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これが私のチート能力

 さて、そんなこんなで街を目指すことになった私達。

 石の剥き出しの道を進んでいくと、途中で小さな白い球に羽の生えた生物が現れる。


「な、何、あれ!」

「あー、俺が作ったこの世界の魔物だな。道を歩いていると突然襲ってくたりする魔力の結晶のようなものだ」

「……魔物がいるから魔王もいたりするの?」

「この世界に魔王はいない。作ろうかどうしようか、この世界の住人にアンケートを取った所、経済を優先だそうで戦争させるな、と断られた」

「は、はあ……それであれはどうすれば?」

「こうする」


 そう告げたクロウが剣でそれらを薙ぐ。

 真っ二つになったかと思えば四角い物体になって、さながら豆腐のような弾力性とプルプル感のある個体に変化する。

 そう思っていると、それをプルプルさせていると段々と固まってきて硬いものになる。と、


「これは“パン”の材料だな」

「え……だって今の魔物……」

「基本的にはああいった魔物しかこの世界にはいなくて、倒すとランダムで色々なものが手に入る。今回はこういったものだ」

「もうちょっと細かい設定は?」

「面倒くさいから適当にやって投げた」


 面倒臭いの一言で投げたクロウに私は不安しか感じなかった。

 そこで私はふと気付いた。


「それでクロウ達のステータスってどんな感じなの?」

「ステータス? そんなもの見ても無駄だぞ、そっちの二人は見せるのが嫌だそうだし」


 私とクロウの後ろを歩いていたシオンとリゼルの方を見ると、リゼルが嫌そうな顔をする。


「何で私がステータスを見せなくちゃならないんだ。こんな弱そうな奴に」

「よ、弱そう……わ、私にはチートがあるし」

「チート? どんな?」

「ま、魔道具とか作れるそういったものです」

「ふーん、何だか弱そう」

「わ、私だって確かレベルとかすんごく強かったから弱くないです!」


 何でリゼルはこんなに意地悪なことを言うんだろうと私が思っていると、そこでシオンが、


「リゼルは自分が一番レベルが低いのが嫌なんですよ。君みたいな可愛い子はお気に入りのタイプなので、特に、ね」

「シオン、余計なことは言うな!」


 どうやら気に入られているので、こんな風な喧嘩腰らしい。

 どうしてそうなったと私は思わざる負えなかったりするけれど、そこで、


「そもそも何だチートって。だったらこの道具なんかも作れるのか? 丁度魔物なんかも倒して材料はあるし」

「これ、ですか?」


 リゼルが見せてきた本は、冒険者用の武器や防具、アクセサリー等の装備品の本だった。

 その内の一枚を私に指差して見せてくる。

 どことなく目がキラキラしていて、もしかして欲しかったけれど買えなかったりしたのかなと思う。


 そこでシオンが深々とため息をつく。

 次にそのリゼルの持っていた本を取り上げて、


「リゼル、まだ懲りていないのですか? 自分が何をしたのか覚えていないのですか?」

「だ、だって私、新しい武器とか好きだし……」

「それを暴発させて家宝の剣を壊したのをもう忘れたのですか?」

「あれはたまたまで……」

「幼馴染とはいえ、そろそろ見捨ててもいいですか? リゼル」

「……え?」


 怒ったように微笑むシオンにリゼルが大きく目を見開く。

 まるで捨てられた子犬のような瞳でじっとシオンを見ている。

 それにシオンは困ったように笑い、リゼルの頭を撫ぜる。


「大丈夫ですよ、本当に私は見捨てるわけ無いでしょう。……私以外に貴方の相手が務まるとは思いませんしね」

「な、わ、私は別に、リゼルの助けなんてなくたって、自分で何とか出来る!」

「そうですか? ではしばらく、一人でベッドに寝ましょうね」

「……え?」

「いい加減ぬいぐるみを抱きしめないと眠れないくせは直しましょう。ぬいぐるみの代わりに今は私に抱きついてきていますしね」

「……やだ」

「……少しづつ慣れていきましょう、ね?」

「……だったらシオンがお婿さんに」

「やはり見捨てるしかないようです。リゼル、頑張ってください」

「いやぁああああ」


 そうリゼルが悲鳴を上げているとそこでシオンの取り上げた本を、今度はクロウが取る。

 不思議そうにシオンがクロウを見るが、そこでクロウが、


「そういえば、イズミがどんな力なのかを俺はよく知らないんだよな。魔道具を作れるなら試しに作ってみてくれないか?」

「う、うん。でも……使い方は教わってないかも」

「……それじゃあチートの意味が無いんじゃないのか?」

「え、えっと、スマホを使えば何かできるかも」


 私は慌てて持ってきたはずのスマホを探す。

 ポケットを探すとそっから出てきて、試しにやってみてもいいかなと思う。

 だから私はクロウに、


「えっと、“魔導式バズーカ”だっけ?」

「そうそう、それだ。……何であちらの世界の機械にこの世界の道具が映っているんだ?」

「わ、わからないよ。でも材料は、“炎の魔力石”と“金色の土”、そして“青色のタール”みたい。その材料はあるのかな」

「……持っているか? リゼル」


 クロウがそれを聞くと、いそいそとリゼルが材料を取り出した。

 とりあえず、私はそれらの材料を地面に置き、


「この後私はどうすればいいんだろう?」

「俺が知るわけ無いだろう。俺の力の管轄じゃないからな」

「う~、えっと、チート発動しろ~、発動しろ~」


 けれど何も起こらない。

 何も起こらないじゃないか、といったような目で私はリゼルに見られる。

 本当に私の中にそんなチートがあるのだろうかと不安に思っていると、気づけばスマホの右下に“go”と書かれたボタンが点滅している。


 試しに私が触れると、先ほど置いた地面にピンク色に輝き始めて光の魔法陣のようなものが現れる。

 その光の中で置いておいた材料がとろりと溶けて、ふつふつと泡を立てる。

 それからかき回されるように渦巻いた方と思えば段々と円筒形のようなものを形作っていき、やがて円筒形に四角い出っ張りがついている。


 出来てしまった、と私は思いながら、どうやらこのチートを使うにはこのスマホが必須であるらしい。

 どんな魔法だろうと私は思いながらも、説明書を見る。



★“魔導式バズーカ”

 魔法を込めた弾薬を詰めて放出するタイプ、初心者でも引き金を引くだけで魔物を倒せます。しかも、弾を込めれば何発でも使えます。使い捨てでないのがこの魔導式バズーカ! のとても素敵な所❤


 

 その説明を見ながら私はあることに気付いた。

 弾薬は何処から補充するのかと。

 ちらりと見れば、リゼルが嬉しそうにその“魔導式バズーカ”を持って頬をスリスリしている。


 とりあえずそちらの方は要求されていないし作らなくていいかな、と私は思いながらもそこで気づく。


「そういえば私も武器とか持っていたほうがいいのかな?」

「今ここで作りたいのか? なにか欲しい武器でもあるのか?」


 クロウに聞かれて、武器と言っても何があるかといえば、大まかに剣やら槍やら弓やら斧やらくらいしか思いつかない。

 どうしよう、どれがいいんだろうと私が思っているとクロウが、


「実際に武器屋で手にとって見たほうがいいんじゃないのか? その武器の中で何か使ったことがあるものってあるか?」

「刃物は……料理を使う時に包丁を使うくらいかな?」

「……」

「な、何で沈黙するのでしょうか」

「……イズミ用の武器を武器屋で見繕ってやる。素人でも使えるようなものをな。もし何かあっても自分の身が守れるように」

「本当! ありがとう!」


 そんな私を何故かクロウはじっと見ており、私は首を傾げる。

 ふいっとクロウは顔を背けてプルプルしていたが、


「しばらく俺の後ろにいろ。とりあえずは街まで守ってやる」

「わーい」


 こうして私はクロウに守られながら街に向かったのだった。



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