腕輪をもらう事に
夕食はパスタの様な物だった。
折角沢山人が泊まりに来ているので、山盛りの三種類のパスタにサラダにデザートにスープにと、バイキング形式だった。
「わー、トマトパスタ好きなんだ~。あ、こっちのパスタはキノコとインゲンのパスタだ!」
「こちらにはポテトサラダとかぼちゃのサラダに、レタスのサラダもあるな」
「よし、女らしく大盛りにするぞ!」
「! イズミ、そんなちっちゃくて可愛い体には入らないんじうゃ無いのかな!」
「何だと? リゼルの方こそ可愛くて小食っぽいから、きっと食べきれないよ。無理をするべきではないと私は思うね」
「ほう、その言葉、後で後悔させてやるぞ、イズミ」
「ふふふ、リゼルの方こそ、後悔しないようにね!」
とお互い宣言し、大量のパスタ、そう、お皿に盛られた大量のそれを掴んで持ち上げた所で私は、後ろから何者かに抱きしめられた。しかも、
「ふああぁあっ、ちょっ、何……クロウ、くすぐったいっ」
「……いや、どう考えてもこの体には入らない量を掴みあげているし、俺達の分がなくなるから……こう、ね」
「や、やめっ、きゃははは」
もぞもぞと脇のあたりを服の上から弄られて、私は笑い転げてしまう。
何でこんな目に私が会うんだろうと思っていたけれど、私だけではなかった。
「や、止めっ、シオン、はなせぇっ」
「いえいえ、あまり人様の家でご迷惑をお掛けするわけにも行きませんしそれに」
「そ、それにっ、きゃははは」
「これ以上、背がのびてムキムキになられるのも困りますしね。やはり、ご主人様の体調管理は従者の努めですからね~」
「ふあああああ、やめっ、きゃはははは」
私よりも更に凄いことになって、顔を赤くしてはあはあ言っているリゼル。
涙目なところとか、とろけているような感じだ。
いいのかな……そう思っていた所で、バンと部屋の扉が開いた。
「この……やはりリゼルを連れて帰る……! リゼル、どうしたんだ! シオンにいじめられたのか? こいつは性格がものすごぉぉぉおおおおく悪いからいじめられたんだな、そうだな!」
突然部屋に現れた、リゼルの姉であるラティが肩を怒らせながらシオンとリゼルの方に向かう。
と、そこでリゼルが、
「わ、私だって強く手頼りがいのある格好いい女になりたいんです! だからもっと背が高くなってムキムキになリたいんです。だから沢山今日はご飯をたべて、イズミなんて目じゃないくらいになるんです」
「……」
ラティは無言になり、次にちらりと私の方を見て頷き、
「もう少し少ない方がいいとお姉ちゃんは思うな」
「姉さんの裏切り者ぉおお」
そう、リゼルが叫んで、そこで部屋にメノウがやってきた。
「全くラティは、無粋だね」
「……いきなりベッドに押し倒そうとしてきたケダモノが何を言っているんだ」
「いや、折角だからこう、ね。普通にラティも流されてくれてもいいと思うのだけれどね」
「お断りだ。悪趣味だな」
「君には言われたくないですね……まあいいです。客人の間で醜態を晒すのはよくないですから」
メノウが嘆息するようにため息を付いた。
それから私達の方に近づいてきて、私に、
「何か収穫がありましたか?」
「80年前のフルーツケーキが手にはいりました」
「それは素晴らしい収穫です。他には?」
「私はないのですが、リゼルがあのような腕輪を」
そう言ってリゼルに話を振ると足元から宝箱を取り出す。
そして中から腕輪を二つ取り出すと、うげっ、と嫌そうにラティが呻く。
「まだあったのか……」
「あれ、姉さんこれが何だか知っているの?」
「……」
ラティが沈黙し、代わりにメノウが話しだす。
「それは片方の腕輪をつけた相手が何処にいるのか分かるアイテムですね。昔は、ラティは寄宿舎近くの森で、よく道に迷っていましたからね。目についたものを追いかけて行ってしまうところがありましたからね」
ふふっと笑うメノウにラティが、さらにうぐっと呻く。
どうやらこれは、メノウとラティの思い出の品であるらしい。
でも私は疑問が出てくる。
「でもどうして食料庫に?」
「大事なものは、以前はあの奥に隠していましたからね。そのままつい忘れてしまいました。折角だからつけますか?」
「つけるか! というかもう私は必要ないからそこのイズミだか何だかに上げればいい。道に迷いそうだし」
ラティがそんなふうに話を私に振って、しかもレッテルまで張ってきた。
私はそんなに道に迷わないし!
方向感覚きちんとしているし!
そう思うのになぜかリゼルとシオン、そしてクロウが頷き、
「確かにありそうだ、よし、もらっておこう」
「クロウ! 私は平気だよ! というか勝手に私の腕につけて……」
「いいじゃないか。俺と“おそろい”だし」
「いや、うう……クロウと逸れることはこの先変な迷宮なんかに入り込めばあるだろうけれどそんな所は行かない……行かないよね?」
「さあ、どうだろうな。それは全部クエスト次第だ」
「……そのような迷宮などはこの世界に存在するのでしょうか?」
「あるぞ、幾つも」
クロウの即答を聞きながら私は、その腕輪を貰うことに決めたのだった。
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