛べるのかな? 引っ張ったり左右に舵はとれるみたいだけれど……うう、不安だ」

「防御の結界さえ貼っておけばいざという時は大丈夫だ」

「それって人間を大砲みたいに吹き飛ばして別の場所に着地させるのでもいいってことじゃないかな? そういう移動手段てこの世界にあるの?」

「……イズミの力は強いようだからそれに全部お任せだ。後で結界のはり方を教えてやる」


 私の問いには答えないリゼル。

 多分人間大砲のようなものはない、そして全部リゼルは私にお任せのようだ。

無茶苦茶なと私が思っているとそこでクロウの父の声がどこからともなくして、


「ふむ、もし大怪我をしそうになったらわしも手をかそう。それならば可能じゃからのうぅ」

「ありがとうございます」


 私がそう答えて、でも一応結界をはって行こうと決める。

 それから強力な拘束縄等を集めて私達は、魔王の城へとその道具を使い向かったのだった。








 魔王の部屋で一人ぼんやりしていたクロウは、突然光った光が自分の腕輪に入り込み、またどこかに飛んで行くのに気づいた。


「しまった、だがこの程度の道具でここまで辿りつけないだろう、居場所が分かったとしても、うん」


 ついイズミの事で頭が一杯で外すのを忘れてしまったクロウだが、どうやってもここまでは辿りつけないだろう、あそこから遠くはなれているし……と思いながらも胸騒ぎは止まらない。

 そわそわと魔王の部屋を歩き回っているとラティ達の様子を見に行ったシオンがやってきた。


「どうされたのですか?」

「いや、つい迷子の時に使えると思っていた腕輪をつけたままだった。先ほど光が飛んできたから場所が知られたかもしれないが恐らくはここにたおりつけないから大丈夫だ」

「……そうだといいですね」

「そうだ。来るはずがない。道もないこんな山奥に……」


 安心したいがために呟くクロウ。

 だが何となくシオンは、リゼルとイズミがここに用意にたどり着いてしまうのではという気がした。

 そのシオンの予感はすぐに現実になる。


 魔王城の正面入口は少し木々が切られて小さな広場のような場所になっている。

 クロウにとっては、本当は以前は道につなげる予定だったのだが、結局は道を作らないためにそこだけ大きな土のむき出しの場所になっていた。

 そこに……大きな爆音とともに、“何か”が落ちてきた。


 窓からそれが何かに気づいたクロウが、呆然とそれを見て、


「……嘘だろう?」


 一言、唖然と呟いたのだった。


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