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何がおかしいのだろう

 さて、部屋に案内してくれたメイドさんの視線が気になって、慌ててはなれた私達はリゼル達がお茶会をしているだろう部屋にやってきた。と、


「うわぁあああああ」


 部屋からおそらくはラティらしい悲鳴が聞こえた。

 何事だと私は思って部屋の扉を開けると、後ろから抱きつく様に私の道具で実体化させられた幽霊のミリアがしている。

 ラティは顔が真っ赤だ。


「は、放して下さい!」

「わー、お化けだからって怖がっている感じじゃないわね。恥ずかしがり屋だからスキンシップが苦手そう」

「や、止めて」


 慌てた様にそうミリアにラティが告げるけれど更にぎゅっと抱きついている。

 どうやら私の作った道具は実体化も出来るらしい。

 そこでメノウが近づいていき、顔を赤くしたラティの顎を掴み上を向かせて、そのまま唇を重ねた。


「んんんっ」


 今度は蒼くなったラティがプルプル震えている。

わー、と私は見てしまっているとそこで唇が放された。


 幽霊のミリアは目を輝かせてその様子を見ている。

 やはり女の子なのでこういった色恋には興味があるのだろう。

 そこでラティが復活したらしく、目の前の紅茶をがぶがぶと飲み、


「ふう、変な物を味わってしまった」

「相変わらずラティは恥ずかしがり屋だ。私がわざわざキスをしてあげたというのに」

「この……」

「しかもお友達になりそうな同性と一緒に写真に写ってみたいというからこの、幽霊のいる鏡を手に入れたというのに」

「……私は生身の女の子が良い」

「我儘だね。もっとも、幽霊の女の子でも可愛ければ、ラティが喜ぶ節操無しだとは分かったよ」

「! だ、だってこの子は可愛いし……」

「ふむ、次は別の方法でラティには、がっかりしてもらおう」


 楽しそうにメノウが笑うのを見て、ラティは唖然としたようにメノウを見て、次に怒りだす。


「どうして私にそんないじわるばかりするんだ」

「さあ、どうしてだろうね」

「またはぐらかしやがって……まあいい。リゼルもいるし、丁度リゼルは心配だから連れて帰ろうと思っていた所だから、都合が良い」


 そこで、先ほどからフルーツが沢山乗せられた物をフォークで刺して、嬉しそうにほおばろうとしてリゼルがえっという顔をする。

 そして不安そうにリゼルは自身の姉であるラティを見上げるけれどそこで、


「リゼル、頬にクリームが付いていますよ」


 シオンがリゼルにそう告げて口を近づけて、舌でそのクリームを舐めとった。

 ラティの顔が怒りでゆがみ、リゼルは嬉しそうに、


「シオン、ありがとう」

「どういたしまして。ですがリゼル様はもう少し気を付けてケーキを頂く様にして下さい」

「うう、分かった」


 シオンの言葉にうつ向きながら頷くリゼル。

 リゼルはシオンの言う事は妙に素直に聞くなと私が思っていると、そんなリゼル達の方にラティが席を立ちあがり向かって行ったかと思うと、リゼルではなくシオンに、


「私のリゼルに手を出すな」

「……リゼルは貴方の物ではなく貴方の妹ですよね」


 シオンが言い返すと、煽り耐性の無いラティが怒った様にシオンを指さし、


「シオンなんかに私の可愛いリゼルを任せておけるか! 父や母は信頼しているようだが私はお前を信用できない」

「そうですか。それで?」

「だからリゼルを連れ戻すか、お前にはリゼルと離れてもらう」


 なんとなく、ドヤ顔なラティを見ながら……でもそうなってくると私は思って聞いてみた。


「あの、ラティさん」

「……なんだお前は」

「えっと、異世界から来て一緒にリゼルとクエストをしている者です。一応、リゼルは私の“友達”なので、少しお聞きしたい事が……」

「“友達”? リゼルに? “友達”?」

「? はい、そうですが……私は何か変な事を言いましたか?」

「いや、何でもない。そうか、友達か。そうなのかリゼル」


 何故かリゼルに聞くラティにリゼルは少し黙ってから嬉しそうに、


「はい、イズミは私の友達です」

「なるほど、わかった。それでイズミとやら。私に何か話があるようだが」


 そこで少し険を抑えた様なラティが私に言うので、


「リゼルはクエストを達成しないといけません。それで私が見た範囲ですが、リゼルを一人にしておくにはちょっと、心もとないのではないかと」

「……だがこのシオンは、何となくだがリゼルを狙っている気がする」

「え? そうなのですか?」

「……君には二人はどのように見えているのかな?」

「仲のいい“兄妹”の様な感じですか?」


 その言葉に、どうしてかは分からないがクロウとシオン、そして幽霊のミリアが噴き出し、リゼルが微妙な顔をしている。

 あれ? 私、何か変な事を言ったっけ。

 私が戸惑っているとそこでシオンが、


「ラティ様、少しシスコンが過ぎるのかもしれませんよ?」

「お、お前に言われたくない! で、でもそうなのか? 私がおかしいのか?」


 今度はラティが悩みだした。

 そんなラティに今度はメノウが近づいていき腕を掴んで、


「ラティ、君が妹が大好きなのは分かったから、そろそろ席に着いたらどうだい? 一応今日は君の好きそうなものを取りそろえておいたのだから、味わってもらえると嬉しい」

「そ、そもそもメノウ、お前があんな茶番を……」

「そんな茶番に引っ掛かってここまで来たのだから、少しは楽しんで行ったらどうだい? ……ここに取りそろえた物は君の好きな物ばかりなはずだけれど」


 そう言われてメノウに手を引かれて、ラティは席に戻ったのだった。


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