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~Plolouge~

新参です。幼稚な文章になることも多々あると思いますが、何卒宜しくお願い致します。

 時に、神々の戦いがあったという。


 地は裂け、海は割れ、地殻変動など日常茶飯事であった。事の発端は突如降って沸いた十六の未知の神々と、その世界を陰ながら統べていた十六騎の英霊神達の間に起きた侵略戦争だった。


 英霊神達は強力な『魔術』を扱い、最初こそ未知の神々、もとい外界がいかいの神達を圧倒していたものの、時間が経つにつれ徐々に勢力を増していく外界神達に歯が立たなくなっていった。


 何がこの差を生んだのだろうか?実はそれが自分達英霊神が生み出したものをまんまと利用されたからである。それがファティファイト・ビーシャム、あるいはスキル画面と呼ばれる、能力を数値化する技術。

 

 英霊神たちはこの技術によって己が能力をより効率的な成長へと結び付けていた。しかし、外界の知識と英霊神たちの知識を掛け合わせ、彼の者たちを上回る力、『魔法』を得た外界の神達は、英霊神たちの想定をはるかに超えた力で、その地を蹂躙し始めた。


 英霊神たちはその強大な力量を見誤り、放置していたことで自分たちの破滅を呼び寄せ、全滅してしまったという。


 のちにこの戦いはクルセイディッシュ・ウォーと呼ばれ、外界の神達をたたえる伝説となっていった。


 だが、英霊神たちが残した物達は密かに後世へ形を変え、受け継がれていくこととなる...。



「ねぇセイ、いや......セイディ、約束(・・)、覚えてる?」

「うん?約束?......あぁ、あれ」

「そう、あれ。もう、行けるかな?」


 二人の獣人種の少女が会話を交わすのは、憂鬱な気分の空の下、川沿いの洞穴の中でのことである。


 二人はギルドから依頼された仕事(クエスト)の真っ只中。獲物を待つ間の手持ち無沙汰な時間を使い、会話に興じる。


「もう流石に大丈夫だと思うぜ?けど来月があれだろ?」

「そうなんだよね......鍛治神ブローチャーの祝福週があるし......」


 茶髪の少女が髪をかき上げる。


「そうなんだよ。だからさ、一回二手に別れて自分の装備を仕上げる、ってのはどうよ?」

「そうだね、そうしようか」

「よろしいよろしい。じゃ、こいつでもするか?」


 そう言って白髪の少女が腰に掛けていた、使い古されたバッグから現れたのは、これまた使い古された四片の白黒模様が施された木板だった。


 茶髪の少女はそれを見て、呆れながらも白髪の少女の意図を察する。


「そんな顔すんなって。ヒナもやりたいんだろ?」

「それ、二人居ないと遊戯(ゲーム)が成立しないでしょ?......もう、仕方ないなぁ」


 ありがと、と心中で呟きながら、白髪の少女は平らな場所に木板を広げ、32個の駒を並べていく。


 ルールは簡単、移動範囲の決まった駒を操り、相手の王を打ち倒すゲームである。俗にチェスと呼ばれているが、ここではクルセイド、という名前で呼ばれている。


 二人は静かに手数を重ねていく。


「む......」


 茶髪の少女が長考に入る。茶髪の少女は相手の先を読んだ打ち筋は巧いのだが、搦手に弱いらしい。手数を重ねるごとに打ち筋にキレがなくなっていき、徐々に白髪の少女のペースになっていく。


「ほい、チェック・メイト......っと」

「うぅ~~~~」


 結果は白髪の少女の勝ちであった。堅実な守りを維持しつつも、時々隙を見せてはカウンターで駒を刈り取る。安定した打ち手に茶髪の少女は後手に回ってしまい、最後は残った駒に押し切られて敗北を喫してしまった。


「やっぱり先手を打つのは巧いんだけど、いっつもカバーが甘いよなぁ、ヒナは」

「返す言葉もございません......」


 まさしくその通りであった。が、相棒の性格を熟知している白髪の少女は、こう声を掛ける。


「もっかいすっか?」

「もちろん。次は勝つよ?」


 再度駒を並べ、手数を重ねていく。今度は茶髪の少女が優勢で、相手は防戦一方になり、後手に回ってしまっている。


(勝てる......!!)


 が、そう確信したのも束の間、


からからからからからからからから......


 少し遅れて、


「キュルルルルルアァアアァッ!?」


 木と木がぶつかって奏でられる音と、獲物が上げた哀れな悲鳴が、情報として二人の耳朶を打つまでに要した時間はおよそコンマ一秒ほど。


 そこからの劣勢だった白髪の少女の反応は早かった。


「はいっ!!しゅーりょー、しゅーりょー!!」

「あっ!ちょっ、勝ち逃げしたなお前ーっ!!」


 両方とも負けず嫌いなのである。ぎゃぎゃー言いながらも、二人は迅速に木板と駒を片付け、二人は獲物の元へ急ぐ。


 片方は弩弓(クロスボウ)、そしてもう片方は戦鎚ウォーハンマーをその手に持って。


 二つの背は見る見るうちに小さくなり、白く染まった木々の奥へ消えていった。


 のちに、この少女の片割れが人生を変える出会いを果たすことになるが、それはまだ、言わないでおこう。

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