くじ引きの結果
拾い上げた紙をクロウが見ていたので私が覗きこむと、私の背では見えない高さに紙を上げてしまう。
仕方がないので私はクロウの傍でぴょんぴょん飛び跳ねてみるが……見えない。
「何でそんな意地悪をするんだ」
「いや、こうするとイズミがどういう行動を取るかなと思って」
「私を玩具扱いするな」
「……そうだな。意外に可愛い物が見れたし良いか」
クロウはそう一人頷いている。
私はむっとした顔で飛び跳ねていたというのに、可愛いとは何事だと私は思った。
だがそんな私を無視してクロウがその紙に書かれている内容にざっと目を通して告げた言葉は、
「やはりその手鏡の幽霊の心残りを探して欲しいらしい。どうやらこの屋敷がこの幽霊少女の持ち物だったらしい」
「だった?」
「彼女のその子孫が、病気のためにここから移住したらしい。その結果、今はメノウの家の持ち物になっているのだそうだ」
「そうなんだ……でももう無いかもしれないよ? 随分時間がたって住んでいる人も変わっているし……」
私がそうクロウに返答するとクロウは私の頭に止まった蝶を見て、それからしばらく相槌の様なものを打ってから、
「無ければ無いでいいそうだ。そうすれば安心であるらしい」
「そうなんだ。それで場所は分かっているのかな?」
「その場所なんだがこの屋敷だとは分かっているけれど、何処にあるのかは昔の事なので忘れてしまったそうだ」
「……」
私は無言になってしまった。
もう少し、ヒントがあってもいいのにと私は思う。
むしろ直接聞いて思い出してもらった方が良いだろうかと考えて、
「幽霊を見たり話したりできる道具って、作れるかな」
「欲しければ作ればいいんじゃないか?」
「それもそうだね。私達の世界には幽霊がいないから、考えつかなかった」
幽霊の正体見たり、枯れ尾花……そんな言葉もあるくらいだ。
科学文明の照らし出す明かりが、そういった幻想と迷信と悪意をぶち破って久しいのだから。
そう思いながらスマホでその魔道具を検索しようとする私に、メノウが困った様に近づいてきて、
「この鏡は借り物だから、幽霊が成仏してしまうと困るのだが」
「……クロウ、どうしよう」
私は酷い話だなと思って聞くと、クロウが再び私の蝶の方を見て頷き、
「別に成仏したいわけではないらしい。モテモテ幽霊ライフが、楽しいんだそうだ。悪戯も気軽にできるし」
「そうなんですか……」
幽霊なのに軽いなと思いつつ、美少女は目の保養という意味で見たかったのとメノウがクロウの説明で安心したのもあってそこで私は、その幽霊の見えるアイテムを作り始めたのだった。
出来た魔道具は、台の様なものに水晶玉がついた品物だった。
手のひらに載るくらい小さなもの。
使い方がよく分からず、手の平に乗せたまま蝶に近づけると、その水晶から光が浮かび上がり、長い金髪碧眼、白いネグリジャを着た少女が現れた。
『わー、変な道具ね。こんなの見た事がないわ。あら? もしかして声が聞こえている? 皆さんに? そこにいる……危険そうな方だけではなく?』
「はい。というか上手くいったみたいですね。こんにちは、私はイズミといいます」
『ご丁寧にどうも。ミリアと申します。えっと、私の心残りを探してくれるのかな?』
「はい、それが私達のクエストなので……全部クリアしないといけないんです」
『そうなんだ、じゃあまずは……屋根裏部屋かな』
そう言いだしたミリア。
取りあえずメノウの許可ももらうも、メノウが案内してくれるらしい。
荒らされては困るとの事で、メノウが私達についてくるのだそうだ。
「ラティが来るまでにこの件は終わらせておきたいね。ラティを弄ぶのに集中したい」
その言葉にリゼルが、何かを訴えかけるようにメノウを見るも、メノウは見ていたが知らん顔をしている。
そんなリゼルをシオンが後ろから抱き締めて、
「まあまあ、メノウとラティ様がくっついてしまえばしばらくは静かですよ。ラティ様も」
「……確かに」
と、リゼルが納得していた。
それを見ながらそういうものなのだろうかと思って私は心の中で納得した。
さて、それから案内されて、階段を上がっていく。
2つ上がると別の場所の階段まで移動となっていてとても移動しにくい。
けれどそうやって上へと上がっていくとやがて一つの部屋に辿り着く。
物置部屋であるらしい。
「貴重品もあるから触れないように。……まれに呪われるから」
といった忠告を受けて私達は大人しく付いていくと部屋の角にはしごの様な物があり、それを使って屋根裏部屋に向かうようだ。
そこでメノウが、
「入口が小さいから背の低い、イズミとリゼルで見てきてくれ。ああ、ちなみにここ最近屋根裏は掃除をしていないから埃がたまっているかもしれない。蜘蛛の巣にも気を付けて」
私はくるりとリゼルを振りかえる。
「……どちらが先に上るか、くじ引きだ」
「いいだろう、受けて立つ」
というわけで、紙を細く切って、先に赤い色を付ける。
ちなみにこれらはここの部屋にもともと置かれていたもので、品物をチェックするのに使うために置かれていた紙とインクらしい。
それらの事情は置いておくとして、握った紙の一つをリゼルが引き、
「よし、私は白だ。だからイズミが先だな」
「そんな~……分かったよ。灯り、もらえるかな」
私は渋々頷きながら、暗い屋根裏を見るための灯りを催促したのだった。
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