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どーん 過去よりの刺客!? リクドウ・ナナセを討伐せよ!

そこでは、短距離転移を利用した超加速と光弾を脚部に集中させて蹴りを見舞うエニグマの姿と


  (お前如きが囀るな)


 四角い物体から微動だにせず、手をかざし空間を捻じ曲げて相手の攻撃を防いでるように見えるアルヴァの姿があった。


 なにこの光景?


 火花と言うか光が散り、空間が捻じ曲がる戦場で、俺たちは途方に暮れていた。いや、おろおろと眺めるテレザと、どっちもがんばれー、と煽り立てる玖珂を考えれば俺のみが途方に暮れていた。


 アルヴァの空間を捻じ曲げる攻撃に、エニグマは転移で逃げて、光の剣を纏いキックを食らわす。その技なんだよとか、色々言いたい事が出てくるが話しが進まないのでめんどくさいが止める。


 大きく息を吸い込む


  「止めんかー!!!!!」


 どこぞの誰かに似てしまったようにも思えるがこれで多分、止まるだろう。何故かそう思う。


 事実、攻防も収縮しているような気がする。俺は駄目押しで手を叩いて制止させる。しかし、こんな開けた場所なのに音が響くの果してどの様な理屈なのだろうか? 乾いた音が響いた。


  「止めないでくれる?」



  (君から先に食らわれるの?)


 なんか矢鱈滅多ら物騒な目線を送られる。目で人を殺せる人がいるというのは聞いた事があるが、今は信じられるよ。目からビームでも放たれているかのような錯覚すら覚える。ストレスで、胃が腐りそうだもの。


 本当にめんどくさいね。


  「んで? なんでこいつらいるんだ。そして闘わなくてはいけないのは何所にいるの?」


  「オー終わりっぽいね。それでここ何処?」


  「一応、目の前の少女が知っているそうですよ」


 しかし、めげている訳にも行かない。しんどいのも押し殺して話を進める。一応、人の話を聞ける程度には互いへの警戒を解いているのか、落ち着いてはいないもののこちらとの会話はできそうである。


 それに気づいたのか、便乗して玖珂とテレザもエニグマが落ち着いたのを確認して話しかけてきた。俺達ってさ絆って何処にあるんだろうね?いつも思うよ。棚上げしてるのも分かるけどね。



 約二名除いてほのぼのした会話が始まりそうな気がする。


 こちらに敵意が向いていない事と、俺が顔見知りっぽい事を『俺が必死に争いを止めようとしている中で』観察して察したのか、ずいぶん親しげな様子で二人にとっては初めて会うはずのアルヴァがいるのに会話していた。なんというか図太くなったなテレザ。


  (お前たちはレイの魂の繋がりからここに招いた。今からある人物と戦ってもらう)


  「おい、多分、創世剣の精神格! もっと詳しく説明しろ! というかさっきから鳴っているこれなんだ!!」


  (知らん、たいとるこーるどーん!)


 そんな俺達に、毒気でも抜かれたのかアルヴァは呟く。それに対して怒鳴りながらエニグマが聞きたい事を聞くがいつも以上に傍若無人に話をアルヴァは進めたのだった。当然、情報の少ない俺達三人以外の後方二名はポカーンとしながら現状を受け入れるしかなかった。


 アルヴァの掛け声とともに鳴り響く奇怪な音と唐突にわくスモーク。そして、中空に浮かぶ……アレなんだ?


 中空に浮かぶのはなんというかーその、多分、現代チキュウ人なら稀に見た事がある物体、物体? だった。


 お嬢様だったと聞いているのにどうやら玖珂も見た事あるらしく、その物体? を見て小首をかしげる。


 それは透明感のある板、投射された映像であり、やたら主張している。物を投げても向うに通りずぎる辺り物質化はして無さそうな? 結論から言うと、ゲームのウィンドウのような物体が空中浮いている。そこにはでっかくこう書かれていた。


  【過去よりの刺客!? リクドウ・ナナセを討伐せよ!】


 うん、右のカード持ってる方のストレスが殺意に還元されているのが分かるよ? おどろおどろしい気配とこ気味良い足音が対照的なお隣の少年から顔を背けながらアルヴァの方を向く。しかし、アルヴァは何か、ウィンドウの向こうのやたら焚かれているスモークの方をじーっと見つめている。


  「え? 強大な気配が! スモークが焚かれている方角からする!」


  (遅かったなー)


 玖珂の声に、俺達全員はスモークの方を見る。さっきから鳴っている曲調が変わる。まるでボスの出現の様なミュージックが鳴り響く。玖珂の言う様に大きな気配を感じる、確かに父さんと似た気配を感じはするのだが、あの時感じた敵意と言うか、殺意と言うか、そんなものが感じられない。


 玖珂もテレザもこの気配故に警戒しているようだが俺には警戒する必要がないように感じるのは何故だろうか? 事前に父さんだと伝えられているからだろうか、いや今日の朝に襲われたばかりなんだが……


 「レイ君?」


 「レイさん、エニグマさん、どうしたんですか?」


 我ながらなんというか平和ボケしてると思う。後ろから何やってるのかと言う叱責にも似た言葉が聞こえる。それでも、目の前の気配は敵ではないと思う。


 ただ、隣のエニグマもそう思っているとは思うのだが、警戒を解かない。顔は何処かにやけているのだがむしろ父さんであることが分かってやけに集中している気がする。命の危険があった朝以上でさえある。いったい煙の向こうの父さんはいったい何があるのだろうか?


 まぁ、それもそろそろわかるだろう。


 煙より気配が濃くなる。一層濃くなり、気配が固t


  「レイ君! 防御」


  「レイ 剣を縦に振れ!」


 エニグマと玖珂からほぼ同時に、指示が飛ぶ。その声に反応して、何とか縦に剣を振るとガインッという『音が遅れて』聞こえた。


  「六道流抜刀術・中伝 音抜き」


 耳元で、懐かしいような感じもする少し若い声が聞こえた。それと同時に、手がしびれる。痛みでさえ遅れて感じる。目にも止まらぬ高速の抜刀術、であろうものを前に俺は驚くしかない自分の存在を感じる。


  「煙幕で隠れていたとはいえ完全に!」


  (身体こんぱくの固定化と同時に攻撃とか相変わらずボケに命賭けてるよね。お前)


  俺の後ろからまたも高速で前に戻ってきた。その、何がしかにアルヴァは呆れたように声をかける。


  「いやいや、だって未来の息子にはこれ位の強い印象を与えたかったんだよ。私は」


 ……確かに確認する。透明感のある炎の様な紅毛、右手だけが白く、左手が赤銅の肌の色と一緒。右目が黒で、左目の方に大きな抉り取ったような跡と明らかに元の目ではなさそうな蒼色の目が若干気になるが大体、父さんだった。左目と右手以外は父さんをそのまま小さくしたような感じである。


 とても素敵な初めましてくれたかったらしい。あの世にはじめましてする所だったよ! 父さんらしき九歳の少年にそう、言ってやりたかったのだがその気持ちも、『ある女の』一言で運算霧消してしまう。


  「初めまして、玖珂ユミです。よろしくお願いします。リクドウナナセCさん」


 うん、本当にコイツ外さないよねボケるタイミング。


 いつの間にか、後ろにいたはずの玖珂はこちらに近づいて、父さんの前に来ていた。

 ある程度、親近感をだす為に崩してこそいるが丁寧なお辞儀と綺麗な姿勢で会釈をする。その際に発せられた挨拶も澄んだ綺麗な声でとても淀みがない。


 多分、知らない人が見たら、玖珂がとんでもない良いとこのお嬢様にでも見えるのではないか? とでも思わせるあえて完璧を崩した素晴らしい挨拶であった。


 ただ、さっきの一言、結構普通のノリで話していた為、スルーする人や気づかない人は気づかないんだろうけど、多分、父さんは違うんだろうな……


  「ああ、どうもこれはご丁寧にって! 余分! Cって何さ!?」


 ああ、やっぱり


 俺の考えでも読んでいるのか? と言うタイミング父さんからもツッコミが入る。


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