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蝶が飛んできた

 さて、メノウの馬車で私達はメノウの屋敷にやってきた。

 こちらも丘の上にたつお屋敷だった。

 何階建てで何部屋あるんだろう、そう私は思って青い屋根のレンガ造りの屋敷を見る。


 そこら中に花が溢れている屋敷だ。

 花壇に植えられたチューリップに似た花が風に揺れている。

 黄色ピンク白赤、他にも違う色が混ざった花も咲いている。


 鮮やかに彩られた道の脇にある花壇をしばらく私が見ていると、ふわふわと真っ白な蝶が飛んでくる。

 それが花に止まると思いきや、頭に止まってしまう。

 追い払うのもどうかと思ってしばらくじっとしていると、


「イズミ、花ばかりに見とれていないで早く来い!」

「う、うん。でも蝶が頭についたままで……」

「……可愛いからそのままでいいんじゃないか? 懐いているから、無理やり放すのも可哀想だしそのままいったらどうだ?」

「でも……」

「飽きればかってに何処かに飛んでいくだろう」


 クロウにそう言われて、私は仕方がないなと思って、そのままその場を移動したのだった。








 合流したリゼルが私の頭を見て笑っていた。


「うむ、よく似合っているな。ぷうっ」

「く、リゼルだってこんな状況になれば、笑ってもいられないだろうに。でも何で私にこんなに懐いているんだろう」

「イズミに会いに来ているんじゃないのか? ……故人が」


 そこで楽しそうにリゼルが意地悪な事を言った。

 それってお化けって事じゃないですか、冗談じゃないと私が思っているとそこで屋敷の客間に私達を案内してくれていたメノウが、


「実は先日、変わった骨董品を手に入れてね」

「……なんですか、今度は。何のフラグですか」


 何かを思い出したようにメノウがいいだす。

 それもいかにも関係がある様に。

 それを匂わすように。


 私が縁起でもないと思っているとそこで更にメノウが、


「実は先日買った骨董品というのが、銀細工の手鏡でね。宝石がはめ込まれた美しい物で、嫌がらせにラティに渡そうと思っていたのだが……」

「え? 姉さんに?」


 そこでリゼルが姉さんにというので、ここでようやく私はリゼルの姉の名前がラティというのに気づいた。

 そして手鏡という物を渡そうとする程度にメノウが性格が悪いのか、ラティがにあってしまうような存在なのか。

 後者だなと私は納得した。


 さてそんな驚いた声を上げたリゼルにメノウは、


「その手鏡は、その昔、とある貴族の美しい女性が大事に使っていたもので、その女性は幸せな人生を送ったのだがなにか心残りがあるらしくてね」

「なんです、何で私をチラッてみるのですか」

「いや、その蝶を見ただけだ」


 まさか私にくっついている蝶がそんなものと関係があってたまるかと私は思った。

 さて、そう思っている私にさらにメノウは続ける。


「この鏡、いわくつきの鏡と呼ばれていてね。何でもその鏡を覗き込むと……」

「覗き込むと?」

「その本の持ち主の女性が、少女の時の姿で、ダブルピースをして写り込んでくるそうです」

「……そうなんですか」

「ええ。そしてその女性があまりにも美少女なので、購入と言ってもしばらく借りる権限をもらうだけという状況なんですよ」


 私はそれ以上どう答えれば良いのかわからなかった。

 でもそんな幽霊だったら、ある事をと私は思ったので、


「鏡に幽霊が取り付いているのならそんなに移動出来ないのでは」

「いや、その映るのも気まぐれだが、ずっと一箇所にいるのは暇であるらしく、適当な周囲の動くものにとり憑いて移動したりしているらしい。しかも鏡からそこそこ離れていても大丈夫であるらしい」

「何でそれが分かるんですか」

「その鏡にあくびしている様子や何かに取り憑いて移動しているいている様子が映っているらしい」


 この世界の幽霊はかなり自由であるらしい。

 何だかなと思いつつ私は、


「でもどうしてそんな鏡を? 好きな人にそんなものを渡したら嫌われるのでは?」

「……美少女のお友達とのツーショットがしたいとラティが言ったので」

「それは生の美少女ではないでしょうか」

「生の美少女かどうかは聞いていないから、問題無いだろう」


 とても問題があると私は思いました。

 だがまあいい。

 私にはきっと関係がないだろうしと思いつつ、先ほどから沈黙したままの側にいたクロウに私は、


「でも幽霊の女の子がこの蝶に取り憑いてたりとかするわけじゃないよね」


 クロウは一応神様の子供だったり魔王予定だったりするので、素で見えたりスのかなと思って質問したのだが、


「いるぞ。その可愛い女の子の幽霊がその蝶に取り憑いている」

「……」

「てっきり勇者よりだからなついてきたのかと思ったが……ああ、だからよりついてきたのか。困っている人というか厄介事が自動的に集まってくると」


 どうやら私が勇者予定だったので近寄ってきたらしい。

 でも私がとりつかれるのは嫌だな、そう私が思っているとそこで何かがクロウの上に落ちてきて、クロウはそれを避けた。


「くくく、いつまでも同じように当たると思うなよ」

「でも一度ににこのクエストになるのかな?」

「……また面倒な」


 クロウが呻いて、そこで落ちてきた紙を拾い上げたのだった。


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