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腕輪が見つかりました

 がさごそがさごそ。

 木箱のを探っていく。

 中に入っているのは大量の石である。

 

 灰色のごつごつとしたそれを、箱の端に寄せつつ、


「クロウも手伝ってよ」

「……いや、うん、そうだな。所で幽霊のミリアに聞きたい事がある」


 そこでクロウは私と一緒に箱の端に石を積み上げながら幽霊のミリアに聞いた。


『あら、なんですか?』


 不思議そうに私達が石を積み上げてていくのを覗きこみながら聞いてくるミリアにクロウは、


「幽霊ならポルターガイストみたいな事は出来ないのか? 物を浮かべたり出来ないのか?」

『え? 出来ますけれど』

「じゃあここにある箱の中身を浮かべてみてくれ」

『はーい』


 幽霊のミリアが返事をしたかと思うと箱の中の石が浮かび上がり、そしてその中からガラス瓶に入った白い塊が見える。

 これがミリアが探していたものなんだろうか? そう思った私だけれど、その推測はすぐにクロウによって否定された。


「これは“石チーズ”だな」

「“石チーズ”?」

「“灰色まだら石”……ここにある石だ。この石を周りにいると、果実の香りのする美味しいチーズが出来る。ただ、一つのチーズを作るのに少量で、とても時間がかかってしまう。そして貴重品なので盗まれやすい」

「だから認識できない魔法がかかっていたんだ。でもそうなってくると、ミリアの探しものじゃないね」

『あの~、もういいですか?』

「あ、ありがとうございます。確認できました」


 そう私がお礼を言うと、箱の中に石と瓶が戻っていく。

 とりあえずその箱に蓋をして、私達は次の箱に手を出したのだった。








 あれから、ミリアの力を借りつつ幾つかの箱を探ってみたが、どれも食べ物だった。

 しかも、何故か埃をかぶっていないとても古そうな箱には洋酒につけたドライフルーツを使った80年くらい前のケーキが入っていた。

 あまりの恐ろしさに、即座に蓋をしてしまった私だが、


「イズミ、多分そのケーキは食べられるぞ」

「!?」


 何でもたまにそういった洋酒漬けのケーキがこの世界では倉庫から何処からともなく出てくるらしい。

 特殊アイテム? であるらしい。

 でもあまり食べたくないと私が思っているとクロウが、


「凄く熟成されて美味しいものなのにな。市場にはほとんど出回らずにいる高級品……それをよくイズミは引き当てたなと」

「え? 私のせいなの?」

「ああ。“勇者”候補だからたまにい物に出会えるのかもしれない」

「そうなんだ……これ持っていって、後で皆で食べようか」


 そういいながら私はその箱を拾い上げる。

 それほど重くもないく、大きくもない箱なのは良かった。

 それからまた古い箱を幾つか見つけたりごっちゃになっている所を、幽霊のミリアに浮かばせてもらって様子を見たけれど、


『うーん、無いわね』

「そういえば、ミリアが大事にしていたものって何なのかな?」

『……実はよく覚えていないの』


 てへっ、と誤魔化すように笑うミリアにそれでどうしろと私は思った。

 そんな私の表情から察したらしいミリアが、


『あ、でも見れば思い出すと思う。ぼんやりとした記憶はあるし』

「……せめてどういったものかくらいのヒントは欲しいよ。というか、リゼル達も分からないから、適当にそれっぽい物を見つけてくるのかな」


 それ以外に思いつかず私はうーむと小さく唸る。

 と、そんな私にミリアが、


『ペンダント』

「?」

『ペンダントだったはず。それが探している大事な物で、でも……』

「でも?」


 そこでミリアがちらりとクロウの方を見て、


『何となく、クロウさんに見せない方が良い気がするの』

「そうなんだ」


 どうしてだろうと私が思っているとそこでクロウが渋い顔になり、


「それは勇者関連の品物じゃないのか?」

「え? そうなんだ」

「たしか……勇者の持つべきペンダントというか宝玉もあったはず。それの守人か何かだったのか? 勇者関連は俺は全部は知らされていないからな。魔王候補だったわけだし」


 どうやらクロウが魔王候補なので、ミリアはあまり話せなかったようだ。

 でもこの世界には魔王はいないしな、と私は思いつつも、


「じゃあそれだとクロウには探し物に参加しないで貰った方が良いのかな?」

『そうですね、そうなるのかも。すみません、折角手伝ってもらったのに』


 謝るミリアに苦笑したクロウが特に気にしていないと答える。

 と、そこで、


「あ、イズミ達がいた。とりあえず良さそうなものを二つ見つけたぞ。イズミ達はどうだ?」

「この洋酒漬けのケーキです。80年前の」

「……それで、ミリアの探し物に当たりそうなんのは?」


 私は答えられませんでした。

 そんな私にリゼルは自信満々といった表情で私達の前に小さな箱を出して来て、


「見よ! 魔石の腕輪が二つほどだ!」

「どちらも私が見つけたものですが」

 

 ドヤ顔のリゼルの横で、シオンがそう付け加える。

 結局シオンがそれっぽい物を見つけたらしいけれど、それに私は、


「どうやらミリアが探している物はペンダントだったらしい」

「え、そうなんだ……」

「でもそれ、魔道具なんだよね」


 がっかりした様なリゼルに私が聞くと頷くので、こんな場所にあるのもおかしいから、メノウに渡したらどうだろうと提案して……これ以上ここを探しても出てこなさそうだよねという話しになり、お腹もすいたので私達はその場を後にしたのだった。



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