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ただ着替えているだけです

 突然私は、クロウにベッドに押し倒された。

 脱ぐのを手伝って欲しいと私は言ったけれど、


「な、何で……」


 私に覆いかぶさるように、上からクロウが私を見ている。

 無表情でじっと私を見つめている。

 その視線がどこか獲物を品定めしているように見えて、私は逃げなければと本能で感じた。が、


「動くな」

「ふぎゃぁ」


 そう言われて私は、クロウに転がされてうつ伏せにされた私。

 ちなみにこのドレスは肩の部分が大きくでているドレスなのだが、


「ちょっ、やぁああっ」


 そこで私は肩のあたりの肌をネットリと味わうように触れられる。

 しかもそのまま片手がするりと背中の、肌と服の間に入ってくる。

 もぞもぞと動く指に私は妙な感覚になる。


「ぁああっ、やぁああっ、めっ」


 そこで、クロウのふれた指が、


「ニーソは自分で脱げるな。ここまですればあとは自分で脱げるとは思うが……イズミ、感度が良すぎないか?」

「ふ、ふえっ?」 

 

 呆れたようなクロウの声が聞こえた。

 そこでそれまでハアハアと息荒げにぼんやりとしていた私ははっとして、


「だ、だってあんな風に体を撫で回されれば……」

「俺は服を脱がす手伝いをしただけだ」


 さらに嘆息するように言われてしまい私は、さらに羞恥心が増す。

 しかもクロウはただ脱がすのを手伝っただけというような感じで、私だけが今はあえいでいたという……。と、


「……危なかった」

「え? 今なにか言った? クロウ」

「いや、まさかこんな繊細だったとは……」

「う、うう……普段はそんなじゃないんだ、本当なんだ」

「そうだな。うん」


 クロウが生暖かい目で私を見てそういう。

 く、言い訳すら出来ないと私が思っているとそこで私は気づいてしまった。

 リゼルが、何処か期待するように目を輝かせて私達を見ている。


 彼女の脳内で私達がどのような状況になっているのが凄く気になる。

 と私が思っているとリゼルはシオンにそのまま押し倒されてベッドで抱きしめられて、


「いいですか? ああいう状況になったら見て見ぬふりをしないといけません」

「でも気になるし?」

「だからこっそり見るんです。気づかれるように見てはいけません」


 注意する所はそこなんだと私は脱力して、それから私は私の着てきた服に着替えたのだった。









 夜がやってきた。

 リゼル達だけでなくベッドの寝心地の良さに誘惑されて熱せられたチーズのようにとろろーんとしていると、


「ベッドが心地いいのはわかるがそろそろ行かないか?」


 メノウが現れた。

 なんでももうすぐ日が暮れるので、見えるだろうとの事だった。

 クリームリート達には遅めの夕食になるのをすでに伝えてあるらしい。


 ここからそんなに離れていない場所に生えているそうで、そこで赤く輝いているのを見つけるだけだからすぐに行って戻ってこれるだろうとの事だった。

 それに長居をすると魔物との戦闘になるかもしれないそうだ。


「戦闘狂ならそれでもいいかもしれないね」


 とメノウが笑うので私はお断りをしてから、案内してもらうことに。

 その場所までは、メノウの馬車で移動だった。

 馬車に揺られながらメノウがリゼルに、


「それで、どうしてこんな所をふらふらリゼルはしていたのかな?」

「……言いたくない」

「家宝のクーゲルシュライバーを粉々に粉砕したんだって?」

「! 折っただけだ、というか知っているんじゃないか!」

「うん、何かにつけて君の家には出入りしていたのは君も知っているだろう?」

「……」

「それで、神様の卵らしい人物はどちらなのかな? 私としては、可愛い方が楽しいが」


 冗談めかしてメノウが言うが、私のことを値踏みするようにじっと見ていた。

 メノウは美形だが男性である。

 私ってそういう対象に見られやすいのだろうか?

 そんな焦りを覚えていると、クロウが私の腰に手を回して引き寄せて、


「俺がその神様の卵だ。そしてこれが異世界人だ」

「へ~、異世界人は随分と可愛いんだね。……でも、手は出さないようにしよう。怖いからね」


 異世界人といったらそんな対応なのかと思う。

 別に私は怖くはないと思うんだけれどなと密かにショックを受けているとそこで、


「さて、着いたぞ」


 メノウがそう言って、甘い花の香がする場所で馬車を留めたのだった。


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