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ふたりぼっち  作者: 美波
1/3

親友が死んだのは、17歳の時だった。


死んでしまった親友のアキと、その彼氏のハルも私の親友で

ずっと三人一緒だろうと漠然と思っていたものは、突然なくなった。


喪失感で死ぬんじゃないかと思ったけれど、ただただ月日は流れていって

私たちは、アキを置いて大人になった。


25歳。冬。


実家から通える名の知れた大学はいくつもあったけれど、

そこにいられなくて、離れた大学を選んで一人暮らしを始めた。


そのままそこで就職して、3年。実家に帰ったのはアキの七回忌の時くらい。


友達は特につくらず、いつも一人でいた。


「なっちゃん年末休み実家帰るのー?」


更衣室で脱いだ制服をハンガーにかけていると、隣のロッカーのユカリさんはもう着替え終わってヒマそうに髪を直していた。


「いや、帰らないです。」


「帰んないんだ?去年も帰ってないよね?」


「そうですね、ここ何年か帰ってないです。」


四個上のユカリさんは美人で仕事ができて、人当たりも良い。


「そーなんだ?

てか、この前の結婚式連絡先きかれてたじゃん、あのかっこいい人どーなった?」


「ああ、スズさんの時の?返事してないです。」


ユカリさんの一個下のスズさんは、ユカリさんより一足早く寿退社した。

正直スズさんよりユカリさんの方が美人だけど、ユカリさんはしばらく彼氏がいないらしい。

世の男共は何をしているのだろう。


「もったいなーい!」


「スズさんの知り合いなんて、適当なことできないじゃないですか。」


「真面目に付き合えばいいのに!」


「無理ですよ、無理無理。」


アキが死んだ後、ハルと少しだけ付き合ったことがある。


私はアキの代わりになろうとして、ハルはアキの代わりにしようとして。


予想がつきそうなものだけれど、そんな風な気持ちで上手くいくはずもなくすぐに別れた。


「付き合うから寂しくなるんですよ。」


「んん?それはなっちゃん、今まであまり良い恋をしてきてないね?」


「どうだろう、そもそも恋愛ってしたことないかも」


「ちょっとぉ、可愛いのにもったいない!」


「はは、その言葉そっくりユカリさんに返しますよ」


大事な人を失うのは


「もーう、男紹介しようか?」


「適当にしていい相手だったら。じゃあ、お疲れさまです。お先に失礼します」


もう二度とごめんだ。


「お疲れー」


アキ以外の友達が欲しいと思ったことはない。


アキがいい。

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