お食事中につき
クロウと私でその腕輪をつけることにした。
これでもし、クロウと離れてしまっても探しに行ける。
べ、別に私が迷子と決まっているわけではないし!
そう思いつつ、今までの人生を振り返り、道に迷ったこともあった気もしなくもない。
あれはそう、あの明るい森で……。
そこまで私は考えて、でも思い出せない。
あの幼い日になにかがあったような記憶はあるけれど……そう思って私は真剣に悩んでいるとそこでリゼルに、
「それよりもその手に入れたフルーツケーキが私にはきになる」
「まずはご飯からだね。よし、パスタを食べよう」
「そうだ、食べてムキムキに……ふぁああっ、ちょっ、何処を触って……」
学習能力のないリゼルが、また大量にパスタをとろうとしてシオンに体をくすぐられて、それにラティが怒って引き剥がそうとするが、ラティも後ろからメノウに抱きしめられて動けない。
「放せー放せー」
「放せ~、ふぁあああっ」
はじめの方はラティ、後の方はリゼルダが放せと必死に叫んで抵抗している。
とりあえず私は、クロウにくすぐられたくないので普通にパスタを皿に盛る。
これはとても美味しそうだ。
そういえば幽霊のミリアはどうしているのだろうと思っていると、部屋の隅で私達の様子をニマニマしてみていた。
確かに傍観者として見るには楽しいのかもしれない。
自分が絶対巻き込まれないと、彼女は理解しているのだろう。
というかあの立ち位置、私もちょっと羨ましい。
そう思いながら私はトマトパスタにチーズをふりかけて、一口。
「! 美味しい! トマトの甘さと酸味、それに肉の旨味がと塩加減……最高!」
そう言いながらもぐもぐ食べて、幸せだな~と私が思っていると、気づけば先程から放せと叫んでいたラティとリゼルが私を見ている。
なんだろうと思っていると、ラティが、
「普通に食べるから話してくれ。イズミを見ていたらお腹がすいた」
「私もだ、シオン」
ラティの言葉にリゼルもそんなことを言い出して、大人しくなった二人はようやく開放されて普通にパスタを皿に盛り、
「「美味い!」」
一口食べてして、目を輝かせたのだった。
さて食事とほんの少しのデザートが終わり、次はいよいよ、
「80年前のフルーツケーキ!」
「「「「おおー」」」」
箱から取り出したそのケーキ。
紙に包まれているそれを取り出して皿の上にのせる。
以前何かで、ダークフルーツケーキというものが表面にラム酒? だかなんだかを塗り、一年程度保存できるようにしたものがあるというのを見たけれど。
これは80年もの!
80年……。
さすが異世界、素晴らしいことになっている。
そんなわけで私たちはそのフルーツケーキを切り分けてクリームを添えていただく。
「お、美味しい……。ほんのり洋酒の香りがする、後スパイス」
私はご飯を食べていたはずなのにパクパク食べてしまう。
美味しい、美味しい、美味しい……ふにゃぁ。
そこで声がした。
「イズミ、食べ過ぎだぞ。……イズミ?」
「ふにゃぁ」
頭がくらくらして、でも温かくて気持ちが良くて私がそう答えるとクロウが、
「アルコールが抜けていそうなものだけれど、お酒で酔っ払ったのか?」
「よってまへぇん」
そう私がキリッと答えると、クロウが半眼になって、
「まさかこの程度で酔うとはな。はあ、とりあえず食べるのを止めろ」
「やらぁ~、美味しいもん。キリッ」
そう私がきちんとクロウに答えているのに、目の前のクロウは嘆息している。
しかも手首を掴んで引きずって部屋に連れ戻そうとするので、
「にゃ~だ~、はにゃせな~」
「呂律が回らなくなっているというのに。イズミがそんなに酒癖が悪かったなんて」
「にゃんにゃ~♪」
ご機嫌に抵抗する私。
けれどそんな私をクロウは抱き上げる。
お姫様抱っこというものだ。
でもクロウがそばにいるのも心地いいので、私はそのまま顔をクロウにスリスリしながら部屋に運ばれていったのだった。
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