遺跡遺産について
朝飯も食べ、ある程度無駄話も多くなり時間が経過した。その間、俺は風呂に入ったり着替えをしている所を玖珂に妨害されたり色々あったが思い出したくないし、それはもういいだろう。
そんなこんなで、日も高くなり昼頃に、二人だけしかいないこの部屋にも足音が追加される。
元気な足音と陽気ながらも落ち着いた足音の計二つ。まぁ奴らだな。
「ただいまー」
「あ、皆さん起きてたんですね」
「おっすおかえり」
「もぶぁ、えりー」
「ユミは飲み込んでからにしてくれ」
宿屋に帰ってきた現地組。大きな荷物を持ってきて、この部屋の冷蔵庫っぽい保管庫につっこみ始める。手馴れてるのか別にこの地で忘れてってもいい駄菓子類の中で冷やす系を入れ、日用品は例のバックに詰める事でもしもの時に動けるように対応している。
「と・こ・ろ・でー、ぱぱ、ままお土産は?」
「こんな自分より年上のでっかい、ゴクつぶしを二人も産んだ記憶は私にはありませんよ?」
うーん、玖珂のセリフがファンタステイック☆だったのは分かるんだが何故、俺を含めて蔑みの視線で睨みつける? この間エニグマは若者三人を無視して買った物品を整理していたわけだが、なんか懐かしそうな目線を俺達に向けていたのはなんじゃらほい。
「稀に君も人に喧嘩売ってくるよね。と言うかさ、俺何かした?」
「私はまだ高校生なのでゴクつぶしじゃないよ」
若干被って反論を口にする。どちらも相手に対して突っ込むべきことがある。まぁ、突っ込めない物もあるんだがな。
まぁその反論に対して、テレザはばつが悪そうに流石に言いすぎましたと謝ってくる。
どうもノリで言っていただけのようだ。
曰く、ウザい時の師匠が被って見えたとの事。あの人も本当にどうにかならんかねー
「所で、僕たちが二人で買い物に行っている間、君たちは何をしてたんだい?」
エニグマが物の整理をし終わった後、俺はそっと二人にもお茶を出し一息つかせる。
俺達が二人でほどほど仲良くお茶をしてる事もあってか、買い物してる間の事が気になったようだ。なので特に隠す様なものでもなし、話そうとしたわけだが。
「ふっふー乳繰り合ってた」
「乳ッ?!」
いつも通りのインターセプト、もしかしてこいつ分かっててやってるのか?
俺は玖珂を睨むが口笛吹よったよコイツ、しかも睨む前に。その言葉に何か驚きと怒気と困惑か、それを同居させて戦慄いているテレザは何かあったのか? 心当たりが無い訳でもないがね。
「こいつの冗談ダヨー、レイ・すぺしゃる」
「ザバス!」
「あ、その雷光という事は君も、ナナセから与えられた力を制御できるようになったのか」
とりあえず放置しておくとメンドクサイ展開になりそうなのでうっとおしいが弁解しておく。後ろから抱き着いてくる玖珂には軽くサンダーチョップを食らわしたのであった。
ゆっくりと放ったつもりだったがそれでも速く鋭いチョップが出てしまい流石に死んだかな。そう思わせる速度が、客観的に出たので心配だった訳だが、玖珂も玖珂で風を纏わせてガードしていた。
それは良かったのだが、やたらピースして自己主張してくるのはどうにかならんのか。
「やっぱり父さん産か」
「そうとしか言えないだろう。あの戦いが終わった後、不自然に力が増したんだから」
「私はてっきりボスを倒したからようやくレベルアップしたのかと思った」
「もう静まれ」
「今度は愛を感じる!!」
思ってもいないくせにボケる玖珂にぺチンとチョップする。流石にもう威力が強すぎてサンダーはできんしな。何故かチョップを受けて恍惚とし始めた玖珂はほっとく。怖いし。
エニグマが玖珂の話を無視して語ってくれた内容から自分の把握している内容を統合して考えを簡単に纏める。
要は昨日、戦いに勝った後、俺達に力を四等分して与えてくれたという事だろう。
命を削り、俺達に自分を止めてくれと頼んだのか、それとも別の何かに警戒してかは疑問は尽きない。ただ、要は父さんが俺達に託してくれたんだと好意的に受け取っておこう。
「レべ? アップ??」
「ほーら、玖珂の冗談で一人だけ意味を知らんテレザが困惑してるだろう!」
「そうやって指摘されると仲間はずれみたいで辛いんです、にゃァア」
指摘してしまったが故か部屋の隅に何か移動し始めるのを裾を引いて止めようとしたらこけた。どうも俺達は笑いの神に愛されている気がする。
「ふ、はァアハハハ」
「ブツブツ銀星より来たれ、暴を司りし魔術の王。遍く疾きその姿、万象をその速度で焼き」
「暴王の流星を唱えるのはやめなさい」
そろそろ我慢の限界が来たのか魔術を玖珂に向けて唱え始める。銀の腕輪は光り輝き、そこから魔力が供給される。
銀の腕輪自体も魔導書と一緒らしく、今回の新技は腕輪から知識が供給されているようで、知らない術式も唱えられるようだ。
「まぁ元々、とある一族が造り上げた本ではない魔導書を製作技術の応用で遺跡技術を利用して造った奴だからね」
「知っているのか、エニグマ!」
「うん、いや、やけにテンション高いねユミ。何か昔ナナセにもそれ言われたけどまだ、流行ってるの? それ」
「まぁ、後十年は戦えるネタだろうしなソレ。所で詳しくお願いする」
自分が手渡された知識に対しては見識を深めておきたい。あの人時間制限もあって一切説明してくれなかったからな。
「あー、まず僕達が貰った物は過去の遺跡から発掘された技術をナナセが四苦八苦しながら改良した物なんだよ」
「遺跡……ししょーから聞いた事があります」
銀の腕を撫でながらつぶやく。遺跡と聞いたその時からやたら目を輝かせてテレザは傾聴している。某とある時とは違ってすごく楽しそうだな。
「昔の方があらゆる技術が発展してた、んだっけ?」
遺跡には、技術不足あるいは法、倫理の発達によって今の時代では作れないような技術が埋まってるんだっけ。
ホロの遺跡漁る前に説明されたな。それで大体の地上の遺跡は危険だから爺さんが人間の手や悪意ある魔族の手に渡らない様に信頼の有る魔族に管理させてるんだっけか?
「「まるでゲー!!」」
「ひゃ」
「ゲームのダンジョンじゃないからね。チキュウ人のお二人さん。どちらかと言うと警備員だね」
二人ハモった感想にテレザは圧倒される。
しかし、エニグマは多分、父さんから聞いた事があるんだろうな。喉が渇いたのか茶をしばきつつ、程よいタイミングでインターセプトしてきた。喉は潤ってるはずなのに態度と声はとても乾いていて切ない。
「「夢がないッ!!」」
「うるさいよ」
ので、諦めずに強くリアクションするのだが、それもカラッと返される。なんだろう温もりが欲しくなるな。こういう冷たいエニグマは久しぶりだ。一番は印象に残ったのは時期は確か、あー
「そいや、遺跡に関しては統括官殿に聞けば大体分かるか」
「統括、あー」
「良く覚えてたね」
そりゃ、ゼリウスさんがあんだけ印象深く説明してくれてたのだから忘れている訳がない。テレザもあの時の事を思い出したのか反応をする。
「というか、『ある程度』古い魔族達なら知ってる事だよね」
ただ、玖珂だけは別のルートでエニグマなら遺跡について知っていると分かってたのか、当て擦り? をエニグマに対してしていた。
何かあるのか?
「誰に聞いたのかは知らないが、そうだな、それに対しては僕に聞かないでくれると助かる」
それでも、エニグマは玖珂の当て擦りに対しても茶を飲みながら冷静に対処をする。身内間で空気の凍る会話は止めて欲しい。テレザなんてビックリして部屋の隅に行こうとしてるじゃないか。
「レイさん? もう逃げませんので服の裾、放して頂けます?」
「うん。ああ、ゴメンゴメン」
うっかり放すのを忘れていた様で、テレザは困惑しながら左手で俺が掴んでる裾をクイクイやっている? 何やってるんだ
「レイ君! 今すぐテレザを見上げるんだ」
「はぁ?」
テレザがなんか引っ張ってるし手を離そうとした瞬間に急に玖珂が緊迫した声でテレザの方を見上げろと言ってきた。やけにシリアスに言うものだからついつい上を向く。黒?




