切実な願い
屋根裏部屋に入って埃だらけになった私は、シャワーを借りることにした。
服関係は後でこの屋敷のメイドの人が持ってきてくれるらしい。
と聞いたのだけれど、そこでクロウがメイドに、
「ドレス以外の普通の服がイズミはいいそうだ」
「普通の服ですか?」
困ったようなメイドと阻止tドレスは嫌だと思いながら訴えかけるようにクロウを私は見ると、クロウが溜息をついてから、
「仕方がない。借りれる範囲で、似合いそうな服を探して見つくろってきてやる」
「本当! よろしく!」
私はクロウに服関係はお願いしてシャワーを浴びる事に。
場所を案内してもらって、メイドさんとクロウにお願いしておく。
「えっとこの籠に服を脱いでっと……後は中に入れば良くて」
そうして中に入るとタイル張りのシャワー室があった。
魔法でお湯が出る物? らしくてそれらしい、温度調整メモリの上にある丸い金属性のボタンに触れる。
ざあっと私も知っているシャワーの口からお湯が降ってくる。
程良い暖かさでとても心地が良い。
触れていると何となくぼんやりしてくる。
「シャワーがあったのは良かったかも。でもこういったものがあるって事も含めて、この世界は私達のいた世界の近世に近いのかな?」
そう思うけれど、だからと言ってどうにもならないなと気付いたので私はそのお湯の温かさに身をゆだねる。
そうすると先ほどの指輪が頭に浮かんでくる。
何となく惹かれる様な、これは私の物だというようなあの時と同じ感覚を覚える。
「これ、何だろう。凄く変な感じがする」
そう呟いてから、あれはメノウの物だし変だよなと私は思う。
折角だから、クロウに話を聞こうと決めて、何時までもお湯をかぶっていても仕方がないと思い直して私はシャワーを止める。
それからシャワー室を出ると丁度クロウがタオルと服を持ってきたらしく、おいてある。
ドアの外に人影があった。
「ありがとう……」
そういうと、クロウは照れたような声で、小さく頷くのが聞こえる。
それからタオルで体をふいて服に着替えることに。
青を基調とした服で、ファンタジーっぽい気がする。
刺繍で模様のついたシャツや薄手のベストにベルト。
ベルトは剣がさせるようになっているようだ。
それを着替え、外に出ると、何故か私から視線をそらす様にしていたクロウに、
「どうだ、似合っているかな?」
「……こうすると、“コスプレ”見たいだな」
「ク、クロウ達だってみんな私からするとコスプレに見えるし!」
あまりないい様に私がそう言い返すと、クロウは、
「実はその服この世界では個性的な部類に入る。似合っているから問題ないか」
「! そんな! もっと目立たなくて他に溶け込むようなのが良いよ!」
「俺がイズミを見つけにくくなりそうだから嫌だ」
何と言う事でしょう、クロウの個人的な理由でそんな事に。
そう思っていると皆が待っているからとクロウに言われて渋々その恰好で移動する事に。
元の服は洗っておいてくれるらしい。
でも廊下を歩いていると、ちらちらメイドさん達の視線を感じる。
だから私はクロウに愚痴る様に、
「やっぱり個性的な服は嫌だ」
「いいじゃないか、勇者予定だし」
「うう……そういえば勇者予定だったら私、あのさっきの屋根裏で見つけたメノウの指輪に惹かれたのかな?」
「……惹かれたのか?」
何処かクロウの声に冷たいものが混じった気がする。
それが気になり私が見上げると、クロウが渋い顔をしていて、
「勇者が定義ずけられたなら、相対的に魔王も定義ずけられる」
「……え?」
「だからできる限り、イズミはそれを避ける様に」
「そ、そうなんだ。分かった」
まさかそんな効果があるとは知らず、私は気をつけようと思う。
そこでクロウが私を抱きしめた。何でと私が思っていると、
「イズミはこのままでいてくれ」
顔は抱きしめられているので良く見えないけれど……私には切実な願いのように聞こえたのだった。
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