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これは関係ないようだ

 灯りを貰い、私は梯子を上って屋根裏部屋を覗きこんだ。

 締め切られた真っ暗な空間で、空気が淀んでいる。


「うう、埃臭い。蜘蛛の巣が張ってる……うう」


 私が呻きながら周りを灯りで照らす。

 特に何もないようだなと、ぐるりと明かりを持って見渡すとそこで、私の持っている灯りに反射する物が一つある。

 少しこの屋根裏を歩かないといけないようだ。


 そんなわけで私は、屋根裏に上がり歩いていく。

 蜘蛛の巣を避けて、それに更に近づくとそこにあったのは小さな宝箱の様に見える。

 よくゲームなんかに出て来る木の箱だ。


 けれどここにあるのに埃一つ付いていないのは変に思える。

 とはいえこれが探し物かなと私は思って、それを手に取りそれから出口に向かい梯子を下りていく。

 下ではクロウ達が待っていた。


 クロウが一瞬険を帯びたまなざしになった気がするけれど、あれっと思って見たときには特に変わりはないようだった。

 そこで、リゼルに上がるからと渡していた幽霊を見る装置に映し出された彼女、ミリアが、


『なんですかそれは』

「これは貴方の探し物ではないのですか?」

『ええ、何かしら、これ。……何だか気持ち良くなって体が軽くなる様な……』

「え、えっと、成仏しかけているのでは」

『そんな! 私の楽しい幽霊ライフが! ふんぬっ!』


 妙な掛け声と共にこの世に彼女は思いとどまったようだ。

 さて、その辺りの話は置いておいて、早速探してきた宝場をを開けようと思って……そこでクロウに手を掴まれる。


「クロウ?」

「……いや、何でもない。それよりこれの持ち主かもしれないメノウに勝手に開けてもいいか聞いたらどうなんだ?」

「そうだね。えっと、これって勝手に開けてもかまわないでしょうか?」


 一応は了承を得てからの方が良いよなと思って私が聞くと、


「開けるのは構わない。だが中の物は……物によるな。渡していいかどうかは」

「うん、分かった」


 それは当然だよねと私は思って、何かに手を引かれるようにその宝箱を開く。

 中に入っていたのは銀の指輪だった。

 赤い石がはめ込まれているシンプルな物で、それに私は魅入られるように手を伸ばして……その手をクロウに掴まれる。


「……何で?」

「……人の物に勝手に触れるのはよくない。ほら、貸せ」


 そう言ってクロウは、それを宝箱ごと取り上げてメノウに渡してしまう。

 私は何となくもやもやしてしまう。

 だってあれは……。


 そこでその宝箱の指輪をメノウが取り出して、光に透かしたりして見てから、思い出したように頷いた。


「これは確か、この世界の救世主に渡す物といういわくつきの物だったかな」

「救世主?」


 私の問いかけにメノウが小さく笑って、


「お伽噺だよ。魔王が現れた時、それを倒す勇者に渡す物だそうだ。まあ、魔王よりも経済優先となったのは良かったように思うよ」

「勇者に渡す、という事はメノウの家が何かの役目を持っていたという事なのですか?」

「そうだね、勇者の資金面も含めたサポートになる予定であったらしいね。でもそれは全てなくなり、今は本業に専念している状況だね」


 笑うメノウの話を聞きながら私は、偶然とはいえ、そんな物がある所に来てしまったのだと思う。

 不思議だなと思っているとそこで、幽霊のミリアが、


『うー、ここだと思ったのだけれど別の所みたい』

「そうみたいだね。あ、幽霊だから壁を抜けたり出来ないのかな?」

『ここの壁は無理。気付いたら凄く加護みたいなのが付いていて普通の人が動いたりしているのでついていったりしないと見れないのよ。一応隙間からは入れるには入れるけれど、何だか凄く力を消耗する気がするし』

「そうなんだ」

『そう、だから一応色々調べていても触れない場所があるの。ここもそうだけれどあと数か所ある』

「じゃあ今度はそちらを目指した方が良いね。次は何処かな」

『多分、地下室』


 その言葉と共に、窓から誰かが飛びこんでくる。

 物置らしいこの場所は高い階だったと思ったのだが、その人物は平気のようだった。

 茶色いコートを着た彼女は、何処かリゼルに似ている。


 そして凄く怒っている。


「メーノーウー、私の可愛い可愛い可愛い妹のリゼルを何処にやった!」

「そこにいるよ」


 メノウは窓ガラスの破片を散らばして飛び込んできたその人物に、ここにいるよと指さす。

 そして指さされたリゼルは手を上げて、


「ラティ姉さん、ここに私はいます」

「リゼル! 何もされなかったか!?」

「されないですよ。シオンもいますし」

「……待て、もしかして私はおびき出されたのか?」


 今更ながら気付いたらしいラティがぎろっとメノウを睨みつけるも、メノウは軽く受け流し……。


「これから皆でお茶会はどうかな?」

「私はそんな……」

「ラティの好きなアップルティーも用意できるけれど」

「……頂いてやる」


 食べ物でどうやらリゼルのお姉さんは簡単に釣られてしまったようだ。

 と、そこでメノウは気づいたらしく、私に、


「あ、イズミは先にシャワーを浴びてきた方が良いね。埃まみれだから。折角だから、洋服も貸してあげよう」


 メノウが妙に楽しそうに私に言ったのだった。


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