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何かが起こりそう?

 メノウの言葉に私は目を瞬かせる。


「場所を知っているのですか?」

「勇者に纏わる物だからね。えっと、クロウは……席をはずしてくれたようだね」

「え?」


 それを聞いて私は周りを見回した。

 けれど何処にもクロウの姿は見つけられず、私はメノウを半眼で見て、


「いないじゃないですか。というか、クロウがいるのをわかっていて好きか聞くのは酷いと思います」

「ははは、やはり君の本音を聞いてみたいから折角なので」

「折角なのでってなんですか」

「君が、クロウに友情以上、恋人未満の感情を持っているということかな」

「それを知ってどうするのですか?」

「不確定要素の洗い出しかな。そして……実は勇者が来た時に援助する役目を我が一族は負っていたりするのだが、その関係でこの世界の創造神からも幾らか話すことがあってね」


 メノウが言うのを聞きながら、それはこの世界に来る前に会ったあの人だろう。

 クロウの父に当たる彼と話すことがあるのだろうか?

 何を話していたのだろう、と私が思っていると、


「実は私の父がかの神様と茶飲み友達で、よく愚痴を聞かされたそうだ」

「……そうなんですか」


 茶飲み友達って、何だか軽いなと私が思っているとそこでメノウは、


「そんな茶飲み友達だからこそ愚痴が聞けるというのもあるのだが、その話では息子のクロウが異世界のゲームにハマっているとかそういったものかな。子供の頃に偶然、異世界で携帯型ゲーム機を持った少女と仲良くなって以来、そういったものが好きになってしまったと」

「異世界……携帯ゲーム機? 私の元いた世界にも有りますが」

「……なるほど」


 再び、なるほどと言って黙ってしまうメノウ。

 先程からなるほどと繰り返して黙るのはやめて欲しいと思う。

 そしてどうしてなるほどなのかがすごく気になる。


 私がそう思って、気になったから聞くしか無いと思って、


「先程から、なるほど、と言われ続けていて何がなるほどなのかが分からなくて気持ちが悪いのですが」

「いや、何……うん。君はこの世界の人々を“救う”という意味でも勇者なのだな、と思っただけだよ」

「いえ、更に良くわからないのですが」

「……話す機会がないのは、きっと良いことだと思う。誰もが争いは望んでいないだろうしね」


 そう笑うメノウを見ながら、私にはよく分からないけれど私には話せない内容で、そしてそれはいいことであるらしい。

 なので多分それはこれからも話してもらえないのだろうと私が思っているとそこで、


「もう聞かないのかな?」

「話してれくれないのに聞いても仕方がないでしょう」

「違いない。そんな君には一つ、いいことを教えてあげよう」

「……何ですか」


 それが本当に良い事だとは思えなかった私だが、そこで楽しそうに笑うメノウが、


「クロウは君のことが恋愛的な意味で好きなようだね」

「え! ……わ、私をからかっているのでしょうか」

「いや、誰がどう見てもクロウは君が好きだよ。他の人達にこっそり聞いてみても同じ答えが返って来ると思う」

「な、な……きょ、今日だって一緒にベッドに……」

「これからそのベッドに君は戻ることになるのか。頑張りたまえ」


 何を頑張るんですか!? とか、こんな情報を聞いて眠れないじゃなですかとか色々な思いが私の頭の中を駆け巡り、あうあう、としか呟けなくなっている私にメノウが、


「いや、初々しくていいことだよ。それで、その幽霊のミリアが探しているものはそこの樹の下に埋めてある。もしも私になにかがあって起動させないといけない時は、それを掘り起こしてミリアに頼むといい」

「……あの、今の話だと何かが起こりそうになっているように聞こえるのですが」


 メノウがふと真剣な表情になって語ったその言葉に私は、不安を覚えて問いかけるとメノウが、


「君という異世界人が呼びだされて勇者の持つ道具が揃いつつある。できすぎているような気がしないか?」

「それは……」

「何もないのが一番ではあるけれどね。ただもしもの時のための準備はしておかないとね」


 メノウがそう言って肩をすくめる。

 もしもの準備。

 それはクロウが魔王になるということだろうか?


 そして私が勇者として戦うというのか?

 今一イメージが湧かないなと私は思いつつ、


「そんな事にはならないような気がします。それに今はクエストを攻略していくのが先なはずですよ?」

「そのうちの一つが幽霊のミリアの探しもの、だったのが私には引っかかるのだよ」

「……偶然だと思います」


 そう私はメノウに言い返して、その嫌な予感を振り払うようにその場を後にしたのだった。


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