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幕間 an intruder

 光が瞬き、とある森の中に人型が出現する。


  「ありゃ、ちょこっと転移座標が狂ってしまったか。まぁいいか、どこだろうね。私たちの『アーク』は?」


 昼の残光が木々に遮られる深い森の中心で少年ナナセはとある建造物を探していた。レイ達があの広場になった場所で敗北をかみしめている時、少年はあの戦いのすぐ後、元々予定していた合流地点に転移していたのだ。


 キャンプ地点となったそこには大きな木造の船の様な宿泊施設が建造されていた。とても一日や、二日で出来る様な造形ではなく、まるで数日はそこに泊まっていたのかと思われる出来であった。


  「自分で作っておいてなんだけど、コレごといつも転移するとか馬鹿げた話だよ。本当に」


  「おかえりなさい。本当にそうですねー、陛下がこの木造船で移動するって聞いた時は本当に驚きましたよ」


  「ほほほ、蘇ってすぐにこの様な手段で儂たちを驚かせてくれるとは、流石は陛下だと儂は思いましたぞ!!」


 先ほどの戦いからそれほど時間が経っていないというのに、そこには料理を作っているトーアとその近くにロッキングチェアで資料をぱらぱら見ているゼストの姿があった。


  「いやぁ、造った当初は名案だと思ったんだよ。作った当初は」


 そもそも、はははと談笑するその風景はとても暖かく初夏の爽やかさえ感じられる場所であり、とても先ほどまでいた雪国の付近とは思えない場所である。それも当然なのだが……


  「あ、そうそう転移符の調子は大分良い感じですよー。バビューンってこんな南の果ての森まで来ることになるなんて思っても見なかったです」


 そう、ここは南西に位置するとある森、北から南まで彼らは一瞬で転移したことになる。


  「即興で作ったけど試運転はバッチりみたいだね?」


  「エッ? 試運転?」


 ナナセの爆弾発言に顔が一気に青ざめるトーアの姿がそこにはあった。心の中ではもし失敗してたらどうしよう等の考えが渦巻いている事だろう。心なしかスープをかき混ぜる手が不規則となり、料理からもその心の変化に合わせて湯気が消えているような気もする。


  「良くあることじゃワイ気にしているとここから先きついぞ。後、トーア、鍋の火消えておるぞ」


 ナナセの言葉を一切気にせず『とある経過』が書き込まれてある資料と睨めっこをしていたゼストであったが流石に弟子の変化にはフォローを入れる様である。


  「まぁ、元々ある程度の理論化と実験はできてたから最終チェックのつもりで渡したんだよ。ははは、許して?」


  「……次は相談とか、事前に説明してください」


  「おー、仲善きことは美しきかな! その人の花冠の中に私と言う一輪の華を混ぜては頂けませんかな?」


 転移符に関する事の話し合いが終わった所に林の奥から急に薔薇を背にした謎の男が現れてトーアが警戒の表情を浮かべる。


 それと対を成すようにその男に呆れた顔のゼストと待っていたとでも言う様な顔のナナセが印象的な表情をしていた。

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