どうやら私は。
さて、朝食を食べて場所を移動する事に。
その昨日の場所ヘと向かうための地図を、クリームリートにもらう。
これがあれば、後は向かうだけだと思っているとそこで、
「その場所まで、内の馬車を使っていく?」
それはとても嬉しい申し出のはずだった。
だがそれに答える前に即座にリゼルが、
「いえ、運動も兼ねて歩いていきます」
「そうなの? 遠慮することなんて無いのに」
残念そうなクリームリート。
だが私としては、送ってもらえるんらそのほうが良いと思うっていたのだけれど、
「リゼル、送ってもらったほうが良かったんじゃないのかな?」
「! なんて恐ろしいことをイズミは言うんだ! あんな暴れ馬の馬車に乗るくらいなら、歩いたほうがマシだ」
「暴れ馬?」
「……クリームリート達一家は、ゆっくりしているのがあまり好きじゃないから。それに戦闘も大好きだし」
「そう、なんだ……」
「特にイズミは訓練なんて受けていなさそうだから……どうなるかわからないな」
リゼルのその言葉を聞いて、徒歩以外の選択はなかったのだなと私はちょっとがっかりしつつ、恐ろしい馬車に乗らずに住んでよかったとも思ったのだった。
さて、朝の気持ちのよう日差しの中私達は歩いていた。
まだ時間が早いせいか商店は何処も閉まっている。
そんな中を歩いていくと今度はまた店や民家が見えなくなる。
周りは草原のような場所に変わり、少し離れた場所には木々が生い茂り、森になっているようだった。
そんな周りの光景を見ながら土のむき出しの道を私たちは歩いて行く。
長閑な世界が広がっている、そう思いながら私はクロウを見上げて、
「なんだか穏やかでいいね」
「そうだな」
「クロウ、魔王なんてやらなくて良かったね」
「そうだな、面倒くさいし。……こうやってゆっくり、イズミと冒険することもなかっただろうしな」
「そういえば、クロウが魔王だったら私、もしかして勇者として召喚されたり?」
「だろうな……俺の好みだし」
最後の方は小さい声でクロウがいったのでよく聞こえなかったが、どうやら私は勇者として召喚される可能性もあったらしい。
でも、そう考えると、
「私がクロウを殺さなくちゃいけなかったってことかな?」
「どうだろうな。もう少しゆるゆるな世界観で展開だったと思う。俺だって痛いのも嫌だし部下を操らないといけないし……部下に丸投げしても良いのだけれど、まるなげした部下が恋愛脳だと、好みの人間を連れて来て二人で延々といちゃついて、魔王の仕事はそっちのけになりそうだしな」
「……何だか今ものすごく具体的な例を出された気がする。魔王の部下候補もそういえばいるの?」
「いたけれど、聞いてもしかたがないぞ? 俺は魔王はやらないし」
確かに魔王をクロウがやらないなら聞いても仕方がない。
そう思っているとそこでリゼルが、
「まだ着かないのか?」
「もうちょっとみたいだよ。地図によるとこんなふうな三本の樹がここに生えているみたいだし」
書いてある地図を指差しながら説明する。
それを見てリゼルが、
「大分近いな。よし、早く終わらせて、ケーキを食べよう。ここの街で美味しいケーキ屋さんがあるし」
「そうなんだ。よし、私も頑張るぞ!」
リゼルのケーキにつられて私はやる気になる。
そうしてさらに進んでいくと、昨夜、嗅いだのと同じ花の香がしてくる。
近いのかも、そう思ってさらに進むと……一面が白い花で覆われた花畑が現れる。
私達の世界の釣鐘草に似ている。
鐘のような形の白い花が一つの茎に幾つも付いている。
個人的なイメージでは、妖精さんが花の中にホタルを入れて明かりにしているイメージだ。
さて、風に揺れる花々を眺めて楽しんでいても良いのだが、とりあえずはクエストを進めないといけない。
というわけで昨日作った“魔力探知レーダー”を取り出す。
白い石の部分に触れると、昨夜と同じような光が一箇所に集まっている。
私達だろうと思っているとリゼルが、
「やっぱり、シオンのほうが魔力が大きい。私のほうが大きいはずなのに」
「い、いや、えっと、もしかしたら魔力と違うものをはかってるのかも」
「だとしたら何だ?」
「身長、とか?」
「……」
沈黙してしまったリゼルに、苦しい言い訳をしてしまった気がしたが、そこでリゼルは頷く。
「確かに身長という要因を加味したのかもしれない。それでは仕方がないな」
何故か納得してくれたらしい。
良かったと私は思いながらそこで、変なものを見つける。
どこか赤みを帯びたそれは、昨日見た赤い釣鐘草に見える。
「この赤い光がそうじゃないのかな?」
「赤? 薄いピンク色だろう?」
「……昨日のモンスターを見つけた時と同じ状況になっている」
私が呟くと、リゼルが気づいたらしく頷く。
それから私が赤い光を見ている場所を確認する。
このレーダーのプレートを手のひらに乗せてゆっくり動かすと、その私の視界の範囲内がレーダーに投影されるらしい。
なので段々に動かして私の目の前に赤い光が現れるまで移動させて、
「ここを真っすぐ行った先にあるみたい」
そう私はその方向をまっすぐに見つめたのだった。
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