夜に出会った人からの質問
ふと私は深夜に目を覚ました。
そしてクロウに抱きしめられているのに気づいた。
「! え、えっと……意外に、いいかも?」
何処となく落ち着く様なそんな気がする。
なんだろう、この感覚。
そう思いながらも私は、こそこそとクロウを起こさないようにその腕から逃げ出した。
途中、小さくクロウが呻いていたけれど、起こさなかったようだ。
そう言えばクロウは人ではないから眠る必要があるのだろうか?
神話なんかでも神様は眠っていたりしていた気もしたので、きっと眠るのだろう。
そう思いながら、何となく私はベッドから起き上がる。
周りを見ると、リゼルがシオンの腕の中で気持ち良く、くぅくぅ、小さな寝息を立てている。
相変わらず中が良いなと思いつつ私は、
「何だか目が覚めちゃったな。ちょっとだけ外を歩いてこよう」
ほんの少しの気まぐれからだった。
そして私は音をたてないようにそっとドアを開けて廊下に出る。
しんと静まり返った廊下は暗く、窓からの月明かりが廊下を照らしている。
修学旅行で田舎に行った時、灯りが無いために周りは暗いけれど星が凄く良く見えたのを思い出す。
ただ残念な事にここは異世界とはいえ、近くに住宅街のある町である。
離れた場所に街灯がぽつぽつ点いていて、地上を明るく照らしている。
けれどそこから少し離れた場所にこのお屋敷があるせいか、その町の灯りは遠く、月と星明かりが酷く静かに、冴えた白い光を降り注いでいる。
「こんなに静かで明るい様な暗い様な夜。そうか、空は今日は雲があまりないから明るく感じるのかな?」
私はそう呟きながら歩きだす。
聞こえるのは私の小さな廊下を歩く足音のみ。
怖い、と思うよりも、まるで何かに呼ばれるように私は歩いていたので特に怖さを感じなかった。
と、そこで私は何か白い靄の様な物を見かける。
幽霊かなと思った。でも、
「ミリアを見ると怖くもなんともないかな」
あの明るくて、元気のいい幽霊を思い出しながら私は、更にその白いそれを追いかけていく。
その白い靄の様な物は階段を下りて行って、それから又廊下に向かい更に階段を下りていく。
やがてドアの前をすうっと透けて、通り抜けてしまったので私はドアをこっそり開けた。
冷たいよ風が頬をくすぐる。
そして甘い花の香り。
何処からだろうと思って周りを見回しているとそこで、
「イズミか。ここで何をやっているのかな?」
そう、メノウが私の名前を呼んだのだった。
こんな深夜にこの人は何をやっているんだろうかと私は思いつつ、そう言えば私も起きているから同罪だなと思った。
なので私はそこで素直に答える。
「何だか目が覚めてしまって」
「そうなのか。ふむ、そうか……これはこれで都合が良いかもしれないな」
「何がですか?」
含みのあるメノウの言いましいに聞き返すと、メノウが小さく笑う。
それから周りを見回して、
「ラティ達もいないし、丁度いいかもしれないな」
「? いると困るのですか?」
「少し二人っきりで幾つかの事を君とは話したくてね。気になる事があったから」
メノウが気になる事って何だろうと私が思う。
なので不安に思ってメノウを見上げると、メノウは苦笑する。
「なに、大したことではないよ。ただ私が気になっただけだ」
「そうなのですか……分かりました。聞いて下さい」
私がそう返すと、メノウはありがとうといい、それから、
「君はクロウをどう思っているのかな?」
そう、メノウは私に問いかけてきたのだった。
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